人間関係

「食卓で下を向いたまま固まって」「これはまずい、と」。陽気な50代夫を突如襲った異変(2ページ目)

会社で「宴会部長」とあだ名がつくほど明るい夫が、いつになく元気がなく落ち込んでいる。部屋には取り寄せたお墓のパンフレットまであった。いろいろな病名が頭をよぎり不安がつのったが、その後運よく医者にかかることができ、夫の病名が明らかに。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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泌尿器科の検査で判明したこと

数日後、以前、胃を患ったときの病院に検査予約が入っていると聞き、ナオコさんは自身の仕事を休んで無理矢理ついていった。そして主治医に夫があまりにも元気がないと訴えたのだ。

「夫は大丈夫だからと医師の前でも言うんです。ただ、主治医が何かに気づいたのか、この際だから他の検査もしてみましょうと提案してくれて」

主治医がうまく誘導してくれ、夫は泌尿器科に回された。そして出された結果は「男性更年期」だった。

「更年期ですねと言われた瞬間、夫はホッとしたような顔をしました。そこから、いつもだるい、やる気が出ない、以前なら楽しかったスポーツジムに行く気もしない、家族との会話もしんどいと、いろいろな症状を訴え始めたんです。でも言えるのは悪いことじゃないだろうなと思って聞いていました」

ナオコさん自身は、まだ更年期を実感してはいない。そういえば疲れやすくなかったかなと思う程度。だから夫の症状が更年期だと察することができなかったのだ。夫は、「男も更年期があると聞いてはいたけど、まさか自分がこうなるとは思わなかった。うつ病とか、何か全身にわたる悪い病気かと思っていた」とつぶやいた。

男性更年期と判明した夫のその後

「それから夫は、少しだけ男性ホルモン補充療法を始めて、症状はかなり改善したそうです。なによりも更年期だとわかったことがいちばんいい治療だったのかもしれません」

夫の机の引き出しにあったお墓のパンフレットは、夫が自ら請求したものだとわかった。不治の病にかかっていたらお墓も必要だと考えたのだそうだ。病院にも行かないうちに墓について考えることじたい、気持ちが追いつめられていたと言えそうだ。

あれから1年、夫は今も通院はしているが、表情はすっかり明るくなった。

「オレも年とったということだなと言いながらも、老いを受け入れるのか抗うのかをふたりで話せるようになりました。私は無理のない範囲で抗う派。だからジムに行ったり食生活に気をつけたりはしています。夫は以前はそんなことは考えもしなかったけど、今は抗うよりまずは受け入れ、それから少しずつ年齢相応の健康管理をしたいと思っているそうです」

そんなことも忌憚なく話せるようになってよかったと、ナオコさんは笑顔を見せた。男女かかわらず、40代後半になって心身の不良を感じたら、もちろんまずは病院に行くのが王道だ。それでどこも悪いわけではなかったら、更年期を疑ってみるのもひとつの考え方だろう。

「夫が会社で更年期の話をしたら、夫の先輩もどこかが悪いわけではないのになんだかやる気が出ない、気持ちが落ち込むと言いだしたそうです。先輩も病院に行って、更年期だと診断されたって。それ以来、社内でも、男女問わず更年期について考える講演会などがおこなわれたそうです。会社としても見過ごせない問題だと思ってくれたんでしょう」

男性も更年期で苦しむことがある。かなり周知されてきたことだが、まだまだ知らないためにつらい思いをする人がいるようだ。
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