途中まで聞いてわかったふうなことを言う夫
「うちの夫も結局はせっかちなんですかね、話を途中まで聞くと、自分の経験に照らし合わせて結果を決めつけたり、あるいは前のことを持ち出して責めるような口調になったりする。結局、私が話そうとしたこととは違う方向にいってしまうんです」やはり夫婦の会話について嘆くのは、マリエさん(42歳)だ。結婚10年になる夫との間には10歳と7歳の子がいて、多忙な日々を送っている。それでも夫婦で話す時間は大事だと思っているから、夜寝る前には少しでも夫に話しかける。
「今日はこんなことがあった、あんなことがあったと話すのが私はうれしいんですよ。ところが夫はそういう会話には飽きているのか、ふんふんと上っ面で聞いているだけ。なのにときどき妙なツッコミを入れてくる。先日も私がバーゲンで気に入った傘を買っちゃったという話をしたんです。私はどういう傘かを説明したかったのに、夫は『そういえば気に入った傘を前になくしたんだろ、不注意だからだ。またなくすぞ』って。そういう話はしてないのに……。話が台無しだわと言ってやりましたが、夫はわからなかったみたい。何年も前になくした傘のことを今さら持ち出されても……」
パート先で、社員上司の仕事の指図が現場の状況に見合ってないという話をしたときは、自分の経験を手柄話のように話し始めた。
「『パートのおばちゃんたちをうまく手なずけることが大事なんだ。オレの経験ではさ』と話し始めて、またも話がまったく関係ない方向へいきました。そもそもパートのおばちゃんを手なずけるって失礼な言い方でしょう? 自分の妻が手なずけられていいのかよ、と思いましたよ」
話を始めたほうには、少なくとも「聞いてほしい」という意図がある。その意図を先回りして当てようとするのも失礼だし、意図を無視するのも無礼なこと。ひととおり聞くという姿勢を持てない夫には、「まず聞け」と言ってやりたくもなるものだ。
こういう些細にも見える「がっかり」が積み重なると、妻たちは急速に夫に話す意欲を失っていく。それはそのまま夫への興味をなくすことにつながる。
「妻の話は聞いている」と言う男性は少なくないのだが、「妻の気持ちが満たされるようなちゃんとした聴き方」をしているだろうか。一度立ち止まって考えてみてほしい。