ただ、相手がいつも同じパターンだというのは少し問題があるかもしれない。当事者の好みや癖が偏っている可能性がある。
身近にいる人ばかりと付き合う夫
物理的な距離は心理的距離と呼応するらしい。だから同じ学校、同じ職場での恋愛が多いのだ。毎日顔を見て挨拶を交わし、同じ境遇にいれば自然と気持ちも寄り添うもの。「夫は結婚生活15年の間に、私が知っているだけで3回浮気をしています。長い期間続いていたわけではなく、本人が『出来心で』『ついうっかり』などとふざけた言い訳をしているので怒りはあるけど、なんとなくそのまま結婚生活を続けてきてしまいました。だけどよく考えると、こんなに身近な人ばかりに手を出すのはおかしいんじゃないか、実はもっと浮気していたんじゃないかと最近、思うようになったんです」
ユリさん(45歳)は苦い顔をしながら少しだけ笑った。同い年の夫との間に、中学生と小学校6年生の子がいる。子どもたちにとっては、「ひょうきんでおもしろいお父さん」「何でも冗談にしてしまうお父さん」だが、いざというときはさっと決断を下す「頼れるお父さん」でもあるという。
「ずるいんですよ、ふだんはおちゃらけていて、何でも冗談にしてしまうくせに、上の子が小学校でいじめられたときは敢然と学校に乗り込んでいった。それでも解決しなかったので、すぐに転校手続きをとりました。そのために私たち、引っ越しまでしたんです。子どものためなら周りにどう思われようとかまわないというところはありますね」
とはいえ、浮気と確定しているだけで3回だ。最初は第一子の妊娠中。結婚して1年目だったこともあり、ユリさんはショックを受けた。相手は勤務先御用達のような居酒屋で働く既婚女性だった。夫は言い訳せず、「ごめんなさい」と謝り続けた。産まれたばかりの子と退院したときは、妻を休ませることを優先してくれた。1カ月はすべての家事を夫がやってくれたという。
「私は子どもにおっぱいをあげるだけ。それ以外は夫がしなくていいと言ったから。産休、育休中も夫はよく家事をやってくれましたね。それが罪滅ぼしだったのかどうかわかりませんが」
ところが長男が5歳、長女が3歳の七五三のとき、彼は両家の両親も集まっている中、「ちょっと急な仕事があって」と宴席を抜け、車で外出した。帰宅直後、ユリさんが車をチェックすると助手席に長い髪の毛があったという。
「車内ですることしたんじゃないですかね。夫は否定していましたが。髪の毛くらい抜けることだってあるだろうと言ったから、結局、墓穴を掘って浮気がバレました」
どこか抜けているのだ、彼女の夫は。
>社内だけじゃない、夫の呆れた行動が露呈