人間関係

「熟年離婚」の重すぎる副作用。50代女性「結局、離婚したら食べていけないのは私」とため息

「熟年離婚」だけが微増するなかで、「離婚できる人が羨ましい」とこぼす女性の声も……。家政婦のようにこき使われる結婚生活に耐え続けた挙句に、「離婚する選択肢さえない」という50代女性の事情とは?

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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離婚件数が横ばいの中、同居20年以上の熟年離婚だけが微増しているということは以前も書いた。自由になりたい女性、長く共に過ごした妻に依存しがちな男性という図式も多いが、もちろん「離婚したくてもできない」人が多いのも事実。悶々とした思いを抱えながら、熟年期をどう生きていけばいいのだろうか。
 

「熟年離婚できる人」がうらやましい

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「私の友人も、つい最近、離婚したんですよ。正直言って、離婚できる人がうらやましいとつくづく思います」

リエコさん(57歳)は、しみじみとした口調でそう言った。結婚して28年。27歳と25歳になった子どもたちはすでに就職した。下の娘とは同居しているが、社会人になった彼女は休日でさえ家にはいない。

「子どもたちが自立していくのはうれしいけど、私は何のために生きてきたんだろうと思います。この先、あと30年もこんな状態で暮らしていくのかと思うと耐えられない」

離婚した友人は、出産後いったん家庭に入ったが、30代半ばで社会復帰し、正社員としてバリバリ仕事をしているという。子どもがひとりだったこと、自分の母親が協力してくれたことから社会に出やすかったようだ。

「うちは夫も私も地方出身で頼れる人がいなかった。子どもの年齢が近かったし、夫も私も『子どもが帰宅したとき家に母親がいないのはかわいそう』と意見が一致したんですよね。だから私がパートに出られるようになったのは、下の子が小学校中学年になってから。離婚した友人には『みんな生き方が違うから。あなたはしっかり子どもを育てたんだから、それはそれでよかったのよ。私は子育てには後悔ばかりだもの』と言ってくれたけど、あのときラクをしたのではないか、もっと資格をとるとか何かできたんじゃないかと考えてしまうんです」

夫の収入はそれなりによかった。だから一家が生活することもできた。自分が贅沢をせず、しっかりやりくりしたからだという自負もある。それなのに……。この虚しさは何だろうとリエコさんは思っている。

「結局、夫との関係に不満があるんでしょうね。でもそれを改善する気力もない。夫は暴力をふるったり暴言を吐いたりはしないけど、どこか心が通い合わないんです。私もあるときから、もう夫の心の中など知らなくてもいいやと思ってしまったから、そこからはずっとお互いに無関心のままだった。いてもいなくても同じなら、ひとりで自由になりたいけれど、踏み出すには勇気がいりますね」

夫は今年60歳。いったん定年退職となるが、そのまま継続雇用される予定だ。

>58歳女性は言う「〇〇保険」があれば……
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