ところがスニーカーをいまだ「運動靴」という感覚で捉えている人も少なくないようだ。
「スニーカーでおしゃれ」は、理解されにくいのだろうか?
よほどフォーマルな場所でない限り、おしゃれスニーカーで
「50代に入ってから、ヒールのある革靴で立て続けにつまずいて捻挫したんです。その後は健康を最優先に、出勤もスニーカーに切り替えました。私は内勤の仕事だし、商談をするときも特に失礼には当たらないと思っています。会社から何か言われたことはありません」そう言うのは、中堅メーカーで管理職を務めるマサミさん(53歳)だ。仕事のときはパンツスーツ。それに合わせておしゃれなスニーカーを履くようにしている。後輩社員からは賛同の声が多く、他の女性社員も続々とスニーカーに変えたそう。
「なんといっても機動力が違う。すぐに動けるし、階段を駆け下りることもできる。ヒールのパンプスじゃこうはいかない。在庫調べに倉庫に入るときもスニーカーが一番ですよ」
だが、創業者の妻が来社したとき、マサミさんが動き回るのを見ながら「あなた、足が悪いの?」と言ってきた。いいえと答えると「だったら運動靴はやめたほうがいいわね」とあっさり言われたそう。
「下手なパンプスよりずっと高いスニーカーを履いてたんですけどね(笑)。なかなか年長者には理解してもらえない。社のセレモニーのときは一瞬だけパンプスを履きましたが、セレモニー後のレセプションではスニーカーにしました。靴ごときであれこれ言われたくないですよ」
社内には足にトラブルがあってスニーカーのような靴しか履けない社員もいる。マサミさんがスニーカーを愛用するようになって彼らから「心強いです」という言葉をもらった。誰が何を履こうが仕事に支障がなければかまわないはずだと彼女は言う。
>友人たちとのおしゃれの感覚の違いにも戸惑う