人間関係

“常に前向き”なママ友ばかりで疲れる。「母親なんだから明るくね」とLINEで慰められてモヤッ

何事においても「前向き」さはポジティブに評価される。わかってはいても、常に希望を持ち、前を向いて頑張らなければいけないのか?

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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どんな状況でも先に希望を持って前を向いて歩く。と聞けば、思わず「そうだ、そうしなければ……」と思うが、実際にはなかなかそうはいかない。怠けたいときもあるし、頑張ろうと思っても何も手につかないこともある。まったく怠らずに努力を続けるのは難しいことなのだ。

引っ越した先で「いい友だち」ができたけど……

母親だって疲れるときはある……

母親だって疲れるときはある……

「今の地域に越してきて1年経つんですが、周りのママ友がみんな明るくて前向きで、本当にいい人ばかり。最初は私もとても楽しく過ごしていたんです」

結婚して9年、8歳の長女と5歳の長男をもつナナミさん(40歳)。昨年、中古ながらマンションを購入、家族4人で越してきた。2歳年上の夫は会社員、彼女は契約社員だが、コロナ禍以降、会社の方針もあってほとんど家で仕事をしている。出社は週に1回程度だという。

「越してきて最初に親しくなったのが、2軒隣のご家族。あちらの下の子がうちの長女と同い年だったので、学校のこともいろいろ教えてもらいました。そこから上の子つながり、下の子は保育園なのでその関係と、ママ友も増えていって」

LINEのグループもいくつかある。リモートとはいえ仕事がけっこう忙しいし、コロナ禍ということもあって、ナナミさんはめったに「お茶会」には参加しなかった。それでも外で会えば立ち話はするし、LINEで家庭のことなどさまざまな話が飛び交っているから、ときには当たり障りのない相づちを打つこともあった。

「いつも思っていたのは、みんな明るくて礼儀正しくて前向きだなということでした。去年の秋、実家の父が倒れて慌てたんですが、それを知ったママ友のひとりが呼びかけてくれて、ご近所さんが子どもたちの面倒を数日間、見てくれたんです。ちょうど夫が多忙な時期だったので、夫も本当に感謝していました。父も大ごとにはならなかった。ひとりずつお礼を言って回ったんですが、みなさん、心底心配してくれて助かりました」

ところがその後、父親に認知症の症状が表れ始めたと母から連絡があった。ナナミさんには弟がいるが遠方で仕事をしているし、母にしてみると娘にしか愚痴は言えないのだろう。最初のうちはじっと聞いて慰めていたが、そのうちナナミさん自身がいらいらしてくるようになった。

>母親は「常に前向き」であるべき?
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