『週刊新潮』は、篠田さんが夫に証拠を突きつけられて追いつめられていく様子を報じている。夫は2歳になる子を連れて出ていったというが、こうなったら泥沼不倫からの離婚は避けられないかもしれない。
妻に裏切られた夫の行動2タイプ
妻に裏切られたときの夫の対応は、大きく分けて2つあるようだ。真実を知るのを避けて時間を稼ぐタイプ、そして証拠を集めて妻を追いつめるタイプ。愛情の濃淡の問題ではなく、夫の性格によるのではないだろうか。一般的に言って、妻を追いつめるときの夫は論理的だ。妻が感情を爆発させても、その感情の波には乗らない。理屈でじわじわ責めていく。知りたいのかもしれない、妻の真の気持ちを。
「10年前、私の不倫が原因で離婚しました。離婚されたといったほうが合っていると思います。私は寂しかったんです。結婚して子どもが生まれたものの、夫は仕事が忙しくて会社に泊まったり出張が続いたり。夫に熱烈に口説かれて付き合い、結婚する気がなかった私に、どうしてもあなたといい家庭を作りたいと激しく訴えられて……。断りきれずに結婚したのに、全然、思い描いていた家庭とは違っていたんです」
アユミさん(45歳)は寂しそうにそう言った。30歳で結婚、31歳で出産し、仕事を続けながらひとりで子育てをしていた。夫は家事代行業者を頼んでくれる優しさはあったが、彼女が夫に求めていたのは「一緒に生きていく姿勢」だった。
「大変でも、夫が週末、『今日は一緒に家事を片づけて3人で遊ぼう』と言ってくれれば私はそれでよかった。でも夫は『今日は家事代行とベビーシッターが来るから、きみは美容院にでも行ってくればいいよ』と言って、自分はゴルフに行ってしまう。それも仕事のうちだと言われたけど、私はいつも置いてきぼりにされている気がしていました」
だからあの日、高校時代のクラス会で当時好きだったダイスケさんに再会したとき、心がときめいてしまったのだ。
夫は否定できない「証拠」を突きつけた
ダイスケさんとは、高校時代に付き合っていた。とはいえ、ふたりともどう付き合ったらいいかわからず、せいぜい映画に行って帰りに喫茶店に立ち寄るくらい。そのうち受験勉強が忙しくなって、デートをするのもままならなかった。「そのまま卒業、彼は関西の大学、私は東京の大学と進路も分かれて。ときどき旧友から彼が元気でいることは聞いていたけど、連絡手段もあまりなかったし。だから再会したときはうれしかった」
二次会に行く仲間からこっそり離れてふたりだけで飲みに行った。ついうっかり夫の愚痴をこぼしたら、彼に抱きしめられた。
「オレじゃダメ?と彼は言いました。その言葉にほろっと来て」
関係が始まり、彼女はダイスケさんとの時間に溺れた。夫はどうせ自分には関心がないと思い込んでいた。だが1年もたたないうちに、夫に証拠を突きつけられた。ふたりで腕を組んでラブホに入っていく様子、路上でキスを交わしている写真もあった。
「写真を突きつけられたら否定はできない。でも、関係はないと言い張りました。ホテルに行ったのは私が具合が悪かったから。介抱してもらってすぐに帰った、間違っても不倫関係ではないと言ったけど、夫は『不満があるならきちんと言えばいい』『どうして僕よりこの人がいいんだ』『僕は君を不幸にしたか?』と畳みかけてくる。言い訳も底をつき、私は泣きわめくしかありませんでした」
離婚したくはなかったが、裁判にも勝てなかった。せめて親権をと思ったが、不貞を犯した妻に親権は与えられなかった。彼女は泣く泣く、家を出た。
「ただ、夫にも情けがあったんでしょうか。月に1度、子どもには会えましたが、小学校に入ると子どものほうから断ってくることもあって……。でも今年の春、子どもが小学校を卒業したとき、『お母さんと一緒にごはんを食べたい』と言ってくれた。元夫と3人で食事に行きました。元夫は再婚しているんですが、子どもも継母には懐いているみたい。ありがたいけど寂しい。それが本音でしたね」
離婚後、いつまで責任を負うべきか
いつか子どもが自分を頼ってくれるような人間にならなければ。アユミさんはそれだけを自分に言い聞かせている。とはいえ、家族を失ったアユミさんにも、ひとときでいいから「誰かに抱きしめられたい」ときはある。「でも私は再婚する気になれないんです。子どもを傷つけた結果が、まだ見えてこないから。子どもが成人して、もういいよと言ってくれるその日まで罪を背負って生きていくしかないんだろうと思っています」
犯罪者でもないのに自分を責め続けるアユミさん。もうそろそろ自分で自分を許してもいいのではないかと友人にも言われるという。
夫婦が離婚するのは子どものせいではなく、大人同士の相性が悪かったからだ。たとえそれがどちらかの不倫が引き起こした離婚であっても、再構築できなかったのは相性が悪かったから。とすれば、離婚した夫婦はどこまで責任を負えばいいのだろう。彼女のように有責側は10年間、恋愛もできず、夫側はすぐに再婚してしまうという事態も起こりうる。
「やはり夫婦でいるうちに、自分の気持ちをきちんと伝えておかなければいけなかったんでしょうね。でもあの状態で、私が寂しいとSOSを出しても夫は振り向いてくれなかったと思う……」
何を言っても結果論にすぎない。結婚生活は日々の積み重ねだ。関係そのものも常に軌道修正しながら、いい状態で積み重ねていくしかないのかもしれない。