預金・貯金

2人以上世帯が保有する平均貯蓄額は1291万円!昨年と比較して270万円ほども減少?

2022年12月23日に金融広報中央委員会が発表した令和4年「家計の金融行動に関する世論調査」によれば、家計が保有する金融資産額は平均で1291万円。2021年と比べて100万円以上もの金融資産額が減少となっています。中央値は400万円で、2021年より50万円の減額となっています。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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家計の金融資産の内訳は満べんなく減少

2022年12月23日に金融広報中央委員会が発表した令和4年「家計の金融行動に関する世論調査」によると、2人以上世帯が保有する金融資産額は平均で1291万円と2021年の1563万円から272万円もの減少となっています。

対前年比で100万円以上もの金融資産額が減少となったのは、2016年以来6年ぶりのことです。中央値は400万円で、前年より50万円の減額となっています。

 
二人以上世帯の金融資産は大幅に減少

二人以上世帯の金融資産は大幅に減少


この金融資産額は金融資産を保有していない世帯も含まれているため、金融資産を保有している世帯だけに限ると平均額は1698万円、中央値は750万円となっています。2021年と比較すると平均額は326万円、中央値で50万円の減少となっています。ちなみに、金融資産を保有していない世帯は全体の23.1%で前年より1.1ポイント増加しています。

保有する金融資産の内訳を見ると預貯金、有価証券(債券、株式、投資信託)、保険、その他と満べんなく減少していますが、ほとんどの項目が1割を超える減少率となっています。

株式や投資信託は株価が軟調に推移したことがその背景になると思われますが、預貯金などが大幅に減少していることにはやや違和感があります。

投資(資産形成)への意識は高めが継続

以下では金融資産を保有している世帯を詳しく見ていくことにしましょう。

1年前と比較して金融資産額が増えた世帯は4.4ポイント減少して33.1%、変わらないのは0.5ポイント増加して41.6%、減ったと回答した世帯は4ポイント増えて25.3%となっています。

金融資産額が増えた理由は「定期的な収入が増加したから」と「定期的な収入から貯蓄する割合を引き上げたから」が2大理由です。

「株式、債券価格の上昇により、これらの評価額が増加したから」は前年と比較して大きく減らしています。2022年は世界的に株価が軟調に推移しています。よって株価が上がったことによって資産を増やしたという世帯は少なかったようです。

一方、金融資産額を減らした理由は「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」が圧倒的に多く、2番目が「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」です。コロナ禍から経済は正常化が進んでいますが、企業業績は濃淡があります。企業業績が家計の収入増と収入減に影響を与えていることが如実に現れている気がします。

金融商品の選択基準は、昨年2021年は「収益性」を重視する世帯が始めて「安全性」を上回りましたが、2022年は株式市場が軟調だったにもかかわらず収益性を重視する世帯が前年より1.0ポイント増えて35.9%となっています。

「元本割れを起こす可能性があるが、収益性の高いと見込まれている金融商品の保有」に対しては、「そうした商品についても、積極的に保有しようと思っている」は前年より0.1ポイント増え14.6%、「そうした商品についても、一部を保有しようと思っている」が0.4ポイント減少して34.7%。合わせると49.3%。

「そうした商品を保有しようとは全く思わない」の50.6%(昨年と比べて0.3ポイント増加)とほぼ同じです。個人の投資(資産形成)の意識は昨年から衰えていないようです。
 

物価の上昇が老後の生活を直撃

老後の生活も調査しているので見ていきます。
老後への生活についての考え方は「非常に心配である」が前年より4.3ポイント増加して39.5%、「多少心配である」2.8ポイント減少の39.0%、「それほど心配していない」が1.5ポイント減少の21.5%となっています。

老後の生活を心配している理由(全世帯・複数回答)は「十分な金融資産がないから」が前年比1.3ポイント増加の68%と圧倒的にトップですが、大幅に増えた理由が「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」が12.9ポイント増加して36.2%となっています。2022年は物価の上昇が鮮明になりましたが、公的年金だけでは物価の上昇に対応しづらいことから物価の上昇=老後の生活がきついとなることも鮮明になった1年だったようです。

年金に対する考え方は「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」が対前年比で2.4ポイント減少して53.4%となっています。「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答している世帯は3.6ポイント増え38.6%となっています。年金生活者にとって物価の上昇による家計への影響が大きいのです。物価上昇への懸念が年金に対する考え方からもうかがえる気がしてなりません。

老後の収入源(3つまでの複数回答)にも触れておくと「就業による収入」が前年比1.0ポイント減少して48.1%、「公的年金」が2.3ポイント減少して68.8%、「企業年金、個人年金、保険金」が1.8ポイント減少して35.9%となっています。

この3つが上位3項目ですが、公的年金が70%を下回ったのは筆者の記憶では初めてのことと思われます。公的年金だけで老後の生活を賄うのは年々難しくなっていることがうかがえます。
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