食事中も動画を見る子ども……スマホやゲームとの付き合い方
食事中もスマホで動画を見る子ども
そこで今回はAll About編集部で募集した、お子さんのゲームや動画視聴に悩む2つのご家庭のエピソードをご紹介し、対策を考えていきたいと思います。
<目次>
事例1:家族で食事中も、スマホで動画を見る高2の娘
さっさと食事を終わらせるとすぐまた動画
16歳高2の長女は、食事中もイヤホンをしながら動画を見ています。声をかければ聞こえる程度のボリュームではあるようですが、食べる量も少なく、さっさと食事を終わらせるとすぐにまた動画を見始めます。
学校の勉強はきちんする方なのですが、それ以外はほとんど動画を見ているような状態。学校もそつなく通っていますが、帰ってきても外出しないため、将来引きこもりになるのではないかと心配です。動画は毎日3時間くらい。夜11時までスマホが利用できるというルールにしています。
「イヤホンのしすぎは耳が悪くなるからよくないよ」などと注意していますが、依存状態のようで困っています(相談者:男性49歳)。
家族一緒の食事の時間は「子どもの心の発達」にいい影響を及ぼす
思春期は自立しようという思いが強くなるため、親と距離をとろうとすること自体は普通です。中には反抗度合いが強く、言っても全く聞く耳を持たない子もいます。しかしこのお子さんはそれほど強い反抗態度をとる様子はないようなので、親御さん側の気持ちの揺れを具体的に伝えてみてはいかがでしょう。夜11時までのルールが守れているのであれば、食事のときのスマホ使用も何らかの決まりを作ることは可能だと思います。ただそれを実行しようとすると、お子さんから「なぜ食事中はスマホがダメなのか」と問われるかもしれませんので、そのときの理由を準備しておくことも大切です。心理学的にみれば、家族で一緒に食事をするというのは、子どもの心の発達にいい影響を及ぼす大事な時間です。思春期の女の子にこれが納得のいく理由として響くかは微妙ですが、もし今現在、家族がバラバラの時間に食事をとっている状態であったり、一緒でも会話がなかったりするのであれば、食事の雰囲気をよくする工夫は必要だと思います。つまらなければ、動画を見たくなってしまうので。
また、将来引きこもりになるのではと心配されていますが、やはり動画などと向き合っている時間が長ければ、当然ながら対人コミュニケーションは減ってしまいます。アメリカの研究には、長時間テレビにさらされている子は相手の思いを感じとる力が弱かったというデータがあります。食事は同じテーブルに向き合って座っている分、コミュニケーションをとりやすい場所のため、それを失ってしまうのはやはりもったいないですよね。そういう点から見ても、食事はコミュニケーションの場とするのが望ましいといえるでしょう。
思春期になると、こういうことを「ウザい」と感じやすいのですが、まじめで穏やかな様子が伺えるのでぜひ伝えていってほしいと思います。
事例2:ご飯の時間になってもゲームをやめない7歳長男
ご飯の準備ができたのにゲームをやめない長男
7歳小2の長男はご飯の時間になってもなかなかゲームをやめません。「そろそろご飯だからやめてね」と声をかけているのですが、「ちょっと待って、今バトル中だから無理!」などと返されてしまい、やめてくれないことばかりです。結局ご飯を並べても終わらせることができずに、怒る毎日。ゲームをやっていいのは1日1時間、アラームが鳴ったらやめるというルールにしていますが、実際、平日は1~2時間、休日は2~3時間はしています。あまりに約束が守れない日が続いたときには、時間になったら強制的に終了になる設定にして、数日様子を見るようにしています。
時間になったら「やめてね」と言っているのに、「後でまた少しだけゲームしてもいい?」などとしつこく聞かれたりするのもストレスです。子どもの頃にゲームをやらせてもらえなかった反動で大人になってから執着するより、興味があるならやること自体は問題ないのではと考えています。しかしゲーム機を購入してから、今まで怒らなかったことまで怒ってしまい毎日のようにイライラしています(相談者:女性35歳)。
ゲームの時間を増やすのは簡単、減らすのは大変
私の育児相談室でも、ここ数年で格段に増えたのがゲームに関するお悩みです。まさにこのお子さんのようにどんどんのめり込んでいってしまい、時間がエスカレートしていくパターンです。増やすのは簡単、減らすのは大変、それがゲームや動画視聴です。そのため私はできるだけ小さいうちからの親の介入をおすすめしています。大事なのは“ほどほど”にすること。この親御さんもおっしゃっているように、私もゲームの時間をゼロにする必要はなく、毎日の生活の中にほどよく収まっていれば問題ないと思っています。
ゲームに限らず、子どもの要求に対し「じゃあ今日はいいよ」と特別ルールを施行してしまうと、次からはそこがスタンダードになってしまいます。「昨日はいいって言ったのに、なんで今日はダメなんだ!」と感じ、それがもめごとの原因になるのです。子どもとのルールは一貫していることが非常に大事になります。
私は小学校低学年であれば、ゲーム機は親が管理し、そこから子どもにレンタルする形の方がうまくいくと考えています。
たとえば、
・きちんとゲーム機を返せたら次の日も使える、返せなかったら次の日は使えない
・ごはんのタイミングでスイッチを消せたら食後もできる、消せなかったら食後はできない
このようなシンプルなルールです。強い罰則にする必要はなく、「あ、パパ・ママの言うことを聞いた方が得だな」と学んでもらうことが目的です。
「ゲーム障害」という依存症も世界的な問題に
ゲームや動画との付き合い方については、日本だけの話ではなく世界的な問題となっています。最近はWHO(世界保健機関)が依存症の1つと見なし、「ゲーム障害」という病名を加えています。ひどくなると入院して対処することもあります。ゲームにしても動画視聴にしても、年を追うごとにエスカレートする傾向があるため、2~3歳の小さいうちからどっぷり浸かっている子は、後々より深刻な依存で悩むことが多いように感じています。
小さいうちは自分で時間を管理することは難しいため、親がリードして導いていってほしいと思います。
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