「金持ちケンカせず」の本当の意味って?怒りをコントロールすることの大切さ
「金持ちケンカせず」という言葉を聞いたことがあると思います。この本質は、本当にケンカをしないことではなく、少々のことでカッとなったり、アタフタしたりなど、感情が揺さぶられないということです。よく考えてみれば、これは当然の話で、他者や状況に容易に感情を左右されれば的確な判断はできません。
仮に何か不測の事態が起こっても、成功するような知的基盤がある人はその感情を即座に制御できるので、精神状態の起伏がなく、つねに冷静になれるのです。それがつまり、小さなことでいちいちカッとなったりしないという行動に表れるというわけです。
お金持ち体質は、怒らない
しかし貧しい人ほど感情的になりやすい傾向があります。ちょっとのことで頭に血が上り、冷静さを失います。だから問題解決が難しくなるし、どうでもいいようなことでも動揺するから対応を誤る。たとえば、牛丼屋で店員に怒鳴るとか、電車の遅延で駅員に文句をいう人は、ほぼ低所得者層でしょう。
怒りをコントロールできなければ、人生を破壊することにもつながります。
カッとなって怒鳴る、殴りかかる、売り言葉に買い言葉で罵り合う、というのは単なる動物の行動で、理性をつかさどる前頭葉が他の動物よりも巨大に発達した人間のする行為としては、非常に低次元であるといえます。
自分の正義を他人に押し付けると貧乏になっていく?
本来は、怒りに任せて相手を攻撃するのではなく、「この問題を解決するために何が必要か?」を考えなければならないはずが、そこに思考が及ばない。こういう人は、冷静に物事を判断できません。そして解決よりも、自分の感情を押し付けたい自己中心的な発想です。だから、貧しさから脱出できないのです。
また、自粛警察やマスク警察が話題になりましたが、こういう「自分の正義を他人に押し付ける人」も裕福にはなれません。
「そういう考えもある」「そういう状況もある」「そういう立場の人もいる」など、さまざまな事情を理解することを「認知的複雑性」といいますが、自分の正義を押し付ける人は、「認知的複雑性」が低いからです。
著名人の不倫といったスキャンダルに目くじらを立てる人がいますが、当人同士にしかわからない事情があるにもかかわらず、無関係に叩きます。
そういう自分の意見に固執し多様な考え方があることに意識を向けられない人、自分とは違う価値観や言動への許容度が低い人は、柔軟な思考ができないため、ビジネスでもうまくいかない。
このようなコラムにいちいち難癖をつける人もそうですね。
一方、富裕層は「認知的複雑性」が高い。だからさまざまなシチュエーションを想定してリスク管理ができるし、多種多様な顧客ニーズも想像できるのです。
経営コンサルタント、インベストメントバンカー、渉外弁護士、会計士といった高度に知的な高所得の職業において「こうに決まっている」「自分の考えが正しいに決まっている」などといっていては仕事にならないでしょう。
では冷静な精神状態を保ったり、感情を制御したりするにはどうすればよいかというと、その解のひとつが「教養」の獲得で、手っ取り早い方法が読書です。
「知的に怠惰な人の部屋には本がない」といわれる通り、読書は教養を得るには重要な方法といえるでしょう。
【関連記事をチェック!】
子どもの金融教育、お金持ちはどう考える? 投資の教育は必要なの?
急激な円安で物価上昇しても低賃金…逆境に負けないマネー術