人間関係

靴を試着して買うなんて「効率悪くない?」と中2の娘。便利さが不便とストレスを生む時代の反省点

娘が試着もせずにネットで靴を買おうとしていたので、街の靴屋さんにつれていき、おいしいものを食べながらおしゃべりをした。生き急ぐように効率を求める娘の話を聞くにつけ、自身もゆとりのない生活をしていて娘の参考に全くなっていないことに気がついた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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今どきの10代の子の感覚は、親でもなかなか理解できないと嘆いている人は多いのではないだろうか。このコロナ禍の3年間が微妙に影を落としていると感じると話してくれた父親がいる。
ネットで効率よく、が娘の行動パターン

ネットで効率よく、が娘の行動パターン

効率しか考えていない

「あるとき娘が、お出かけ用の靴がほしいとネットを見ていたんです。デザインを見比べているのかと思ったら、そのまま買いたいと。『靴は履いてみないとわからないから、店に買いに行こう』と言うと、『え、わざわざ行くなんてコスパもタイパも悪くない?』と。びっくりしましたね」

そう言うのはアキオさん(43歳)だ。中学2年生の長女は、最近、やたらと“効率”を気にするようになった。わざわざ靴を買いにいくのは、交通費等を考えれば価格的にも時間的にも無駄だというわけだ。

「『あのね』、と思わず言いました。『靴は履いてみて、確実に足に合っているかどうか確認しないと足を痛める原因にもなるんだよ』、と。『だからいろいろ履いてみたほうが結局は無駄な買い物をしなくてすむ。それにパパと行けば、おいしいものが食べられる』と言うと、やっと笑顔になりました」

買い物当日は、珍しく娘とよく話した。ふだんは食事が終わるとすぐ部屋にこもってしまう娘だが、外に出ると気分も変わるのだろう。

「以前から気になっていたことも聞いてみました。コロナ禍で友人関係や娘自身の気持ちが変わったかどうか。娘の世代での失われた3年間は大きいと思う。彼女の心に影を落としていないかどうか。それに関して娘は、『みんな同じ条件だからしょうがないよね。でもいつ何が起こるかわからないから、ものごとを効率的にしておかなくちゃとは思うようになった』と。どうつながるのかよくわからないけど、生き急いでいるような感覚なんでしょうか。娘もドラマやバラエティを早送りで観ますからね。それだったら興味のあるものをじっくり観て、興味のないものは観なければいいと思うんだけど、観ておかないと友だちと話が合わなくなるのを恐れている。大変な時代なんだなと思いました」

そんなに効率ばかり考えなくても、もう少しゆったり時間を過ごしてもいいんじゃないかとアキオさんは思わずつぶやいた。すると娘は「のんびりしていたら、すべてから取り残される」と言った。

「『よく考えてみよう。何から取り残される? きみはきみの人生を生きるしかないんだから、自分の目標に向かってやりたいことをやればいいんだよ』と言ってみたんですが、娘の心には刺さらなかったみたいですね」

それでも靴屋さんに行った娘は、あれこれ試し履きをするのが楽しかったようだ。

>娘との外出で気が付いた自分自身のあり方
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