コロナ禍で不足するカロナール(アセトアミノフェン)
カロナールが急激な需要の増加によって品薄に……
<目次>
- カロナールとは……歴史の長い解熱鎮痛薬・一般名はアセトアミノフェン
- カロナールの作用と特徴……小児も含めて使用できるのが特徴
- カロナールの副作用とデメリット……長期間使用による肝障害など
- カロナールの服用量・服用間隔を空ける目安
- ドラッグストアで購入できるカロナール以外のアセトアミノフェン製品
- カロナールの誤った使用法には要注意! 過剰な服用や接種前の服用
- おわりに
カロナールとは……歴史の長い解熱鎮痛薬・一般名はアセトアミノフェン
カロナールはあゆみ製薬を製造販売元とする解熱鎮痛薬であり、1950年代から製造されている大ベテランの薬です。一般名はアセトアミノフェンです。この一般名とは有効成分の名前であり、商品名は各メーカーが独自につけている名称です。カロナールの場合において「カロナール」は、あゆみ製薬が付けている商品名です。そして有効成分の名前、つまり一般名が「アセトアミノフェン」になります。カロナールの作用と特徴……小児も含めて使用できるのが特徴
カロナールの作用は解熱鎮痛薬の名前の通り、熱を鎮めると同時に痛みを除くことです。主に頭痛、腰痛、歯痛、筋肉痛、月経痛、喉を含む上気道炎による痛みや発熱などに使用されます。その効果はおおよそ1時間前後で出てきます。カロナールの大きな特徴として小児も含めて幅広い方に使用できる点が挙げられます。他にも比較的、胃腸や腎臓への負担が軽いと考えられている点もカロナールの特徴です。一部の解熱鎮痛薬は妊婦さんやインフルエンザの場合に使用できないことがあります。このような制約が無い点がカロナールの汎用性の高さに繋がっています。一方、皮肉にもこの汎用性の高さがカロナール需要の激増と品不足を招いています。
カロナールの副作用とデメリット……長期間使用による肝障害など
使いやすい解熱鎮痛薬の代表格であるカロナールにも副作用は存在します。代表的なものに高用量で長期間使用することによる肝障害です。この高用量とは1日量で1500mgを超す場合です。他にも胃潰瘍などの消化性潰瘍の持病がある方にも使用できません。カロナールのデメリットとしては効果のおだやかさが挙げられます。他の代表的な解熱鎮痛薬(例えばロキソニンなど)と比較して鎮痛効果や解熱効果は弱いと指摘されています。炎症を抑える効果も期待しにくいです。
カロナールの服用量・服用間隔を空ける目安
カロナールには1錠が200mg、300mg、500mgと複数の規格が用意されています。成人の場合、1回の服用量は300~1000mgとかなり幅広く設定されています。服用間隔は4~6時間以上空けることが原則です。服用量は症状の強さ、年齢、持病の有無、そして併用薬などによって変化するので必ず守ってください。下記でも述べますが効果がおだやかなカロナールにも副作用があります。決して指示を超える量を自己判断で服用するのは避けましょう。ドラッグストアで購入できるカロナール以外のアセトアミノフェン製品
カロナールは病院で出された処方せんに基づいて調剤薬局で購入します。処方せん無しで同じ有効成分であるアセトアミノフェンを含むものとしては「タイレノールA(アリナミン製薬)」、「ノーシン錠(アラクス)」「ナロン錠(大正製薬)」「新セデス錠(シオノギヘルスケア)」などが挙げられます。厚生労働省はワクチン接種後の発熱に対してアセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬の使用も可能としています(くわしくは「厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A」)。したがって、ワクチン後の発熱などに対して「何がなんでもカロナール(アセトアミノフェン)!」と考える必要はありません。一方で持病や継続的に服用している薬がある方などは医師・薬剤師に相談して購入することをお勧めします。
カロナールの誤った使用法には要注意! 過剰な服用や接種前の服用
安全性が高いカロナールにも副作用があり、守るべき適正用量があります。それを超えると副作用の危険性が大きく高まります。「念のために多めに服用しよう……」は百害あって一利なしです。ワクチン接種の前に服用するのも勧められません。カロナールは服用後の約2時間半で半分が分解されてしまいます。つまり、事前に服用してしまうと肝心な時にもう効果が期待できない可能性が高いです。カロナールは比較的早く効果が出ますので症状が出てから服用して問題ありません。
他にも異なった解熱鎮痛薬との併用も勧められません。これは特にドラッグストアで購入できる解熱鎮痛薬のケースで注意が必要です。その理由は異なった商品名でも同じ有効成分を含んでいる物が少なくないからです。例えば上記でも登場したノーシン錠とナロン錠を併用してしまうとアセトアミノフェンの量が過量になってしまいます。
アセトアミノフェン以外にも市販されている解熱鎮痛薬には興奮作用もあるカフェインを含むものが多いです。カフェインの過量服用は動悸、吐き気、睡眠障害などに繋がります。しっかり静養するために解熱鎮痛薬を服用して、このようなトラブルに見舞われてしまっては本末転倒です。
成分の重複に関しては一般の方には判断が難しいケースもあります。したがって、原則として解熱鎮痛薬を服用し始めたら同じ薬のみで適正用量を継続するのが良いでしょう。どうしても他の解熱鎮痛薬に変えたい場合は併用ではなく、変更した薬のみを服用しましょう。
おわりに
カロナールは比較的安全性が高い薬ですが、副作用のない無害な薬ではありません。調剤された場合は薬剤師の説明を、市販薬を購入した場合は説明書をよく読んでからの服用をお願いします。国内だけではなく各国の感染状況からもまだ当面は定期的なワクチン接種が続くと予想されます。接種後の不快感を軽減する薬の存在は貴重ですが、スムーズな回復のためにも今一度、適正使用の徹底が不可欠です。