2022年の平均貯蓄額、二人以上世帯は1291万円、シングルは871万円
金融中央広報委員会が2022年12月に公表した、『家計の金融行動に関する世論調査2022年』から、平均貯蓄額などを紹介します。ここでいう平均貯蓄額は、同調査では「金融商品の保有額」のことです。金融商品の保有額とは、預貯金、貯蓄性のある生命保険、債券や株式、投資信託、その他の金融商品の総合計。ただし、預貯金に関しては、日常的な出し入れ・引き落としに備えている部分を除いた「運用のため、または将来に備えて蓄えている部分」のみをカウントすることとしているため、銀行口座などに保有している金額のすべてではないことを、前置きとして付記しておきます。また、調査方法が変更になり、2019年~2021年の結果は不連続である点もあわせて付記しておきます。
さて、今回の調査では、平均貯蓄額は、二人以上世帯で1291万円、単身世帯で871万円という結果となっています。貯蓄額が少ない順に並べてちょうど真ん中にあたる世帯の貯蓄額である中央値は、二人以上世帯で400万円、単身世帯で100万円でした。
金融資産を保有している世帯のみでの結果は、二人以上世帯で1698万円、単身世帯で1348万円。同じく中央値は、二人以上世帯で750万円、単身世帯で450万円となっています。
これらは平均値であれ中央値であれ、全国、老若男女、年齢や年収を考慮しない数値ですから、自分ごとにするには、イメージしにくいといわざるをえないでしょう。ちなみに、二人以上世帯の世帯主の平均年齢は55歳。手取り年収540万円(中央値494.5万円)。単身世帯の平均年齢は50歳、手取り年収256万円(中央値209万円)でした。
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●二人以上世帯の金融資産の保有額
金融資産を保有していない世帯も含む平均値……1291万円(中央値400万円)
金融資産を保有している世帯のみの平均値……1698万円(中央値750万円)
●単身世帯の金融資産の保有額
金融資産を保有していない世帯も含む平均値……871万円(中央値100万円)
金融資産を保有している世帯のみの平均値……1348万円(中央値450万円)
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手取り収入からの貯蓄割合は、二人以上世帯で平均11.0%
では、こうした調査のデータを自分ごととして、参考にするとしたら「収入からの貯蓄割合」を見てみるのもいいでしょう。二人以上世帯、単身世帯とも金融資産を保有している世帯を対象とした「年間手取り収入からの貯蓄割合」は、二人以上世帯で平均11.0%、単身世帯で13.0%。
二人以上世帯で、最も多い回答は、貯蓄割合15%未満で19.6%。次いで10%未満が13.0%となっています。単身世帯では、貯蓄割合15%未満が15.1%、35%以上が11.4%となっており、単身世帯では貯蓄できている層と、できていない層が二極化しています。 しかしながら、二人以上世帯も単身世帯も、収入から貯蓄をしなかった世帯が、32.2%、39.7%と非常に高い割合を示しています。長く続くコロナ禍において、収入が減少、特にボーナスの減少が大きかった世帯も多く、そうした影響もあると思われますが、ボーナスも含めて、年間で貯蓄できなかった世帯が数多くあるというのは例年同じ傾向にあります。
金融資産を保有している世帯の集計ですから、貯蓄としては残っているけれど、意識的に貯蓄をしようという意欲が薄れているといえるのかもしれません。
臨時収入からの貯蓄割合は、二人以上世帯で平均26.0%
貯蓄割合については、ボーナスのあるなしでも、差があるでしょう。今調査で、「臨時収入があった」とする世帯は二人以上世帯で57.4%、単身世帯で46.1%。業種によっても臨時収入の有無に大きな差があり、ここでもコロナ禍の影響が出てきているといえるでしょう。ボーナスなどの臨時収入からの貯蓄割合は、二人世帯で平均26.0%、単身世帯では33.0%と高い割合を示しています。また、単身世帯では60%以上貯蓄に回した人が12.3%という結果も特筆すべき点でしょう。
貯蓄をしなかった世帯については、二人以上世帯で19.5%、単身世帯では15.6%という結果に。二人以上世帯では、子どもの教育費や住宅ローンのボーナス時返済など、ボーナスから出ていくお金も多く、なかなか貯蓄に回せないという事情もあるかもしれません。単身世帯は毎月の貯蓄は難しくても、ボーナスからは貯蓄に回そうという意識があるのかもしれません。
以上、調査データから平均貯蓄額などを見てきましたが、金額そのものよりも、どれだけ貯蓄に回せているのかを示す「貯蓄割合」の数値は、どの世帯にとっても参考になるものと思います。各家庭の状況で、貯蓄ができない時期もあるでしょう。でも、給与から、ボーナスから先取りで、無理のない範囲で1万円でも、2万円でも貯蓄をすることが大事で、また継続していくことが大事です。
コロナ禍で、多くの世帯で収入、支出が大きく変化しています。昨年の調査結果と比べて平均貯蓄額が全体的に減少しています。これまでの貯蓄を取り崩して収入減を補っているケースもあったでしょう。また、以前の収入の状態に戻るのが厳しい世帯も少なくありません。改めて支出の見直しなどを行い、最低限の貯蓄ができるような家計管理を心がけるようにしましょう。
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