妻が夫を「諦める」瞬間は突然に訪れるのだ
モラハラ夫にバカにされ続ける日々
「夫の言葉がモラハラだと思って以来、夫とは仲がいいとはいえないんですが、それでも子どももいるし家庭は私にとっていちばん大事な場所。ずっとそう信じてきたんです」トモカさん(39歳)はそう言った。だが1年ほど前から、その気持ちが揺らぎつつある。8歳になる娘は、自分の命より大事だと言い切れる。だが夫がなにげなく吐く言葉に、ときおり我慢ができず、叫び出したくなるようになった。
「夫は私が些細なミスをすると、フンッと鼻で笑うんですよ。この間も醤油を小瓶に移し替えているとき、うっかりこぼしてしまったんです。あわててテーブルを拭いていたら、フンッと鼻で笑ったあげく、『やると思った。トモカはいっつも迂闊(うかつ)だから』って。夫の顔は笑っているんですが、本当にバカにされている気がした。以前なら気にならなかったか、気になっても『こういうの苦手なんだよね』と笑い飛ばせたものが、そのときはやけに心に引っかかって……」
人には苦手なものもあれば得意なものもある。トモカさんが苦手なことを失敗すると、「絶対そうなると思った」「どうして事前に失敗しないように準備できないの?」と夫の言葉が飛んでくる。そもそも、失敗すると思っているなら夫がやってくれてもいいはずなのに。
「何年主婦やってんだよ」と鼻で笑う夫
「揚げ物をするとだいたい火傷するんです、私。だからメガネをかけてマスクをして、せめて顔に油がはねないようにしてる。もちろん娘は近づかないよう注意して。夫はそれを見ながら『衣をちゃんとつけてないからはねるんだろ。何年主婦やってんだよ』と笑う。何年やっていたって苦手なものは苦手です」一方、アイロンがけは大好きで、この暑い時期でもきっちりアイロンをかける。短時間でどれだけピシッと仕上げられるかが楽しいらしい。だが夫は、それを褒めたことはない。
「『このクソ暑いのにアイロンなんてかけなくていいんだよ、どうせすぐ汗まみれになっちゃうんだから。無駄なことするよなあ』と夫は言う。パートとはいえ私も働いていますから、確かにアイロンがけなんて無駄かもしれない。でも夫にピシッとしたシャツを着てほしいと思って。結婚当初は『トモカがアイロンをかけてくれたシャツは着心地がいい』と言ってくれていたのに。いつから言わなくなったんだろう……そんなふうに考えていると、なんだか虚しいなと思ってしまうんです」
自分が忙しい思いをして家の中を調えているのに、夫は些細なミスを取り上げるだけで、妻の気持ちを考えようとはしないのだ。
>嫌がる妻の気持ちにはさっぱり気が付いていない