高校受験

せっかく入学した進学校で詰む!? 高校に合格した中学3年生が「高1ゼロ学期」の春にするべきこと

高校の合格発表に一喜一憂しているのもつかの間、早くも高校の予習を始めている中学3年生(新高校生)も。特に、入学するのにオール4以上が必要な進学校では、この春を「高1のゼロ学期」と思って勉強を始めないと、最初のテストでひどい成績を取ることに!?

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

志望校合格という吉報が届いた人もいれば、まだ吉報を待っている人もいてまちまちな中3の3学期。そんなこの時期の中学3年生に伝えたいことは、4月に高校に入学するまでの約1カ月間を「高1のゼロ学期」のつもりで過ごしてほしいということです。
 

高校は大学受験のライバルの巣窟(そうくつ)だ!

学年1位をとったことがある生徒が何人も集まる進学校

学年1位をとったことがある生徒が何人も集まる進学校

高校受験が終わってホッとしているのもつかの間。「進学校」と呼ばれる高校は、極端な話、学年1位をとったことがある生徒が100人も、200人も集まるところです。そんな集団の中で新たに成績の1位からビリまでが決まるのですから、少しでも気を抜くと今までにとったことのないテスト結果になりかねません。

また、「高校受験までは県予選、大学受験は全国大会」ともよくいわれます。同じ高校の同級生であっても、受験という名のもとではライバルに変わりはありません。そんな高校で、今まで以上に好成績を残すためには、中学校のとき以上に勉強するしかありません。
 

高校の勉強科目数は中学のときの2倍以上に……

中学校とちがって高校では、数学IとA、英語コミュニケーションと論理・表現など、すべての教科でいくつかの科目にわけて学ぶようになります。単純に、中学のときの倍以上の科目を勉強すると思ってください。
 
<高校1年生で学ぶ主な科目>
・数学I・数学A
・英語コミュニケーションI、論理・表現I
・現代の国語、言語文化
・歴史総合、地理総合
・化学基礎、物理基礎、生物基礎などから2科目
・情報I
 
しかも、内容が高度なものばかりのため、授業で習ったからといってすぐに理解できるわけでありません。物理や化学、歴史なども、何度も復習してようやく理解できるようなものばかりです。当然、中学のときとは勉強のやり方やスケジュールも変える必要があります。
 

テスト週間だけでは勉強時間が足りない、高校の定期テスト

高校の定期テストで必要な勉強時間ってどれくらいだと思いますか。筆者は長年の指導の経験から、最低でも1科目あたり10時間は必要と考えています。10科目なら10×10=100時間も必要ということです。
 
では、実際に高校のテスト週間でどれくらいの勉強時間を確保できるでしょうか。計算してみると、次のようになります。
 
<高校のテスト週間で確保できる勉強時間>
・テスト週間(平日):4時間×5日間=20時間
・テスト週間(土日):10時間×2日間=20時間
・テスト当日(前日):7時間×4日間=28時間
【合計】68時間『[いとう式]高校勉強法(大和出版)』より
 
テスト週間は部活がありませんから、夕方4~5時には帰宅できるはずです。そこから夕飯と寝るための準備の時間を引くと、平日に勉強できる時間はだいたい4時間程度でしょう。土日は、朝から晩まで丸1日勉強できるので、だいたい10時間程度です。またテスト当日は午前中に学校が終わって昼過ぎには帰宅できるはずなので、そこから次の日のテストに向けて勉強すると、だいたい7時間程度は確保できるでしょう。
 
しかし合計するとたった68時間しかなく、100時間には全然足りません。運良くテストが2週間にまたがっていてテスト週間に土日が2回あったとしても、総勉強時間は20時間プラスした88時間にしかなりません。
 
つまり、どう考えてもテスト週間だけでは勉強時間が足りないので、テスト勉強を前倒しする必要があるのです。あるアンケートによると、高校生がテスト勉強を始める時期は、テストの2週間前というのが一番多かったそうです。つまり、それくらいの心づもりでいないと高校の勉強にはついていけないのです。
 

「高1のゼロ学期」のつもりで英語と数学の予習を

先ほどの「1科目につきテスト勉強は10時間以上」というのは、あくまでも平均点レベルを目指すケースです。さらに上位の成績を収めたいのであれば、それ以上の勉強時間が必要となり、おのずと「毎日がテスト勉強」のつもりで取り組む必要があります。

さらに、高校に入って勉強でおいていかれないためには、受験が終わった中3の3月から高校の勉強を始める必要があります。具体的には、英語と数学の復習と、高校の勉強を先取りする「予習」を始めるといいでしょう。

英語では、何をおいても単語が重要です。とはいえ、各高校で指定の単語帳を使用する場合がほとんどなので、わざわざ買う必要はありません。そこで手軽にできておすすめなのが、『英単語ターゲット1900(旺文社)』の無料アプリ『ターゲットの友』をインストールして、英単語を覚えること。このアプリは、100個ずつセクションにわけられた単語の中から20問ずつランダムに出題され、それを四択で答える形式のものです。4月の入学までに300個程度やっておくといいでしょう。
 
もう一つ、英語で大切なのは「英文解釈」です。英文解釈という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、英文や長文を感覚ではなく、文法にそって正しく読み取るスキルのことです。これらの両方が学べるのが『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編(KADOKAWA)』です。こちらは高校の指定教材になることはないと思いますので、一冊買っておいて今からやっておくといいでしょう。
 
数学は、説明が平易な参考書型の問題集を1冊購入して、自学自習形式で予習をおこなうといいでしょう。おすすめは『数学I・A入門問題精講 改訂版(旺文社)』です。分配法則や指数法則(累乗の計算)など、多くの高校生が戸惑う内容を、わかりやすく丁寧に解説しています。それでもわからない場合は、YouTubeなどで解説動画を見て補うようにしてください。
 
そしてひと通り学んだら、練習問題を解く「問題演習」をやってみましょう。この時点では、難しい内容に挑戦する必要はありません。高校の最初のテストの範囲になりそうなところの練習問題を何回かやっておきましょう。
 

今のうちに自分の強みの「得意科目」を伸ばそう

高校に入っても成績が伸びる子の特徴のひとつに「得意科目」があることが挙げられます。一つでも抜きん出ている科目があると、自信やゆとりにつながるからです。先に紹介したように、高校の勉強科目は単純に中学の倍以上あります。一つひとつの科目をじっくり勉強している余裕はありません。
 
そんなときに得意な科目が一つでもあると、心理的にもスケジュール的にも余裕が生まれます。また、得意科目は勉強のコツややり方をつかむのに適しています。いわば成功体験です。高校ではこうした成功体験を軸に、他の科目でつまずかないように勉強したり、苦手な科目を克服したりすることが大切です。そのためにも、この時期に数学や英語はもちろん、国語や理科、地理・歴史などのなかから自分の得意な科目を伸ばすようにしましょう。

とはいえ、中学と高校の勉強とでは、内容が全く異なる科目もあります。その対策として、「現代の国語」であれば新書や高校生向けの本、「言語文化(古文や漢文)」であれば源氏物語や史記などのマンガを読んでおくことをおすすめします。また歴史や理科であれば、『キングダム』や『項羽と劉邦』『はたらく細胞』などのマンガやアニメが有効です。
 
これらは、いわば雑学的な知識です。勉強という堅苦しい感じではなく、趣味の延長のつもりで取り組むといいでしょう。この春、さっそく取り組んでみてください。

■関連書籍
[いとう式]高校勉強法(大和出版)
英単語ターゲット1900(旺文社)
肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本 必修編(KADOKAWA)
数学I・A入門問題精講 改訂版(旺文社)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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