年金・老後のお金クリニック

現在69歳です。年金の手続きは60代前半で行いましたが、全額支給停止に。この場合は繰下げ受給したことになるのでしょうか?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金が全額支給停止になっていた場合についてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

拝野 洋子

執筆者:拝野 洋子

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 / 年金・社会保障ガイド

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老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金が全額支給停止になっていた場合についてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:年金の手続きは60代前半で行いましたが、全額支給停止に。この場合は繰下げ受給になるのでしょうか?

「現在69歳の男性です。年金の手続きを60代前半で行いましたが、働いていたので、年金は全額支給停止に。この場合は繰下げ受給の扱いになるのでしょうか?」(匿名希望)
支給停止になっていた年金は、繰下げたことになるの?

支給停止になっていた年金は、繰り下げたことになるの?

 

A:60代前半でもらえる「特別支給の老齢厚生年金」が、「在職老齢年金」の仕組みにより、全額支給停止になってしまったということです。繰下げ受給したということにはなりません

相談者は69歳とのこと。昭和29年(1954年)生まれの男性であれば61歳から、「特別支給の老齢厚生年金」をもらえる世代です。ところが、60代前半で会社員として厚生年金に加入しながら働いている場合は、「在職老齢年金」制度によって、年金が一部または全額支給停止される可能性があります。「在職老齢年金」制度とは、毎月の給与収入等(月収など・賞与等の12分の1)と老齢厚生年金の基本月額(年額の老齢厚生年金の12分の1)を足した金額が基準額(50万円・令和6年度)を超えると、老齢厚生年金が一部または全額支給停止になってしまうものです。令和4年3月まではこの基準額が28万円でしたので、65歳前の「特別支給の老齢厚生年金」が「在職老齢年金」の対象となり、全額支給停止になったのでしょう。
 
相談者のように、「在職老齢年金」制度により、全額支給停止になっていた年金は残念ながら、後から受給することはできません。そもそも、60代前半で支給される「特別支給の老齢厚生年金」は、繰下げ受給することができないのです。
 
働いていた人は65歳以降に、老齢基礎年金と本来支給の老齢厚生年金が支給されます。65歳以降に厚生年金に加入して会社員で働く場合、どんなに年収等が高くても、老齢基礎年金は全額支給されます。一方で老齢厚生年金は、「在職老齢年金」制度によって60代前半の「特別支給の老齢厚生年金」同様に、支給停止になることがあります。支給停止された老齢厚生年金については、「特別支給の老齢厚生年金」同様に、繰下げ増額の対象となりません。


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