義実家は「逆らわないのが家訓」と主張
義母はすぐにカエさんの実家に電話をかけたようだ。カエさんは母からそのときのことを聞かされた。「義母は母に『親が娘を呼び捨てにするのは当たり前。うちは娘を呼び捨てで育てた。お宅は親に逆らうような娘を育てたんですね』と言ったそうです。でもそれはウソ。義父は義妹をニックネームのようなもので呼んでいたし、義母は名前にちゃん付けでしたよ。そんなウソをついてまで、私を支配したいのかと疑心暗鬼になりました」
たかが呼び方かもしれないが、カエさんは義父母から見ればあくまでも「息子の妻」であって、家の「嫁」ではない。
「こじれていきそうな問題だったけど、そのときは夫が自分の両親をなんとかなだめてくれました。でもそれ以来、義母は私を『シンちゃんの奥さん』と呼びかけたり、『ちょっとあんた』と言ったり。逆にいっさい名前を呼ばなくなりました。そこに意固地なものを感じますね」
シンちゃんの奥さん、という呼びかけはなかなか強烈な嫌みが込められている。最近では、孫の名前を使って「よっちゃんママ」と言うこともあるという。
「親戚が集まったときには、『こちらのママさんは』と言ったんです。なんだそれと親戚が言うと、『この人、名前を呼ばれるのが嫌いみたいなので、みなさん、気をつけてくださいね』とにやにやしながら言われました。名前が嫌いって何なんだという雰囲気。『いいかげん、こういうくだらない意地悪はやめさせたほうがいいんじゃないの』と夫に当たってしまいました」
今もそんな事態が続いているので、カエさんは常にモヤモヤしているという。近所に住んでいるし、子どものこともあるので世話にならないわけにはいかない。だが義父母は最近、カエさんの娘たちのこともときおり呼び捨てにする。カエさんの顔色が変わると、あわてて「ちゃん」を付けるのだ。
「気にしないようにしたほうがいいのか、せめて孫には“ちゃん”を付けてほしいと言ったほうがいいのか……。モヤモヤ、きりきりしている自分が嫌になってきました」
義父母からの呼び捨て問題が気になっている人は意外と多いのではないだろうか。