人間関係

離婚後にできた「最高の親友」は元夫?夫婦でいると疲れる2人の“新しい”家族の形(2ページ目)

少し子どもっぽくてめんどくさい夫と、長電話をしてくるとてもめんどくさい義母。すべてに疲れて離婚した。今は、近所に住む元夫とは毎週末ごとに娘と一緒に穏やかな時間を過ごすようになった。一緒に住んでいた時はあんなにうまくいかなかったのに……。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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夫が出て行って

しばらくたって夫が「オレが出張に行くと楽になる?」と聞いてきたことがあった。

「『そんなことないよ』と言ったんですが、夫は『正直に言ってほしい』と。『ごめんね。正直言うとそう。あなたがいると子どもがふたりいるようなものだから』と言いました。本人は家事をしているつもりでも、すべてが中途半端だから後始末は私がしなくてはいけない。『お皿を洗っておいたよ』とは言うけど、シンクの排水口のごみ受けはきれいにしてない。洗濯機は回したままで干さないし。そういうのが地味にストレスになるんですよね。彼が動くと、ああ、後始末しなくちゃと思うから」

わがままだと言われるかもしれないけど、とにかくすべてに疲れてしまったと彼女は言う。夫は彼女の関心が自分にはないと判断したのだろう。荷物をまとめて出て行き、ふたりは娘が小学校に上がったのを機に離婚した。それが昨年春のことだ。

「夫は近くに住んでいます。入学式の日の夜は、娘と3人で食事をしました。それ以降、毎週のように3人で会っています。娘と夫がふたりで出かけることもある」

いちばん変わったのはリサさんの気持ちだ。

「夫から言われました。口調や使う言葉、言い方が変わったと。フランクになったし、けんか腰にならなくなったって。自分でも気づかないうちに『いい妻、いい嫁になろう』と力が入っていたのかもしれません。自分でも不思議なんだけど、今は夫に何でも言えるんですよ。結婚しているときに言えばよかったと思う。でもあのころは言えなかった。ひとりでがんばってひとりで怒ってたような気がします」

今は元夫だから、なにも期待していないのも、いい関係につながっているのかもしれない。気持ちとしては友だちであり、娘にとっては父と母。この関係がいいのだという。

「私と元夫との関係って、友だちで終わるべきだったのかなと思うことがあります。夫婦になるとうまくいかない。でも友だちならベストなんですよ。今は結婚前みたいに話がポンポン弾む。娘は『パパとママはどうして一緒に暮らさないの?』と言うんです。『一緒に暮らすとうまくいかない、でも近くに住んでいるとうまくいくの』って言ったら、ふうんって」

どちらかが再婚するとか新たに恋人ができたとか、環境が変わったらどうなるのだろう。リサさんは、自分は当分、恋愛もするつもりはないときっぱり言った。

「元夫が再婚するなら、この状況をわかってくれる相手だといいなと思います。でもむずかしいですよね。少なくとも、元夫は娘とは交流をもってくれると信じたいですけど」

近所に住む「新たな家族の形」があってもいいのかもしれない。
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