脳科学・脳の健康

Q. 「寝る子は育つ」というのは、科学的にも本当ですか?

【脳科学者が解説】「寝る子は育つ」という有名なことわざがあります。これは医学的にも本当だと言えるのか、子どもの睡眠と、体と脳の成長の関係について、わかりやすく解説します。

阿部 和穂

執筆者:阿部 和穂

脳科学・医薬ガイド

Q. 「寝る子は育つ」と言いますが、本当ですか?

「寝る子は育つ」のもう一つの重要な意味

睡眠中は「成長ホルモン」の分泌が高まることで、骨の伸長や筋肉の成長が促されます



Q. 「『寝る子は育つ』と言いますが、ただの言い伝えではなくて、科学的にも本当のことだと考えていいのでしょうか? 早期教育などに励んでいるご家庭を見ると、何かした方がいいのかなと焦ってしまうのですが、実際にたっぷり眠らせておくだけでよいのなら、少し育児の不安が軽くなりそうです」
 

A. 本当です。体はもちろん脳の成長も助けてくれるので、早期教育より「よい睡眠」を大事にしましょう。

私たちの平均的な睡眠時間は、年齢によって変わります。新生児(0~3ヶ月)は1日16時間もの睡眠をとっていますが、成長するに従い睡眠時間は次第に短くなり、5~10歳くらいで10時間、20歳前後になると8時間くらいとなります。

ご質問の「寝る子は育つ」というのは、有名なことわざですね。もともとは、「ぐっすりとよく眠るのは健康な証拠なので、よく寝る子はすくすくと丈夫に育つ」という文字通りの意味ですが、近年の研究から、睡眠そのものが体や脳の成長を助けることが科学的にもわかってきています。

睡眠中は、「成長ホルモン」の分泌が高まり、骨の伸長や筋肉の成長が促されます。脳の発達にも良い影響があるようです。子どもは体や心を成長させるために、いっぱい眠っているのですね。

また、睡眠は、体と脳がともに休む「ノンレム睡眠」と、体は休んでいるけれど脳が活動している「レム睡眠」に分けられますが、その比率も年齢によって変わります。新生児(0~3ヶ月)は眠っている16時間のうち、およそ半分の8時間がレム睡眠です。成長するに従い、レム睡眠の割合は減っていき、大人になるとおよそ20%の1~2時間になります。なぜ、幼い子どもはレム睡眠が多いのでしょうか?

レム睡眠の生理的意義はまだすべて解明されていませんが、一つには「記憶の固定」に寄与していると考えられています。レム睡眠中の私たちは夢を見ており、それはまさに覚醒時に得た情報の中から覚えるべきことと忘れていいことを選別して、重要なことをしっかりと脳に刻み込んでいく過程に相当するのではないかということです。

生まれたばかりの子どもの脳は、白いキャンバスのようなもので、まだ何も描かれていません。これから厳しい世界に適応し、たくましく生き延びていくためには、様々なことを見聞きしたり体験しながら、たくさんのことを記憶し、身につけていかなければなりません。そのために、幼児はレム睡眠を長くとることによって、たくさんの記憶をつくり、どんどん成長していくのでしょう。

親御さんは、お子さんたちに早期教育や幼児教育などを頑張らせるのではなく、日中いっぱい遊ばせ、たくさんの体験を重ねさせ、いい睡眠がとれるようにしてあげることが一番大切なのではないでしょうか。
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