貯蓄

貯金1000万円の賢い貯め方

先日、こんな質問をいただきました。「将来のことを考えると、1000万円くらい貯金したほうがいいのかな、と思います。1000万円を貯めるためには、何をするのが効果的でしょうか?」今回は、この質問にお答えします。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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<目次>

貯金1000万円の賢い貯め方

先日、こんな質問をいただきました。

「将来のことを考えると、1000万円くらい貯金したほうがいいのかな、と思います。1000万円を貯めるためには、何をするのが効果的でしょうか?」

今回は、この質問にお答えします。

そもそも:大事なのは「貯金を増やす」よりも「金融資産を増やす」こと

本題へ移る前に、そもそもの話として「貯金」は、数字的な目標としては役に立つかもしれませんが、実用性という観点で見ると大した意味がない点を指摘しておきます。

ほどよい貯金は「有事の備え」になります。しかし、度がすぎると「宝の持ち腐れ」です。

極論、お金はただの紙切れです。しかも、この紙切れの価値は日に日に薄れていきます。これを「インフレ」と言います。なぜなら、国が次々にお金を印刷していて、貨幣の希少価値が薄れていくからです。

アメリカや日本の政府は「年率2%のインフレ」を目標にしています。ほどよいインフレは消費を促すため、経済にとっても望ましいからです。

ですから、私たちが増やすべきは「貯金」よりも「金融資産」のほうです。金融資産というのは、株式や債券、不動産といった「収入を生む財産」のことです。

株式だったら配当金。債券だったら金利。不動産だったら家賃収入などの収入を受け取れます。1000万円くらいの金融資産があれば、税引き後で年率3%くらい……だいたい年間30万円。1カ月あたり2万5000円くらいの収入は目指せます。

金融資産を持っていれば、物価が上がっても収入があるおかげで損をせずにすみます。物価が上がる世界では、金融資産は現金以上の価値があるのです。

貯金1000万円の賢い貯め方

そろそろ本題へ移ります。本記事のタイトルは「貯金1000万円の貯め方」ですが、貯金よりも金融資産のほうが重要ですから、これから書くことは「金融資産1000万円相当の貯め方」と読み替えていただけたらと思います。
貯金にかかるコスト

貯金にかかるコスト/筆者作成

図には、お金を貯めるのにかかるコストをまとめてあります。上手にお金を貯めるには「お金を貯めるためのコスト」を小さく抑えることが全てです。

分かりやすい例が(1)所得税や住民税です。これらは「収入」にかかるお金で、お金を貯めようとするとほとんど必ずコストとしてのしかかります。

ありがたいことに、さいきん節税制度が充実しています。たとえば、iDeCo(個人型確定拠出年金)や生命保険料控除などを使うと、所得税や住民税を繰り延べ(=先延ばし)などをしながらお金を貯めることができます。

参考までに、筆者は今年で33歳ですが、すでにiDeCoで500万円以上を貯蓄しています。家族みんなのiDeCoをあわせると1000万円以上の貯蓄です。

1000万円全て自分で貯めたのか?というとそうではなく、半分くらいは税金の繰り延べと、投資先の配当収入や値上がり益によるものです。

iDeCoで貯めたお金は、株式指数連動型の投資信託(インデックス投信)に投資しています。インデックス投信は維持コストがとても安いので、(3)取引手数料や(4)維持手数料は最低限ですんでいます。

しかも、通常ならば配当金や売買差益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoなら(5)金融所得への課税も先送りにできます。

iDeCoの他には個別株投資もしています。いま買っているのは主に高配当株で、(2)少ない取得費用で、多くの金融所得が受け取れる株を買っています。

以上をまとめると、「お金を貯めるだけで税の繰り延べができる制度を利用して、節税したお金をさらに貯める」→「投融資のコストを必要最小限に抑える」→「金融所得への課税でさえ先送りにできる」という、低コストに貯蓄する仕組みを作りました。
 

まとめ

要点をまとめると、以下の3つとなります。
(1)大事なのは「貯金」よりも「金融資産」
(2)賢く貯金したいなら「貯金のコスト」を抑えるべき
(3)所得税を抑え、手数料を抑え、取得費用を抑える、という3点が1000万円への近道


貯金は「最初が一番大変」です。ある程度貯まると、金融所得も増えてきてどんどん貯金しやすくなります。つまり、はじめが肝心です。節税制度をうまく使って、よりよいスタートダッシュを切れるといいですね。
 
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