人間関係

50代、スニーカーコーデに「年齢には勝てないのね」と同情の声…おしゃれを“諦めた女”扱いにモヤッ(2ページ目)

オフィスでは高齢の創業者夫人から、ホテルランチでは友人たちから、「スニーカー」を非難される。50代前半、歳をとってきて、おしゃれも少しづつ変化していく中で、周囲の理解のなさにやるせない気持ちになる。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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プライベートであれこれ言われることも

少しモード感のある厚底スニーカーを、今のマサミさんはいちばん気に入っている。スカートにもパンツにも合うしおしゃれ感が漂っていると思っていた。

「都内のホテルで友人とランチをすることになって、ロングスカートにスニーカーでカジュアルに出かけたんです。すると友人が『どうしたの』と。おしゃれでしょと言ったら、『そういうものしか履けなくなったの?』って。『こういうホテルならもうちょっと靴をどうにかすればいいのに』と言う友人もいましたが、周りにいる外国からの旅行客、ミニスカートやおしゃれなパンツにスニーカーを合わせてる女性が大多数。今はもう、単なる運動靴じゃないんだよと説明しても、旅行客はしょうがないでしょって。偏見を拭うことはできませんでしたね」

しかもその日は皮のスニーカーで決めたのだ。マサミさんとしてはかなりのおしゃれをしたつもりだったのだが……。

「『マサミはずっとヒールばかり履いてたよね。おしゃれを貫くのかと思ったけど、さすがに年齢には勝てないのね、かわいそう』と言われました。確かに一面ではそうだから、それは認めますけどね。ローヒールのコンフォートシューズを履くより、いっそおしゃれなスニーカーのほうがイケてると思うんですけどねえ。私の考え、間違ってるんでしょうか。外出するときはパンプス系じゃないとダメなのかしら」

同い年の夫は「転ばないのが一番だよ」と慰めてくれるが、マサミさんとしてはそれも実は不本意。何かを諦めてスニーカーにしたわけではなく、もろもろの状況を考えて、今の状態でベストな「おしゃれ」を選択しているつもりだから。

「雑誌やネットでは、40代や50代のおしゃれとして、スニーカーでのコーディネートも紹介されているでしょ。ああいう感覚を持っている人が私の周りにいないのが悔しいですね」

そう言ってから、「やっぱりハイヒールを履けなくなったのは事実。結局、私、負け犬の遠吠えみたいなものなんでしょうか」と寂しそうにつぶやいた。

マサミさんの言うことは正しい。一方で、50代前半というのは、老いとの折り合いがまだまだつかない世代なのかもしれない。
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