個人年金

個人年金保険の活用方法。「繰下げ」受給とは?

老後の生活のベースになる公的年金は、原則65歳からもらえますが、それよりも受給開始を遅らせる繰下げ制度があります。これと同じ制度は、民間保険の個人年金保険にもあります。今回は、個人年金保険の活用方法として「繰下げ」を紹介します。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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民間保険の個人年金保険にも「繰下げ」がある?

老後の生活のベースになる公的年金は、原則65歳からもらえますが、それよりも受給開始を遅らせる繰下げ制度があります。

現時点では、最長75歳まで繰り下げることができ、1カ月ごとに0.7%ずつ年金が増えます。もし、70歳まで5年間繰下げを行うと42%、75歳まで10年間繰下げすれば84%も年金が増えます。

これと同じ制度は、民間保険の個人年金保険にもあります。今回は、個人年金保険の活用方法のうち、「繰下げ」について紹介します。
個人年金保険の繰下げって?

個人年金保険の繰下げって?

個人年金保険とその3つの受け取り方とは

そもそも個人年金保険とは、民間の保険会社が販売する商品で、60歳や65歳といった一定の年齢まで、払い込んだ保険料を積み立てていく貯蓄型の保険です。

公的年金だけでは足りない生活費を補填する「私的年金」として個人年金保険を活用する方が多くいます。

個人年金保険の受け取り方には、大きく3つの方法があります。

●確定年金
年金の受取期間が5年・10年・15年と決まっています。もし、被保険者が年金受取期間中に死亡しても、遺族が残りの期間分の年金を一時金または年金で受け取ることができます。

●有期年金
年金の受取期間は確定年金と同じく、5年・10年・15年で受け取れます。しかし、被保険者が受取期間中に亡くなった場合、支払いは終了となります。

なお、有期年金でも、5年・10年と保証期間がついているものもあります。その場合、万が一、被保険者が死亡したときは、遺族が保証期間の未受給分を年金または一時金で受け取ることができます。

●終身年金
被保険者が生存している期間は、終身にわたり年金を受け取ることができます。被保険者が長生きしたときは多くの年金をもらえますが、被保険者が早く亡くなれば、その時点で年金は打ち切られます。

しかし、中には有期年金と同じく、5年・10年と保証期間がついているものもあります。その場合、万が一、被保険者が死亡したときは、遺族が保証期間の未受給分を年金または一時金で受け取ることができます。

さらに、夫婦のどちらかが生きていれば、継続して年金を受け取ることができる夫婦年金もあります。

個人年金保険の「繰下げ受給」を利用する際の注意点

個人年金保険は、60歳までに保険料の支払いが終わり65歳から年金を受け取る契約でも、年金の受給開始を5年後の70歳、10年後の75歳に繰下げできるものがあります。

その場合、保険会社は預かった保険料を、当初の契約よりも5年、10年と長く運用することができ、その増額分が年金に上乗せされます。

ただし個人年金保険の繰下げ受給は、保険会社ごと、個人年金の商品ごとに、繰下げの可否、増額率、申請のタイミングなどの取り扱いが異なります。その場合の注意点を確認していきましょう。

●繰下げ受給の可否、増額率を確認するには
現在契約している個人年金保険の繰下げの可否や増額率は、手続き方法は、保険会社ごと、商品ごとに違います。

まずは、契約する際に受け取る約款の「年金開始日の変更」について書かれている内容を確認しましょう。

約款は、保険の申込みをしたときに受け取っている冊子で、保険契約を締結するための決まり事が記載されています。もし、紛失した場合は、保険会社のホームページなどでも閲覧できる場合がありますが、契約している保険会社に問い合わせるのが確実です。

●似た仕組みの「据え置き」と混同しない
個人年金保険には、「繰下げ」とよく似た「据え置き」という仕組みがあります。どちらも、個人年金保険の支払が完了した後、受取期間を延ばす制度です。ただ、この2つは、適用される予定利率が異なるため注意が必要です。

「据え置き」の場合は、据え置き期間の予定利率が適用されます。一方で、「繰下げ」の場合は、個人年金保険に加入した時点の予定利率が継続されます。このように「据え置き」と「繰下げ」では、予定利率の取り扱いが異なります。

予定利率とは、保険会社が契約者に対して約束する運用利回りのことで、日本の金利情勢に応じて保険会社が定期的に見直ししています。

そろそろ満期になる個人年金保険の契約時期は1990年代ごろ。そのころの大手生保の予定利率は3~5%ほどです。

一方、個人年金保険を払い終え、据え置く場合は、現在の予定利率が適用されます。現時点での予定利率は1%以下でゼロに近い場合もあります。

ご自身が契約している個人年金保険の、据え置きと繰下げの違いについて慎重な確認が必要です。

●個人年金保険の繰下げ手続きは、個人年金保険の受取りを開始する前に確認しておく
個人年金保険を繰下げしたくても、個人年金保険の受け取りを開始した後では、変更することはできません。

事前に契約している保険会社に問い合わせ、個人年金保険の繰下げはいつからでき、どのような手順で行うのか、さらに、個人年金保険を繰下げした後に受け取りを開始する必要が出た場合はどう対応するのがいいのかなどを確認しておきましょう。

まとめ

個人年金保険に加入したのが、何年も前であれば、「繰下げ」をはじめとする細かい契約内容を忘れていることも多いはずです。まずは、契約書・約款などをそろえ、契約している保険会社に問い合わせしましょう。
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