2008年に刊行されたコミック『シマシマ』(講談社)に“添い寝屋”という職業が登場しました。眠れない女性に安眠を与える仕事で、セクシャルな行為は行わない定義となっていました。
その後、添い寝サービスは時代とともに形を変え、「女性用風俗」「女性向け風俗」というジャンルがメディアに取り上げられるようになりました。女性の背中を抱きしめて相談を聞いたり共感したりするサービスに、性的な行為を追加してビジネス展開する会社が増えたのです。
今や添い寝サービス“だけ”を利用したいと思う女性は、それぞれの違いをよく知り、サービスを使う前に危機回避しておかなければなりません。
「添い寝サービス」と「女性用風俗」は、いったい何が違うのでしょうか?
『シマシマ』が話題になった当時、“添い寝”に「あなたの悩みを横になって聞きますよ」のバリエーションを加えてリアルな添い寝サービスを始めた「添い寝ビジネスの火付け役」として知られるA氏に取材、両者の違いについて聞きました。
「添い寝サービス」と「女性用風俗」の違い
まず「添い寝サービス」は、女性の様々な悩みをカウンセリングするサービス。性的な部位には決して触らず、要望があればハグのみにとどめるもの。■女性ユーザーが「添い寝サービス」に求めるもの
・彼氏はいないが男性に甘えたい
・男性に抱き締められたい
・男性に話を聞いてほしい
・男性に隣で本を読んでほしい
・不眠傾向。一人でいると眠れないため一緒に寝てほしい
・性的なことにネガティブな経験があるため男性に慣れたい
・性の経験に乏しく、性行為ができるか不安で質問したい
というように、性的な悩みだけでなく日常の不安や寂しさを解消するためのカウンセリングを行います。セクシャルな部位には決して触らず、話のみを聞きます。要望があればハグはします。
一方、「女性用風俗(女風)」は、肉体的にも精神的にも気持ちよくなりたい女性向けの性的サービス。手やプレジャーグッズによる性感マッサージが含まれます(陰茎挿入は違法なのでなし)。
■女性ユーザーが「女性用風俗」に求めるもの
・性行為の経験がないため練習したい
・膣内でオーガズムを得たい
・性交疼痛を改善したい
・パートナーがいないため性的欲求を埋めたい(セックスレスで悩む場合も含む)
・パートナーが性的に満足するテクニックを教えてほしい
・仕事や人間関係のストレスを癒やしてほしい
・自分の性的な魅力を確かめたい(自信がない女性が多いそう)
・エステのオイルマッサージと比較して「癒やしプラス快楽」が得られる
前述のA氏は言います。
「女性向けの添い寝サービスは、性的サービスのイメージが少ないため、2012年ごろから密かなブームとなり、気軽に利用する女性も少なくありませんでした。
それが2015年以降、メディア露出の増加や女性の収入増を背景に女性向け風俗(女風)が一般的になってきたと感じています。今現在、添い寝サービスは終焉したというよりも女風に包括されているような状態で、「添い寝」はそのメニューのひとつに位置づけられています」
「女性向け風俗(女風)」に潜む危険性
筆者の「恋人・夫婦仲相談所」には、セックスレスの悩みを抱えた女性から多くの相談が寄せられます。「お前は淫乱だ」「俺は卒業したから外でしろ」「40歳にもなって、したいなんて色ボケだ」「僕はEDなので一生しない」など……。ひどい言葉を夫から投げつけられる妻たちは少なくありません。彼女たちがSNSなどを通じて女性用風俗のセラピスト(施術者)を目にして心揺れることがあったとしても、不思議ではありません。
そのためか、「女性向け風俗」に関する質問をされることもあります。
上記した事情を踏まえると、何の知識もなしにセラピストを選ぶと怖い目に遭う可能性も否定できません。良識ある店舗もあれば、そうでない店舗もあり、クレームが殺到すれば店を閉じ、また別の店名や源氏名で営業する男性もいます。急激に増えたことで混沌とした状態が続いているのです。真由美所長(筆者)の推しの女風を教えてください。ネットで自分で選ぶのは怖いです
さらにコロナ禍による悪影響も危惧されています。飲食店、イベント業などへの打撃で仕事が減った男性がセラピストに転じるケースが増えたのです。研修すら受けていないビジネス目的の悪徳セラピストも出現し、下記のようなトラブルに女性客が泣くケースもあります。
・オプションをおねだりして高額料金を取る
・性感染症検査を実施せずにサービスに臨む
・わざと恋愛関係に持ち込み金を騙し取り別れる
セラピストではなく、ユーザーである女性側に問題がある場合もあります。
セラピストに恋愛感情を持ち、ほかの顧客との関係を邪魔するモンスターユーザーです。SNSを使って店舗やセラピストの悪口を書き込んだり、ストーカー化してセラピストを拘束したり、借金を重ねてのめり込むケースも……。
また女風にコロナ禍の影響があったかといえば、そうでもありません。2020年当初は顧客が減りましたが、次第に盛り返してきました。複数の経営者からも、働く女性たちの遊び場や機会(外食、旅行、ライブ、イベント、パーティー、合コン)が激減したことで“ひっそり遊べる”女風にスポットが当たったとの声が聞こえてきます。とある女風の運営会社によれば「20代のユーザーが増えた」とのこと。
SNSなどを通じて、こうしたサービスへの接触が容易になってきたからこそ、安易に飛び込んではいけない世界なのだとお伝えしておきます。