鉄道/エリア別の鉄道旅行

関東甲信越の鉄道旅行(3ページ目)

首都圏を中心とした関東の鉄道は、人口密集地帯を走るだけあって我が国有数の混雑鉄道だ。そのため通勤対策もあってロングシートの車両が圧倒的に多い。そんな中で、ゆったりした鉄道旅行はできないものだろうか?

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

クロスシートを探そう

小田急ロマンスカーVSE
新宿から箱根へ向かう小田急ロマンスカーは、関東の私鉄を代表する車両だ
JR以外の私鉄路線では、小田急ロマンスカー、西武レッドアロー、東武スペーシアといった座席指定特急を利用すれば快適な旅が楽しめる。それでは、座席指定ではない電車で、のんびり、ゆったりといった鉄道旅行はできないものだろうか。進行方向を向いて座れ、旅情を感じられるクロスシートのある鉄道を探してみよう。

京浜急行電鉄の赤い電車
京急の赤い電車はクロスシートが多く、鉄道旅行を楽しむにはもってこいだ
京急の快速特急の車内
京急の快速特急の多くの車両は、特別料金が不要にもかかわらず、すべてクロスシートでゆったりした車内だ
まず思いつくのは、都心から神奈川の湘南エリアへ向かう京浜急行電鉄(京急)である。この鉄道の最優等列車たる快速特急は、特別料金なしで自由にクロスシートの旅が楽しめるお得感たっぷりの車両を使っている。一般には品川から横浜、横須賀、三浦半島各地へ向かうと思われているが、厳密に言えば始発駅は都営浅草線との連絡駅である泉岳寺だ。お好みの座席をゆっくり選びたければ、泉岳寺から乗車するのがポイントだ。京急は一般の車両でもクロスシートが多いという特色を持つ関東では稀有な存在の鉄道である。
つくばエクスプレス
つくばエクスプレスにもクロスシートの車両がある
これ以外でクロスシートが多い鉄道は、つくばエクスプレスであろう。つくば行きの電車なら、中間の2両は確実にクロスシートだ。しかも、一部の車両ではテーブルもセットでき、車内でじっくりパソコンを操作できるメリットがある。最先端科学の筑波と秋葉原を結ぶ路線らしい特色だ。

また横浜と海老名、湘南台を結ぶ相模鉄道では、10両編成中の5号車と8号車にセミクロスシート車両が連結されているものがある。ちょっとしたお楽しみだが、乗り合わせればラッキーでミニトリップ気分が味わえること請け合いだ。

西武のクロスシート車両
秩父鉄道に乗入れて観光用に活躍する西武のクロスシート車両4000系電車
このほか、西武池袋から休日の朝に秩父鉄道三峰口・長瀞へ直通する快速急行がクロスシート車で運転される。池袋から所沢を経て、飯能から先は山岳地帯となり、東京近郊とは思えない車窓が展開する。ハイキングにも最適な路線で、秩父のSL列車見物の足としても使える。

東武鉄道でも、浅草発の日光や野岩鉄道直通の快速電車がクロスシート車で旅行気分が味わえる。関東平野のやや単調な風景の先には、日光や鬼怒川、さらにその奥の温泉地と観光資源が目白押しで車窓も目が離せなくなる。


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