アニメ系はほぼ網羅
筆者が韓国でカラオケに行ったときのこと。隣の部屋の女子中学生の団体は日本のボカロ曲を歌っているではないか。それも日本語で。 話を聞くと、アニメやゲームが好きな人ならみんな知っている、とのこと。『プロジェクトセカイ』が好きという少女はバッグからいろいろとグッズを取り出し見せてくれた。そして続々と出てくる日本のアニメやゲームのタイトル。彼らは日本のサブカル的コンテンツの数々にも詳しかった。若者が集まる街、弘大(ホンデ)にある某ショッピングビルに行ったときのこと。某階にはアニメイトがあった。イベントでもあるのだろうか。店の前に長蛇の列ができていた。その隣にはコラボカフェがあり、その日は日本のあるBL漫画ファンが集っていた。
フロアの壁に貼られたいろいろな漫画のポスターを見ていると、その分野には疎い筆者でも聞いたことのある作品名のものがいくつか並んでいる。日本のポータルサイトで検索してみると、まさに今リアルタイムで日本でも人気のある作品だった。
中でも今、アニメ『【推しの子】』人気がすごい。韓国人の友人が話してくれたエピソードだが、彼の職場の50代も後半になる上司から、ある日突然カカオトーク(韓国を代表するSNS)が送られてきたそうだ。YOASOBIが歌う『【推しの子】』の主題歌『アイドル』が添付されており、歌詞の内容を詳しく知りたいと。もしかして知ってるかい? という内容だったとか。『【推しの子】』は隣国のおじさん世代にも知られているのである。TikTokでは、この曲の振り付けで踊る「【推しの子】チャレンジ」も流行中だ。
ちなみに筆者は韓国大手オンライン書店の人気ランキングにそのタイトルがランクインするようになって初めてその存在を知ったのだが、 10~50代まで年齢別の各売り上げランキング、いずれの世代にも『【推しの子】』のコミックスがトップ10内にランクインしていた週があり驚いたことを覚えている。
ちなみに『可愛くてごめん (feat. かぴ)』も2022年に韓国で大流行りしたことで知った。特に日本のコンテンツが好きというわけではない、ある知り合いの女子高生に知っているか尋ねたところ、すぐに振り付けと共に歌ってくれた。「へえ、やっぱり知っているんだねえ」と感心する筆者に彼女が放った一言は「日本人なのに知らなかったの?」であった。とほほ、である。
とにかく韓国では日本文化が手の届く所にあふれているということをお伝えしたわけだが、こういう環境だからこそ韓国在住の筆者、たまに日本に一時帰国しても、ショックのあまりうっかり玉手箱を開けてしまうほどの浦島太郎状態にはならず、日本不在のブランクをなんとかやり過ごせている。しかし、この環境に甘んじることなく、これからはもう少し日本の流行にもアンテナを張り巡らせなければ……と思う今日この頃。「知らなかったの?」と言われないためにも……。
参考
韓国ボックスオフィス 6月28日