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PTA会費から学校への寄付はNG!? コロナ禍の活動自粛による余剰金の行方は?【PTA会計Q&A】

PTA活動と切り離せないのがその会費。「毎年、PTA会費を納めているものの、どのように使われているのかよく分からない」という保護者も多いのではないでしょうか。PTA会費・会計にまつわる疑問やありがちな誤解についてQ&A形式で解説します。

長島 ともこ

執筆者:長島 ともこ

子育て・PTA情報ガイド

PTA会計にまつわるQ&A

PTA会費にまつわる疑問やありがちな誤解について解説

終業式が終わり、PTAも年度替わりの時期を迎えました。年度末の本決算を前に仮決算書を配布したPTAも多いのではないでしょうか。

PTA活動と切り離せないのが、PTA会費。「毎年納めているものの、どのように使われているのかよく分からない」という保護者も多いでしょう。そこで今回は意外と知られていないPTA会費の基礎知識について解説します。
 

PTA会費とは?「学校徴収金」と一緒に引き落とされるのは問題!?

そもそもPTA会費とは、PTAの運営や活動のために使われるお金のこと。任意団体であるPTAには会計基準が存在しないため、その金額や会費についての規定は、各PTAにより異なります。

会費の額は、年間2000円~5000円前後が一般的なようです。また、きょうだいが何人在籍していても、「ひと家庭につき〇〇円」と金額は変わらないのが原則というPTAが多いようです。

子どもが通う学校のPTA会員である保護者の方は、毎年、年度始めにPTA会費を納めていることと思いますが、その集め方には、

1.集金日に封筒に入れた会費を子どもに持たせ、PTA役員が集めるという「集金方式」
2.給食費などと一緒に学校から引き落とされる「学校徴収金一括方式」

の大きく2つの方法があります。

しかし、そもそもPTAは“学校とは別の”任意団体のため、本来なら会計口座は別々に分ける必要があります。2の「学校徴収金一括方式」で集金する場合は、PTAと学校の間で「業務委託契約」を結ぶ必要があることを知っておきましょう。

また「学校徴収金一括方式」による会費の運営については、時折「PTA会費を扱う学校関係者がPTA会計の一部を横領した」といったニュースも見られます。このようなトラブルを避けるため、PTA独自で口座を開設して振り込んでもらう形で会計管理を行うPTAも増えてきています。
 

公費との混同に注意! 正しく理解したいPTA会費の使用目的

各学校のPTAは、年度始めに事業計画と予算案を作成。PTA総会での承認を得て執行され、年度末に決算を行います。

各校PTAにより異なりますが、一般的にPTA会費は、

・役員会、各委員会活動費
・文具類などの消耗品や備品の購入
・役員の対外活動のための交通費や通信費
・PTA広報誌の印刷費
・PTA活動中の事故やケガに対する傷害保険・賠償責任保険料
・PTA連合会への分担金
・児童生徒に贈呈する入学・卒業記念品
・結婚祝い(教職員)お悔やみごとがあった方(教職員・保護者・児童生徒)への慶弔金(※各PTAの慶弔規定に準ずる)

などに使われています。

文字通りPTA会費は、PTAを維持し運営するため、PTA活動のために使われるのが本来の在り方です。しかし、公費で賄うべき学校の施設設備の修繕や備品の整備、教育活動として行われる学校行事などにかかる経費をPTA会費から支出している場合があり、注意が必要です。

また最近は「コロナによる自粛が続いてPTA活動ができず、余剰金が多く出て困った」などの声も聞かれます。

これらを踏まえて、PTA会費・会計にまつわる疑問やありがちな誤解をQ&A方式で解説していきます。
 

Q.PTA会費の支払いは義務なの?

A.PTAは社会教育法第3章第10条で規定される「社会教育関係団体」です。これは何かというと、会員が自主・自立的に運営を行う入退会自由の任意団体ということです。

PTA本部が保護者全員に「加入か、非加入か」の意思を確認し、加入する保護者は「入会届」の提出をもって会員となり、会費を支払うのが本筋です。ですから、非加入の保護者はPTA会費を支払う義務はありません。
 

Q.“非加入”の家庭の子どもはPTAからの記念品はもらえないの?

A.PTAはその学校に通う全ての子どもたちの健やかな成長を目的に活動する団体です。

支援対象はその学校に通う全ての子どもたちであるため、「PTAに非加入で会費を払っていない家庭の子どもに対し、卒業記念品を渡さない」という扱いはNGです。
 

Q.PTA会費で“学校の備品”を買うのはいけないの?

A.エアコンやオイルヒーターなどの空調設備や学校家具をはじめとする備品は、学校運営、教育活動にかかる経費として、学校教育法第5条により原則として設置者負担となっています。

これらの備品をPTAが購入するのは「寄付」にあたり、学校教育法や地方財政法といった法律の観点からもNGです。

なお、PTA会員が使用する消毒液やウェットティッシュなどの衛生用品をPTAで購入し、学校と共同で使用するなど、厳密に使用者が区別できない場合は寄付にはあたりません。
 

Q.記念品として遊具などをPTAから「寄贈」してもよい?

A.卒業などの機会に、子どもたちのより良い教育環境を整えることを目的に、PTAから善意により遊具などを贈る場合は、自治体が定める関係規定に従い、学校に「寄附採納」(自治体に「〇〇を寄付します」という意思を示し、自治体がこれを受諾することにより成立する契約)の処理をしてもらうことが必要です。

寄附採納をしていない場合はPTAの所有物という扱いになるため、将来の買い換えや修理、廃棄などはPTAが行うことになります。特に、寄贈した遊具が原因で事故が起こった場合は、PTAが管理責任などを問われるケースもあるため注意が必要です。

いずれにしても、寄附行為は会員の了承が必要です。PTA本部は入会申込書などで入会意志を確認した会員が参加する総会での議決が必要です。
 

Q.コロナ禍の活動自粛による、余った会費の行方は?

A.PTA会費は“単年度で”使い切ることが理想ですが、現状は、毎年余剰金が生じ繰越金が積み重なっているPTAが多いようです。

コロナ禍で思うように活動ができず余剰金が生じたPTAは、総会に次ぐ議決機関等で話し合い、学校の意見も考慮した上で、

・全ての児童生徒にファイルやタブレットケースなどの学用品を贈る
・全ての児童生徒に図書カードを贈る
・会費の余剰分を返金する
・余剰金を次年度の予算に組み込み、会費の徴収額を調整することにより収入を減らす
・校庭で花火をあげるなど、子どもたちに向けたイベントを開催する

など、さまざまな対応を行ったようです。

また、繰越金が多い場合に備えて「PTA会費を年度ごとの変動制にする」と規約改正したPTAもあるようです。

子どもが通う学校のPTAから会費を徴収されている場合は、ただ納めるだけでなく、子どもたちの学校生活のためにどのように使われているのかに関心をもつことが大切です。

分からないこと、疑問に思うことがあればPTA本部に聞くなど、主体的に関わりたいものです。

【参考】各自治体 PTAの手引き
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