お風呂のお湯はそのまま捨てる? 二次利用する?
家計を取り巻く様々なものが値上がりしている今、水道光熱費を考えると節水もしたいところです。節水で効果があるのが、水の二次利用。一度使った水をなにか他の用途に使うというものです。中でも大量の水となるのが、お風呂の残り湯。湯船のサイズによって違いはありますが、1回で150~200Lほどの残り湯が発生します。これをそのまま捨てるか、二次利用するかで毎月の水道代も大きく変わってくるでしょう。しかし、お風呂の残り湯をどう扱うかはいくつかの側面から考える必要があります。
今回は節水、衛生面などそれぞれの側面から見た、お風呂の残り湯の扱い方をご紹介します。
「浴室のカビ」には、入浴の最後に残り湯を抜いて掃除・乾燥が有効
家の中で一番カビが発生しやすいのは浴室です。一度カビが発生してしまい、さらに根が生えてしまうと、何度も何度もカビ取りをしなくてはならなくなります。カビが発生しないようにするためには、利用後の浴室の湿度と温度を下げることが重要です。浴槽に残り湯があると、いくら蓋をしていても浴室の温度も湿度も高い状態になってしまいます。そのためカビを絶対に発生させたくないという側面から見ると、最後の人がお風呂に入ったあとに残り湯を抜いて、浴槽を掃除し、翌日までに浴室全体を乾燥させておくことが有効です。
残り湯を洗濯に二次利用するって”衛生面“ではどうなの?
節水することは水道代の節約になりますし、地球環境にとっても良いことになります。しかし人の垢や皮脂が残っている可能性があるお風呂の残り湯で洗濯をするのは不衛生なのではないかと考えている人もいるでしょう。現在発売されている洗濯機には、お風呂の残り湯を利用するための「風呂水ポンプ」が付属品として付いているものが多くあります。メーカーとしては洗濯と1回目のすすぎまでは残り湯を使い、2回目のすすぎには水道水を使えば問題ないとしているところが多くなっています。
風呂水ポンプの吸込口は網目状のキャップになっており、中にはフィルターも入っているため、フィルターの目より大きな汚れはここで止めることができます。 また、お風呂の残り湯を使うと排水ホースにカビなどが発生し衛生的でないということを心配する人もいらっしゃるでしょう。しかしこちらの写真は、お風呂の残り湯を一度も使ったことがないお宅で5年間使われていた洗濯機の排水ホースです。中がかなり汚れていることから、排水ホースの汚れは必ずしもお風呂の残り湯が原因ということではないといえます。 また入浴時、湯船に入る前にかけ湯をするなどして汚れを落とすか落とさないかで残り湯の汚れ方も違ってきます。とくに体を洗ったあとしっかりと流さずに浴槽に入ると、タオルなどでこすって浮いた皮脂や垢がついたまま入ることになるためお湯は汚れてしまいます。
洗濯にお風呂の残り湯を使うか使わないかは、最終的には個人の判断になりますが、1回の洗濯で使う水は約100L。ここに残り湯を使うか否かで節水できる量は大きく違ってきます。
またお風呂の残り湯は災害時などに役立つこともあります。地震やその他の原因による断水のとき、水が何もないよりも浴槽いっぱいの水があることで、なにかと使うことができます。きちんと災害時の生活用水を別に準備できるのが理想ではありますが、定期的な見直しを含めるとそうはいかないのも現実。残り湯なので衛生面を考えると使える用途は限られますが、何日にも及ぶ断水のときは、残り湯があるだけでも心細い思いをせずにすみます。
できる限り浴槽のお湯を汚さないように使い、翌日までは災害時のときのためにも残しておき、洗濯と1回目のすすぎに使うというサイクルでもいいのではないでしょうか。