亀山早苗の恋愛コラム

不倫関係の「別れ際」でわかる、その人の真価。社内不倫の年下彼に執着する38歳女性の場合

不倫関係にある男女を長く取材していると、その人の「真価」は別れ際にあるような気がしてならない。別れを切り出されたとき、どうするのがいいのだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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どんな恋愛もそうだが、不倫関係を長く取材していると、別れ際に「その人の真価」が問われるような気がしてならない。別れを切り出されたら、どんなに未練があってもあっさり受け止めて引き下がる。男女問わず、これが鉄則だろう。
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相手に気持ちがなくなった、あるいは事情があって続けられなくなったのであれば、ごねたところでいいことはない。むしろ、これまでのいい関係に泥を塗ることにすらなりがちだ。独身同士の恋愛と違って、不倫においては「きれいに別れること」を優先的に心がけたほうがいいのではないだろうか。
 

社内で一回り年下の独身男性と……

一回り年下の後輩男性と不倫関係にあったエリカさん(38歳)。結婚して6年、3歳の子がいるが夫も同じ職場だ。ハイリスクの恋だった。

「後輩とは同じ部署で、一緒にチームで仕事をしているうちにお互いに気持ちが燃え上がってしまったんです。夫が同じビル内の違う部署で働いているので、彼は私の夫の顔を見かけるとドキッとするとよく言っていました。そんなスリルが恋をより燃え上がらせたのかもしれません。冷静に考えればわかっていたのに」

1年ほどで、彼が先に目を覚ましたようだ。社内での新たなプロジェクトの立ち上げに関わりたいと立候補した。そのプロジェクトにつけば、エリカさんと一緒に仕事をすることはなくなる。

「どういうつもりなのと聞いたら、もっといろいろなことにチャレンジしたいんだ、と。気持ちはわかるけど、一緒に仕事をしているからこそ時間の融通がつく。新たなプロジェクトチームはフロアも違うし。とはいえ、将来ある彼の仕事を邪魔するわけにはいかない。がんばってと応援する姿勢に切り替えました」

彼は無事にプロジェクトチームの一員になった。と同時に、これまでよりいっそう忙しくなったようだ。彼が自分から離れようとしている。エリカさんはそう感じて焦った。

「しつこくメッセージを送ったりしてしまいました。彼からは5回に1回くらいしか返事が来ない。嫌われたくない、でも不安。そんな気持ちが募っていきました」

子どもに不必要に怒鳴ってしまい、夫に「どうしたの」と怪訝な目で見られることもあった。
 

不安と恐怖で夜も眠れない

彼の帰りがけを狙って待ち伏せたこともある。

「どうして会ってくれないのと、ドラマみたいなセリフを言ってしまいました。彼は『わかってよ。僕、今、仕事で重大な局面を迎えているんだ』と。わかってる、わかってるけど私のことはどうでもいいの?とすがってしまった」

彼は憐れむような目で彼女を見て、「そんなエリカさんは見たくなかった」と言って去って行った。エリカさんは地べたに座り込んでしまったそう。会社近くの路上でそんなことをしていたら、誰に見られても不思議はない。

「しっかりしなくちゃ。彼は今、私より仕事が大事なんだからと自分に言い聞かせました。でもそのうち、彼が同じチームの女性とつきあっていると噂が流れてきて。もう、どうしたらいいかわからなかった」

自分は既婚なのだからと、さらりと彼とのことを流すわけにはいかなかった。彼への執着が大きすぎたからだ。

「こんなに好きなのにどうしてわかってくれないのかと思い始めたら、もう止まらない。彼のことばかり考えて子どものことも疎かになり、ご飯も喉を通らない。これじゃダメだとわかっているのに気力が戻ってこないんです」

毎日のように彼にメッセージを送り続けたが返事がない。そのうち既読もつかなくなった。そして2週間後、『もう会うのはやめよう。あなたは既婚者なのだから』と彼からメッセージが来た。

「既婚者なのは最初からわかっていること、今さらそれを言い訳にするのは卑怯だと頭に血が上ってしまいました。理性で考えられないんですよね。今思えば、どうかしていたと思います」

彼が仕事をしているフロアに行ってみた。そこは夫がいるのと同じ階だ。覗いてみると、彼がいる隣の部署が、どうやら夫の部署らしい。見覚えのある社員がいたのでわかった。

「私は彼の姿を追っていたんですが、後ろからトントンと肩をつつかれて。振り向くと夫がいたんです。ギャッと声を上げてしまいました。夫は『なに? 何か用?』と。自分を訪ねてきたと思ったんでしょう。だけど私の声に驚いたのは彼も同じだったようで、彼が立ち上がって別の場所へ移動するのが見えました」

その場では夫にうまく取り繕ったが、私は何をしているんだろうとさらに落ち込んでいく。だが、もはや彼にメッセージを送る気持ちにもなれなかった。

「それから半年近くたちますが、今もずっとモヤモヤしたままです。彼はプロジェクトチームで成果を上げているようです。彼のためには成功すればいいと思う半面、彼が決定的なミスでもすればいいのにと思ってしまう自分もいる。自分で自分を嫌な女だと思います。夫にバレなかっただけでもラッキーだったのに」

自分の中のモヤモヤを整理するのは難しいかもしれない。だが、これ以上、エリカさんが行動を起こせば自滅する恐れも大きい。彼女は自分ですべてわかっている。だから時間経過とともに、少しずつ気持ちが落ち着くのを待つしかないのかもしれない。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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