人間関係

大好きな父のために母のアリバイを…「母というオンナ」の不倫をかばう役割だった高校時代の私

高校生のころ、友人と繁華街を歩いていると偶然にも見知らぬ男性と歩く母を見かけた。そこから不倫する母と娘の“共依存”のような関係が始まった……。30代になった女性から、当時のことを聞いた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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息子は母への憧憬があるがゆえに、「母の不倫」に傷つく。一方、娘はどうなのだろうか。もちろん人によるし、個人差は大きいのだが、母の過干渉がわずらわしいと思っていた女性にとっては、急に束縛されなくなってうれしかったという話を聞いた。「母もオンナだった」と少し突き放した感想をもつ女性もいる。

「お父さんがかわいそう」と思った

繁華街で男性と歩く母を見かけて追いかけると……

繁華街で男性と歩く母を見かけて追いかけた

「私、お父さんっ子だったんですよ。だから母の浮気がわかったとき、まず最初に『お父さんがかわいそう』と思いました」

高校生のときチヒロさん(33歳)は、友だちと遊びに行った繁華街で母が見知らぬ男性と腕を組んで歩いているのを見た。友だちに「ごめん、急用がある」と言い残して母を追った。ホテルへ入っていった母と男性の姿を確認したチヒロさんは、膝ががくがく震えるのを感じたという。

「母はお嬢なんですよ。父にはわがままばかり言ってたし、子どもの私にも頼ってばかりいた。父も私も弟も、そんな母をしょうがないなあと言いながらフォローする。うちの家族はそういう力関係で成り立っていたんです」

母は仕事では、有能なやり手だったようだ。一方、家事は苦手で、料理も決してうまくはなかった。中学生になってからは、ほとんどチヒロさんが料理を担当していた。それでも母は愛情深い人で、家族を愛しているのはみんなわかっていた。だからこそ笑いながらフォローしていたのだ。

「それなのに浮気だなんて。私自身もショックではあったけど、それ以上に父が知ったら悲しむと思いました。母を許せないというよりは、父には隠さなければ、と。その日の夜、母にこっそり伝えたんです。『今日、見かけたよ』と。すると母は『あら』って。あら、じゃないでしょと(笑)。今だから笑えますが、当時は真剣でした。『お父さんにバレたら泣くよ』と言うと、わかったって」

母は娘が頼りになると思ったのだろうか。ときおりアリバイを頼んでくるようになっていった。

「明日は遅いんだけど、昔のママ友とご飯だってパパには言っておいて、と言うようになったんです。知るかと言いたいところなんですが、なんとなくかばってあげたくなるのが母の得なところなんですよね」

母の恋はそれから数カ月で終わりを迎えた。

>アリバイ工作を拒否したらバランスを崩した母
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