事例1:鉛筆を補充してもすぐに筆箱の中身がスカスカに……
【相談内容/投稿者:35歳女性】小3の長女は、鉛筆や消しゴムを使用した後にきちんともとに戻さないことが多く、いつも筆箱の中身がスカスカです。ないと学校で困ると思って買い足してあげるのですが、補充した1ダースの鉛筆もあっという間になくなります。学校のカバンやファイルの中など様々な所から鉛筆が出てきたり、掃除していると部屋に落ちていたりして、そこが芯で黒く汚れていたりすると余計にイラッとします。消しゴムにしても、どうしても見つからなかった日に帰ってくるなり「今日は間違えられないと思ったから、消しゴムを一度も使わなかったんだよ!」という自慢話までしたりして反省の色が見られません。
以前は子どもが自分でストックから鉛筆を補充していましたが、それだと紛失しただけで交換してしまうため、短くなった鉛筆と交換制にしました。それでもなくすときは、学校で困るからと思ってやはり渡してあげるようにしています。とにかく筆箱に関わる文房具の扱いがとっても雑で困っています。本来、学用品は親が買ってあげるべきですが、しばらく一時的にでも、自分のお小遣いから鉛筆を買うようにさせた方がいいのかなと思っています。
親がやってあげることが“連鎖”を生む要因に
文房具など学用品の管理についてのお悩みの中でも、筆箱の中身については細かいものが多いですし、毎時間のように出し入れをする分なくなりがちなので、悩んでいらっしゃる親御さんは多いでしょう。「ないと学校で困るから」と、なくせば足してあげるご家庭は多いと思います。たしかに学校で困ってほしくないのは、親の切なる思いです。だから整えてあげたくなってしまうのですが、そんな良かれと思ってやっていることが、悩みを加速させてしまっていることは子育てでは案外多いもの。この場合も、子どもにとって「文房具はなくしてもまた手に入るもの」という認識であれば、どうしても管理が適当になってしまいがちです。
このご相談者は、以前は紛失したら子ども自身が家のストックから補充していたのを、親の管理にし、短くなった鉛筆との交換制にしたとのこと。これはいいアイデアだと思います。
また、紛失したものに関しては、自分のお小遣いから買わせることも検討しているようですが、それもいい学びになるでしょう。大事な自分のお金を好きなものに使うのか、1ダース500~600円の鉛筆に使うのか、問題に直面することで意識が変わることは十分あるでしょう。
また筆箱の形が自由に選べるのであれば、仕切りがなく入れ物自体が大きいタイプにするのもおすすめです。イメージとしては、100均で売っている中が透けて見えるようなソフトケース。ざっくり入れてふたを閉めるだけという形にするわけです。
日本の筆箱は一般的にカチッとしまる箱型で、中には仕切りがしっかりあり鉛筆を差す仕組みになっていることが多いですよね。でも管理が苦手な子にとっては、そこに差し込むこと自体がめんどうなので、入れ方の順番を間違えるとふたが閉まらないような筆箱をあえて避けるというのはひとつの工夫だと思います。ソフトケースの筆箱は格好悪いかもしれませんが、管理の実践をするためのアイテムとしては有用ではないでしょうか。
筆箱に限らず、形や中身のレイアウトがあまりにきっちりしているとやりにくいことは多いので、まずはとにかく簡単に収納できる大きなケースで自己管理を体感していくというのが、お片付けが苦手な子にできる工夫のひとつだと思います。
事例2:傘は消耗品!? 初めて持たせた日にさっそく壊して帰宅……
【相談内容/投稿者:42歳女性】長男の小学校入学に合わせて黄色い傘を買ったのですが、雨が降りそうな日に初めて持たせたら、その日にさっそく壊して帰ってきました。どうやら歩きながら側溝に傘を刺して遊んでいたようです。幼稚園の頃は親が常についていたため、傘で遊んで壊すようなことはしませんでしたが、子どもたちだけになるとこうなってしまうのかと驚きました。
傘は持ち歩き用と学校の置き傘用の2本しか用意していなかったため、あわてて新しいものを買いに走りました。小学生男児にとって「傘は消耗品」だと先輩ママに言われていたことが納得できた出来事でした。
言って直るものではない場合、“事が起こらない工夫”を
長い傘を側溝に刺してみる、なぜかみんなやってしまいますよね。筆者も小学校のときにやった覚えがあります。しかし、それで壊れてしまったからとその都度買い足すのはやはりもったいないため、他にできる工夫を探すのがいいように思います。このエピソードは通学路で起こっていますが、手に何かを持って歩いていれば、それで遊びたくなるのは子どもにとってごく自然なことでしょう。また何かに気を取られていたら、いつの間にかどこかに忘れてきたというのもよくある話です。
その場で注意することができれば効果があることも、事が起こってしばらく経ってからだと、いくら親が小言を言っても、子どもはうまく反省できないことが多く、これが家庭外での困りごとの難しさでもあります。
このケースの場合、手に持っているとやりたくなってしまうため、キッズ用の折り畳み傘などを準備してランドセルに収納しておくのが、シンプルな対策ではないでしょうか。
「物を大事にしなさい」と言って直るなら苦労しないからこそ……
家庭の中における子どもの物の管理であれば、その場で注意することができるため学びも大きいでしょう。しかし今回のように学校の中や通学路など、親と一緒にいない場面での出来事は、事後に注意するという形になってしまいます。「言って直るなら、苦労はしない」というのは多くの親御さんが思っていることでしょう。言葉で直させようとせずに、自己管理を体感させたり、事が起こらないような工夫をするなどして状況を改善していくのが現実的に望ましい方法だと思います。