海外に誇れる「日本の技術力」。造幣局のすごさとは?
そんなわが国の造幣局ですが、実は外国貨幣の製造にも携わっていることをご存じでしょうか。自国だけではなく、外国の貨幣も製造しているということは、海外からもその技術力が評価されている証拠といえましょう。
外国貨幣は2007年から製造を開始。製造した貨幣は2022年7月現在で、10カ国15種類に上ります。そこに見えてくる共通点は、「銀貨」と「一般貨幣」。具体的にどのようなものを製造してきたのか、以下で詳しく見ていきましょう。
「記念銀貨」のみならず、他国の「一般流通貨幣」も製造
これまでに造幣局が製造した外国貨幣は、「記念銀貨」が多くなっています。特に日本との外交関係樹立記念といった、日本に関連する記念銀貨の製造が多く、具体的には、「日本スリランカ国交樹立60周年」記念1000ルピー銀貨幣、「日本カンボジア友好60周年」記念3000リエル銀貨幣、「日本ブルネイ外交関係樹立30周年」記念30ブルネイ・ドル銀貨幣などが挙げられます。
上から、ブルネイ、カンボジア、スリランカの記念貨幣(画像出典:造幣局より)
とはいえ、このような記念銀貨の製造枚数は、数千枚から数万枚程度であり、数としてはそこまで多い部類には入りません。
しかしながら驚くべきことに、実は外国の「一般流通貨幣」についてもわが国の造幣局が手掛けた事例があり、一般流通貨幣となるとその製造枚数は何千万、何億にも上ります。その一般流通貨幣を手掛けた国というのが、「バングラデシュ」と「ジョージア」です。
バングラデシュとジョージアの一般流通貨幣(画像出典:造幣局より)
受注したバングラデシュの2タカ貨幣は、なんと5億枚の発行。また、2016年には、ジョージアの一般流通貨幣である20テトリ貨幣を1400万枚製造受注しています。バングラデシュやジョージアに行った際には、ぜひ現地でこれらの貨幣を見てみたいものです。
日本の貨幣の製造枚数は減ってきている
外国の貨幣を手がける一方で、電子マネーの普及などに伴い、わが国の貨幣の製造枚数は年々減少傾向にあります。製造コスト面から、貴金属価格の上昇も貨幣製造枚数の減少に拍車をかける可能性があります。そのような中で、海外の貨幣製造は大きなビジネスチャンスといえます。2022年には、バングラデシュ銀行から日本バングラデシュ外交関係樹立50周年を記念する銀貨幣の製造を受注しています。
今後も、日本の技術力を示す一つのきっかけとして、また日本と外国との友好という側面からも、外国貨幣のさらなる受注を期待したいところです。
<参考>
造幣局が製造した外国貨幣(独立行政法人造幣局)