多くの人が利用しているiPhoneに関しても、2016年発売の「iPhone 7」以降の機種には耐水・防水性能が備わっています。そのことを示しているのが国際電気標準会議(IEC)で定められている「IPコード」で、最近のiPhoneにはスペック表に「IP67」「IP68」といったIPコードが記されています。
防水だからといって安心とは限らない理由
このうち10の位の数字は防塵、つまり粉塵などの固形物から保護する性能を示しており、「6」は粉塵が内部に入らないことを示しています。そして1の位を示すのが水の侵入から守る防水性能となっており、その保護性能は0~8の9段階で示されています。iPhoneの場合、「iPhone 8」「iPhone XR」などの古い機種や低価格の「iPhone SE」シリーズ(第2世代以上)は8段階目の「7」、つまり一定の水圧で水没しても浸水しない耐水性能を持ち、「iPhone XS」シリーズ、そして「iPhone 11」シリーズ以降のiPhoneは最も高い「8」、つまり継続的に水に沈めても浸水しない防水性能を持つとされています。 最近のiPhoneを使っている人ならば、iPhoneを水にぬらしたり、水に落としたりしても大丈夫、と思っている人も多いかもしれません。ですが防水・耐水性能はずっと続くことが保証されている訳ではなく、例えばうっかり落として画面が割れるなど、本体の内部・外部に問題が生じれば防水性能が落ちる可能性は否定できません。
加えてIPコードが対象としているのはあくまで水で、お湯や海水などは対象となっていないことから、お風呂や海などで水没させてしまった場合は故障の可能性がぐっと高まります。最近のiPhoneはソーダやビールなどをかけてしまった場合の耐性は持っているとされていますが、すぐ洗わずにそのままにしておけばやはり故障につながるものと考えられます。
当然のことながら、IECやアップルが規定する水深以上の所に落としたり、規定時間(30分)を経過して沈めていたりした場合は故障してしまう可能性が高いでしょう。このようにiPhoneが防水・耐水性能を備えているからといっても、条件によって故障してしまうことは十分あり得るのです。
水没した時の対処法と備えは
では故障の可能性が高い環境でiPhoneを水没させてしまった場合、どのような処置をすればいいのでしょうか。まず真っ先にやるべきことは、電源をオフにすることです。通電している状態のままにしていると、その時は動作していても、後から水が内部に浸食してショートを起こして故障してしまうこともあるので、電源がまだ入っているのであれば真っ先に電源を切ってください。当然ながら充電もNGです。
さらに水以外に落とした場合、あるいは泥など付着物がある場合は水でゆすぐなどして汚れを落とします。その上で柔らかい布でiPhoneを拭き、さらにスピーカーやLightningコネクタを下にした状態で優しく叩き、中に入った水を抜いてから乾燥させてください。
乾燥させる際に注意すべきは、急ぐためにドライヤーを使って乾かしたり、コネクタ部分を綿棒などで拭いたりしないこと。前者は熱によって本体に悪影響を与える可能性がありますし、後者は拭いた部分にホコリが付くなどして故障する可能性が高まります。あくまで自然乾燥が大前提ですが、扇風機を用いて乾かすことは問題ありません。
また表面が乾燥したからといって、内部も乾燥したとは限りません。被害の状況にもよりますが、完全に水没して本体にも水が入った可能性があるという場合は確実に乾燥させるためにも1日、2日といった長い時間をかける必要があるでしょう。
乾燥させた後は、物理SIMを使っている場合はSIMカードを本体から抜き、電源を入れてみてください。もし電源が入った場合は必要なデータのバックアップを取るなど最小限の操作をした上で、再び電源を切ってください。
そして最後にやるべきは、たとえ電源が入る状態であっても修理に出すことです。電源が入ったからといって内部に問題が発生していないとは限らず、使い続けているうちに壊れてしまう可能性もあるので必ず修理に出すことをおすすめします。
もちろん修理には一定の費用がかかりますし、電源が入らなければiPhoneの中にあったデータは全て失われてしまいます。それゆえ万が一の故障で後悔しないためにも、
・iPhone購入時に「AppleCare+ for iPhone」に加入しておく
・iCloudへのバックアップを必ず設定しておく
これら2つの備えを絶対に忘れないようにしてください。
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