子育て

Instagramで仲間外れにされて人間不信に…SNSは「青年期」の特に“10代女子”の心になぜ有毒になりうるのか?

Instagramの利用が「10代女子」の心に与える有害性について、All About編集部で募った事例をもとに考えていきたいと思います。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

インスタで感じやすい“取り残され感”

今はさまざまな特徴のSNSが存在します。また投稿を積極的にする人がいる一方で、見るだけの人、いわゆる“見る専”の人もいて用途もさまざま。そして楽しくてやっているはずのSNSが、だんだんとストレスの原因になることも。今回はたくさんあるSNSの中からInstagramで抱えやすいストレスについて、「10代女子」に焦点を当てて見ていきたいと思います。
ついつい見てしまうインスタ、でも落ち込んでいる人も多い現実……

ついつい見てしまうインスタだけど、落ち込んでいる人も多い 

まずは当サイトAll Aboutで募った10代女子から集まったInstagram利用についてのコメントです。

高校生活はもちろん、アルバイトもみんな同じところでしていて、1週間に1回は誰かの家でお泊まり会をするぐらいの仲良し5人組の友だちがいました。しかしある日、Instagramのストーリーに、私以外の4人で海に遊びに行っている投稿がされていて、「この4人が最高!ずっと友達!」と書かれていたのです。
海にいく前日はみんなでご飯を食べに行っていつもと変わらない感じだったので、その日から人間不信になりました。

次々と友だちのInstagramのストーリーに「彼氏にここで誕生日を祝ってもらった」「2人でここに出かけました」といった恋人との写真が出てくると、私には彼氏がいないので、自分だけが取り残されているような気がしてしまいます。
考えてもしょうがないと思えば思うほど、自分がみじめに感じて、余計に心が病んでしまうことがよくあります。SNSは便利ですが、距離を置くことも必要かなと感じています。

Instagramで「ここに行った」「あれが楽しかった」などの投稿を見ていると、自分はこんなにもお金がないのかとがっかりします。親にお金を出してもらえず、高校にも行けなかった私と違って、どうして友だちは苦労もせず恵まれてるのかなとうらやましく思ってしまうことがあります。

友人の投稿を見て気持ちが揺れてしまう経験をしているのが共通点です。みなさんもこのような経験はありませんか?

今回は10代限定で経験談を募りましたが、なぜその区切りで行なったかというと、Instagramがティーンエイジャーに与える有害性がいわれているからです。昨年、アメリカの新聞ウォール・ストリート・ジャーナルが取り上げた「Instagramは多くのティーンエイジャーにとって有害だ」というニュースは、日本でも翻訳されて話題になったため、読んだ覚えがある方もいるかもしれません。

そこにはInstagramの親会社であるFacebook(現:Meta)が、10代の若者たちの心の健康に及ぼす影響について3年にわたり社内向けに調査したところ、2020年内部資料によれば「特に10代女子への影響が明らかになり、3人に1人が体型コンプレックスを悪化させていることが判明した」ということが書かれています。
 

他のSNSとは異なるインスタの特徴とは?

Instagramは画像を投稿するSNSのため、より映えるものが用いられることが多くなっています。俗にいう“インスタ映え”です。加工して投稿されていることもよくあります。
 
日本人はもともと控えめで出すぎない国民性なので、面と向かって自分の自慢をすることはあまりしませんし、他者からの目線を気にするので出すぎないことを心がけることが多いものです。しかしいったんリアルな場から離れインスタが舞台となると、その特徴にともなってか、より素敵な画像をアップすることが多かったりします。
 
自分の容姿、旅先の風景、仲間との絆などなど。もちろんこれ自体は悪いことではありません。せっかく投稿するならいい写真をと思うのはごく自然なことです。ただその投稿に影響される人たちもいて、「私とは違う世界」という取り残された感覚を持つ人もかなりいるのです。また投稿している側も、「私だって!」「○○に負けたくない」というような気持ちがあると、だれと戦っているのかという行きつかないゴールに、慢性的な焦燥感を覚える人もいるでしょう。
 

10代が影響を受けやすい理由

上記のお悩みは10代の女子からのリアルな声ですが、おそらく20代、30代、もしくはそれ以上の方の中にも「似た経験がある」という人は多いのではないでしょうか。今回10代の子どもたちにフォーカスを当てているのは、まだ自我が完成されていない時期ゆえ、よりインパクトが大きいのではないかということが懸念されるからです。
 
心理学者のエリクソンはライフサイクル論の中で、12~22歳を青年期とし、この時期を“自分自身を見つけ、再定義していくための時間”としています。その過程で「自分はいったい何者なのか」「いったいどこに向かっていくのか」と自問しながら“自分探し”をし、さまざまな信念や役割、行動様式が試され、修正され、捨てられ、自己についての統合的な概念が形作られていきます。そこで参照されるのは、自分より上の大人ではなく、同世代の仲間です。
自尊感情の不安定になりがちなティーンエージャー

自尊感情が不安定になりがちなティーンエイジャー

友人の行動から影響を受けたり、好きな芸能人のファッションやヘアスタイルをまねしてみたり。でもやってみたら自分には合わなくてがっかりし、また別の友人を参考にしたり……。このように“自分探し”ではありながらも、周りがやっていていいなと思ったことを試し、手放し、また試すというように、他者の影響を大きく受けるのです。その中で、自分とだれかを比較することがよくあるため、気持ちが揺れることも多く、とくに青年期早期に自尊感情が不安定になりがちといわれています。つまりティーンエイジャーの時期です。

このような時期にInstagram上で友人の素敵な写真が流れてきたりすると、「あの子は素敵なのに、私は違う」というように感じてしまいやすくなるのです。

今これを読んでいるあなたがまさにその世代で、しかもSNSによる心の浮き沈みで悩んでいるのなら、いったん距離を置くのもおすすめです。そしてお子さんが10代という親御さんであれば、このことを伝えてあげてほしいと思います。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で子育て関連の書籍を見るAmazon で子育ての書籍を見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます