「#男女平等パンチ」がネットで話題に
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どういう動画なのかわからないが、とにかく見ているこちらの心臓に悪い。この女性は大丈夫なのだろうかと、誰もが感じるはず。ところがネット上では、そんな心配する声に向かって「どうして見も知らぬ人間の心配をするの?」と不思議がるようなコメントがあった。
さらに「先に手を出したほうが悪い」といった声があり、誰が言い出したか「男女平等パンチ」という言葉が飛び出した。
ボクシングだって武道だって階級制度がある。体の大きな者が小さな者を叩きのめしていいわけがない。それでも「男女平等パンチ」という言葉は一人歩きを始めてしまう。
男性たちが世の中に抱く不平等感の正体
その裏に隠れているのは男性によるミソジニー(女性、女性らしさへの嫌悪のこと。必ずしも男性だけが抱くものではない)だと断言するのは簡単だし、もちろんそういった側面もあるだろう。だがなぜ男性がミソジニーに陥っているかというと、「この国では女性が圧倒的に優遇されている」と男性たちが不平等感を抱いているからではないだろうか。もちろん社会的に女性が優遇されているとは思えない。男女の賃金格差はG7(主要7カ国)中で最下位(2022年、経済協力開発機構 OECD)と世界各国に比べてもひどいし、管理職や政治家の女性も相変わらず少ない。子どもを産めばワンオペを余儀なくされ、どこにいっても子連れママは煙たい目で見られる。
女であるだけで生きづらい。女性たちはそう思っている。
だが、男性たちは「女性は声を上げれば誰かが味方になってくれる」と感じている。「男とみれば痴漢だと思っている」と電車内で苦慮している男性がいるのも確か。男女の賃金格差も大問題だが、そもそも一般的に30年も収入が上がらず、実質目減りし続けている社会状況に男性たちもストレスがマックスになっているのかもしれない。社会のひずみが、こういった暴力を産んでいるのではないかと震撼させられた。
もちろん、だからといって暴力で憂さを晴らすのは間違いだ。ただ、「先に手を出したのは女性だよね」というのが男性たちの多くの声だとしたら、“歪んだ平等”が跋扈(ばっこ)していることになる。
権利や可能性が平等だと思っていたけれど
「夫とは付き合っているころから、平等を意識していました。デート代もいつも割り勘だったし、それが特に不満というわけでもなかった。そういうものだと思っていました」そう言うのはユイカさん(38歳)だ。結婚して8年、5歳の娘がいる。収入に大きな差はなかったので、生活費も折半だった。ところが彼女が産休・育休に入ったとき、夫が家庭に入れる生活費に変化がなかった。
>生活費を増やしてほしいと頼んだら、夫は衝撃の一言