貯蓄

みんなの平均貯蓄額は?1901万円【2023年5月発表・最新家計調査】

2023年5月に総務省統計局が発表した2022年の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』によると、二人以上世帯の平均貯蓄残高は1901万円。前年の1880万円から21万円、1.1%増、4年連続の増加となりました。詳しく見ていきましょう。

伊藤 加奈子

執筆者:伊藤 加奈子

貯蓄ガイド

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<目次>

二人以上世帯の平均貯蓄額は1901万円で4年連続の増加

2023年5月に総務省統計局が発表した2022年の『家計調査報告(貯蓄・負債編)』によると、二人以上世帯の平均貯蓄残高は1901万円。前年の1880万円から21万円、1.1%増となりました。

平均貯蓄額は、多額の貯蓄がある一部の層によって数値が引き上げられるため、実感値とは開きがあります。そのため、貯蓄ゼロの世帯を除いた貯蓄保有世帯を、貯蓄額の低いほうから順番に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄額はいくらかという「中央値」で見る必要があります。

今回の調査では、貯蓄保有世帯の貯蓄額の中央値は1168万円。前年の1104万円より64万円の増加。貯蓄ゼロの世帯も含めた中央値は1091万円で、同じく前年の1026万円より65万円の増加という結果になっています。
貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)

貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)

勤労者世帯の平均貯蓄額は1508万円で前年より54万円の増加

勤労者世帯のみ(高齢者など無職世帯、自営業・自由業世帯を除く)では、どうでしょうか。

平均貯蓄額は1508万円で、前年より54万円、3.7%の増加。貯蓄保有世帯の中央値は928万円で、前年から95万円の増加となりました。貯蓄ゼロの世帯を含めた中央値は880万円で、前年から96万円の増加という結果でした。

勤労者世帯の平均年収は768万円で、前年の749万円から19万円増加しています。
貯蓄現在高の推移(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄現在高の推移(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄の種類は通貨性預貯金が年々増加している

貯蓄の種類を見ると、二人以上世帯全体も、勤労者世帯も、通貨性預貯金が年々増加しており、定期性預貯金の割合が減少しています。超低金利の影響が長く続き、あえて定期預金に預け替えることなく、普通預金などに預けたままという状況であることがわかります。
貯蓄の種類別 貯蓄残高

貯蓄の種類別 貯蓄残高

二人以上世帯の9.7%が貯蓄額100万円に満たない

貯蓄残高の世帯分布を見てみましょう。
貯蓄現在高の世帯分布(二人以上の世帯)

貯蓄現在高の世帯分布(二人以上の世帯)

分布図を見てもわかるように、平均値と中央値には、かなり開きがあります。二人以上の全世帯では貯蓄額3000万円以上の世帯が19.9%で、平均を押し上げる結果となっており、平均値以下の世帯が約3分の2を占めています。
貯蓄現在高の世帯分布(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

貯蓄現在高の世帯分布(二人以上世帯のうち、勤労者世帯)

勤労者世帯のみの分布図でも、考え方は同じです。3000万円以上の世帯が13.8%で、平均値以下の世帯が、やはり約3分の2を占めています。

ここで注目すべきなのは、貯蓄が100万円未満の世帯が、二人以上の全世帯で9.7%(前年10.5%)、勤労者世帯で10.5%(前年12.2%)であるということです。いずれも、調査全体の約1割の人が、貯蓄100万円未満というのは、かなり厳しい結果と言わざるをえません。

この調査は、全国から抽出した約7300世帯を対象にしたものですから、地域性や年齢、職種などさまざまな事情を考慮すると、また違った結果にもなるかもしれません。しかし全国での平均値や中央値を知ることで、今現在、自分が置かれている状況と比較し、無駄に悲観的になるのではなく、どうしたら貯蓄を増やせるのか、いくら貯蓄したほうがいいのかと考える基準になるのではないでしょうか。

貯蓄100万円未満の世帯の中には、年齢の若い世帯も含まれ、なかなか貯蓄できないという世帯もあるでしょう。しかし、ある一定の年齢になっても貯蓄が100万円に満たないという世帯は、収入が少なすぎるのか、支出が多すぎるのか、こうしたことを見直していく必要があるでしょう。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で減収になり、貯蓄を取り崩して生活を維持している世帯も少なくありません。今回の調査では、平均貯蓄額、中央値のいずれも前年より増加していますが、コロナ以前の収入に戻っていない世帯にとっては、収入が戻らない限り貯蓄を増やすことは難しいうえ、物価上昇によって生活コストのアップという懸念材料もあります。一方、外食、旅行などを再開させている経済的に余裕のある世帯では、家計のコントロールが重要になってくるでしょう。

平均貯蓄額だけでは、現実の生活は見えてきません。この調査結果をひとつのきっかけとして、それぞれの世帯で、お金の流れ、支出のチェック、貯蓄行動を考えてほしいと思います。

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