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※訂正:専門家による学術調査の結果、「淀ちゃん」は体長15m、重さ38tのオスであることがわかりました(2023年1月19日、All About 編集部)
クジラが迷子になる理由は?
実はクジラが迷子になったり、浅瀬に打ち上げられてしまったりする事例は世界中で起こっており、今回の淀ちゃんのように単独で迷子になる場合もあれば、集団で岸に打ち上げられてしまうこともあります。生きていることもあれば、死んでしまっていることも。日本国内で報告されているだけでも年間300件近くの漂着があるそうで、実はクジラの迷子や漂着はそれほど珍しいことではないのです。ではなぜ、クジラは迷子になってしまうのでしょうか? その原因にはさまざまなものが考えられています。
1:遊びに夢中になって迷子に
これは人間の子どもでもありますよね。子どものクジラは好奇心が旺盛なため、夢中になって遊んでいるうちに群れから離れてしまって迷子になるという可能性があります。
今回の淀ちゃんはマッコウクジラの子どもと考えられていますが、マッコウクジラは普段は15~20頭の群れで行動し、子どもを守っているといわれています。遊んでいるうちに、その群れからはぐれてしまったのかもしれません。
2:敵から逃げているうちに迷子に
マッコウクジラの子どもの天敵といわれているのがシャチ。大人のクジラは大型で、反撃されるリスクも高いのであまり狙われることはないのですが、子どもを狙うことは多いようです。
シャチはチームを組んで狩りを行ない、一緒にいる母親をかく乱させて引き離し、その隙に子どもを襲います。そこから逃げようとして、群れからはぐれてしまったのかもしれません。
3:寄生虫や病気・感染症が原因で方向感覚を失って迷子に
マッコウクジラは「エコロケーション(反響定位)」と呼ばれる超音波の反響を使った能力で、仲間とコミュニケーションを取ったり、ときにはエサとなる生き物を攻撃して麻痺させ、捕食するといわれています。
このエコロケーションは、クジラが物の位置や方向を知るのにも使われているのですが、寄生虫や病気・感染症によってエコロケーションをうまく使うことができなくなると、方向感覚を失ってしまうことに。それにより、意図しない場所にまで泳いできてしまったという可能性も考えられます。
その他にも、地形的な要因や、ソナーや地震探査で発生する音による影響、エサの不足など、クジラの迷子や座礁にはさまざまな原因が考えられます。最近では、海洋プラスチックごみの繊維が体に絡まったり、プラスチックを飲み込んだり、マイクロプラスチックが体内に蓄積したりするなど、海洋プラスチックごみによる汚染の影響でクジラがダメージを受け、衰弱することで迷子や漂着につながっているという意見もあります。
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