ライフキャリア

人生100年時代に必須の人生設計論「ライフキャリア」とは? いま注目される背景とその重要性

最近よく使われる「ライフキャリア」という言葉。今までも「キャリア教育」のように「キャリア」という言葉が一般的に多く使われてきたが、それとは一体何が違うのだろうか? 今回は 「ライフキャリア」という考え方の意味とこの言葉が使われるようになってきた時代背景を解説する。

小寺 良二

執筆者:小寺 良二

ライフキャリアガイド

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ライフキャリアとは? これからの時代に必須の人生設計論

最近、「ライフキャリア」という言葉を聞くようになったという人も多いのではないだろうか。今までも「キャリア教育」「キャリアプラン」のように「キャリア」という言葉が一般的に多く使われてきたが、それとは一体何が違うのだろうか? 今回は 「ライフキャリア」という考え方の意味・基本と、この言葉が使われるようになってきた時代背景について、ライフキャリア支援を行う筆者が解説する。
 

生涯を通じた「生き方」を意味するライフキャリア

現代社会において「キャリア」という言葉はかなり一般化してきたといえる。

企業では社員が今後目指す役職や職務について「キャリアプラン」を考え、学校現場でも将来なりたい職業についての理解を深める「キャリア教育」が行われている。またそれらを専門的に支援する役割として「キャリアコンサルタント」という国家資格もある。

厚生労働省によると「キャリア」とは、以下のように書かれている(※1)。

「キャリア」とは、過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。

人が生きていく上で「働く」ということは最も大切で必要なことのひとつであり、それについて考えたり、より良いものにしていくために「キャリア」という言葉は使われてきた。

しかし最近になってその「キャリア」は、「ライフ」という別のキーワードも加わり「ライフキャリア」という言葉として使われることも多くなった。

「ライフキャリア」は仕事だけでなく、家庭や趣味などの日々の生活や、地域との関わり、ボランティアなど、生涯にわたる役割や経験の積み重ねを示す言葉として使われている。

「キャリア」は就職や転職といった働くことに関する場面を連想させられるが、人生にはそれだけではなく進学、結婚、離婚、子育て、地域活動、介護などさまざまなライフイベントがあり、それらは単独ではなく並行しながら経験することになる。当然それによって「働き方」や「職業」も変化することになるので、ライフキャリアは自分らしい人生を選択するためにそれらのライフイベントを総合的に捉えて生涯を通じた「生き方」を考えるという意味合いを持つ。
 

ライフキャリアが重要となってきた時代背景

「ライフキャリア」という考え方や概念が重要になってきたのは、以下のような時代背景がある。

(1)生き方や働き方の多様化
大学を卒業したら就職し、その会社で定年まで働くといった以前のような画一的な人生モデルは存在しなくなった。社会人にとって転職は当たり前になり、正社員だけでなくフリーランスや業務委託といった雇用形態も多様化している。またコロナ禍をきっかけに会社員であっても在宅で働けたり、パソコンがあれば地方にいながら東京の会社で仕事をしたりできるようなワークスタイルも可能になった。

働き方の自由度が増したことで自分自身がどのようなキャリアを描きたいのかは、所属する会社や職種だけではなく、どのようなライフスタイルを送りたいのかなどを含めて考える必要性が出てきたといえる。

(2)人生100年時代の到来
リンダ・グラットン著書の『Life Shift - 100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)を読んだ人も多いかもしれないが、現代人は自身の人生を100年スパンで考える必要性が出てきた。

平均寿命80歳の時代であれば、会社を65歳で定年してからの老後生活は15~20年で、生活は年金で保証されていたが、人生100年時代は定年してから30~40年ほど第2の人生を送ることになる。また年金が保証されなくなれば、その期間も新たな仕事を見つけて働く必要が出てくる。

人生100年時代においてはある程度若いうちからライフキャリアの観点で自分自身の老後の生き方も考え、準備する必要性が高まっている。

(3)晩婚化、少子高齢化の問題
内閣府によれば、平均初婚年齢は、2020年で夫が31.0歳、妻が29.4歳となっており、1985年と比較すると、夫は2.8歳、妻は3.9歳上昇。女性の初産の平均年齢も年々高まっている(※2)。

共働き家庭が増える中で、出産や子育てと仕事の両立は難しくなっており、仕事や働き方を考えることは、同時にいつ家庭を持ち、子どもをどのように育てていくかということにも密接に関わってくるようになった。男性、女性問わず自身のキャリア形成のみに意識を置くのではなく、結婚や子育てといったライフイベントも含めて早いうちにビジョンを持つことが求められている。
 

ライフキャリアを描くことの効果

ここまでの内容を読むと、ライフキャリアを描くことを小難しいと感じたり、それが求められる時代背景を重苦しく感じたりする読者もいるかもしれないが、決してそんなことはない。

むしろ「キャリア」のみに特化して自身の生き方や人生について考えるよりも、より楽しく、ワクワクするものであると思ってもらいたい。

生き方や働き方の多様化は、固定化されたレールが世の中からドンドン消えていっていることになる。以前は東京の会社員と満員電車の通勤はセットであったが、在宅勤務やリモートワークによって通勤は必要のないケースが増えた。会社に所属して安定を得ながら、その仕事をどの場所でどんな生活スタイルでやろうかと考えるのはワクワクするし、副業が可能な会社であれば曜日によって職業が変わる人も増えてくるだろう。

人生100年となり老後の生活に長く退屈なイメージを持つ人もいるかもしれないが、健康寿命も当然長くなるので、ライフキャリアの描き方次第では第2の人生は思っているよりも楽しいものかもしれない。お金とパワーのかかる子育ては既に終わっているので、より自分の趣味や生きがいを重視したライフスタイルを送れる可能性は十分にある。若い頃には実現できなかった夢ややりたかった仕事に再挑戦できることもあるだろう。

そして個人的には仕事やキャリアアップに日々励んでいる20~30代の社会人には、結婚や子育ての楽しさや面白さを早めに知ってほしいと思う。確かに仕事との両立は難しい。しかし働き方や住む場所は多様化している。筆者自身も2年前に家族で石垣島に移住し、実際に今この原稿も小学生の3人の娘を学校に送り出した後に自宅で書いている。ライフキャリアに試行錯誤しながらも今は子育てを楽しめているし、このようなスタイルで働き、生活できることに満足している。

今はむしろ個人がそれぞれのライフキャリアを描くには適している時代だし、それによって自分らしい人生を手に入れることが十分可能になってきていると感じる。ぜひ今からでも自身のライフキャリアを描く一歩を踏み出してほしい。


<参考>
※1:キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント(厚生労働省)
※2:第1部 少子化対策の現状(第1章 3)(内閣府)
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