増える「セックスレス」を題材にしたドラマ
「恋人・夫婦仲相談所」で主にセックスレスを専門としたカウンセリングを行っている筆者は、仕事柄、話題の恋愛・不倫ドラマには目を通すようにしています。セックスレスというテーマを前面に押し出すドラマも登場する今日この頃。『恋なんて、本気でやってどうするの?』(関西テレビ)、『それでも愛を誓いますか?』(朝日放送テレビ)、『連続ドラマW それを愛とまちがえるから』(WOWOW)など、どれも男女のジレンマが根底にあります。
では“レス夫婦”の行き着く先は離婚かというと、そう単純ではありません。もしそうなら、日本の夫婦の半数は離婚する事態に陥るわけで、夜の営みがあろうがなかろうが、家族としての絆で固く結ばれるカップルは数多く存在するということです。
子どもを無事に育て上げる役割、家庭の経済を補い合う役割、親を介護する役割、二人で力を合わせて過ごしていると愛情がどんどん湧いて「かけがえのない存在」になっていく。夜の営みの有無など、互いに納得できていればノープロブレムなはず。
けれども実際には、妻もしくは夫のどちらか一方が「セックスレスの状態に満足できない・不安を感じている」のです。
だからこそ一般的には、レス状態を発端に苛立ちやストレス発散のための飲酒・買い物依存、さらに不倫など大小さまざまなな問題が勃発。そこでやっと離婚が頭をよぎるため、“セックスレス直結型”離婚は多くはありません。
「不倫」ドラマも増えている
セックスレスを題材にしたドラマと並んで、不倫ドラマも増えていることにお気づきでしょうか。2014年に大ヒットした上戸彩さんの『昼顔』(フジテレビ)を筆頭に、『奪い合い、冬』『ホリデイラブ』(ともにテレビ朝日)、『あなたには帰る家がある』『恋する母たち』(ともにTBS)、『うきわ ―友達以上、不倫未満―』『シジュウカラ』(ともにテレビ東京)……と、視聴しきれないほどです。篠原涼子さん、岩田剛典さんのNetflix『金魚妻』が国内外で上位にランクインしたことも話題になりました。『金魚妻』もそうですが、もともと夫婦間にネガティブな問題があって“からの”不倫なので、それが当事者の言い訳になっています。
不倫の「言い訳」に見られる共通点
不倫に至る理由、言い訳にはいったいどんなものがあるでしょう。○不倫「妻」の言い訳
- 夫に暴力を振るわれたから
- 夫にモラハラを受けたから
- 夫が仕事にコミットしすぎてかまってくれないから
- 夫のテクニックでは満足できないから
- 妻が育児ばかりで「おかあさん」にしか見えないから
- 妻が文句ばかりで性の対象にならないから
- 妻が身なりを気にせず魅力を感じないから
- 妻よりやさしくて癒やしてくれる女性が出現したから
- 妻が仕事でキャリアアップしてマウントを取ってくるから
「夫は何も悪くないわ。私が弱い女だから、年下のイケメンに惹かれてしまって。いけないのは私」などと涙ぐむ自己反省型不倫がないとは言いませんが……。
前向きな夫婦関係の続け方はある?
いわば「親戚関係」のような、セックスレス問題と不倫問題。5割以上の夫婦がセックスレス状態(【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020 / 日本家族計画協会)ともいわれる日本において、離婚や不倫という選択肢を回避する策はあるのでしょうか。もちろん、あります。これまで多くの男女がしてきたように「結婚とはこんなもんだ」と諦め「妥協」することもひとつの回避策ではありますが、もっとポジティブかつ健全に「改善」をめざすならば、マインドセットの形成が必要になってきます。持続可能な夜の営みを目指すマインドです。
二人が”愛を感じる瞬間”がたくさんあればあるほど幸せです。
夫(妻)とだけ“愛を感じない”夫婦に意義はあるのか? 夫以外の男性、妻以外の女性で"愛を感じる"のなら、結婚の根本を考える必要があるのではないかと思います。
介護状態になるまで寄り添わねばならないのが夫婦関係。どちらかが弱っているときに至高の愛を与えることができる男女になるために、今、考えることは「夫(妻)といても意味がない」と言い切れるかどうかです。
少しでも意味があるならば、与え続けてください。愛を。やさしい言葉がけでもいい。笑顔で見つめるだけでもいい。家事を協力するだけでもいい。イチゴを買ってくるだけでもいい。夫と妻の”与え愛”で離婚も不倫も、そしてセックスレス問題も遠ざかると筆者は信じています。
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