強力粉と薄力粉の違い……小麦粉の種類でグルテンの量と強さに違い
小麦粉は製粉して調理に用います。小麦粉の種類を上手に使い分けて、美味しい料理を作りましょう。
強力粉と薄力粉はいずれも「小麦粉」の種類です。ほかに「中力粉」という種類もあります。すべて小麦粉なのに何が違うのでしょうか?
これらの違いは、「グルテン」の量と強さの違いです。
- 強力粉……グルテンの量が多く強さが強い小麦粉
- 薄力粉……グルテン量が少なく、グルテンの強さが弱い小麦粉
- 中力粉……その中間くらいの小麦粉
<目次>
グルテンとは小麦粉のたんぱく質と水が混ざり合ってできる栄養素
それでは小麦粉の種類を分ける「グルテン」とは何でしょうか。小麦粉には「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が含まれています。水を加えて小麦粉をこねることで、グルテニンとグリアジンが網目状に絡み合って、粘り気を持つ「グルテン」になります。この時できるグルテンの量によって、強力粉、薄力粉などの種類が決まるのです。
余談ではありますが「グルテンフリーダイエット」というものが流行したことがあります。テニスのジョコビッチ選手がグルテンフリーダイエットを行っていたこともよく知られています。小麦は「食物アレルギー」の原因食品のトップ3と言われる食品でもあり、ジョコビッチ選手はこの小麦アレルギー(※ジョコビッチ選手はグルテンアレルギーと称しています)を持っているため、彼にはグルテンフリーダイエットが適していたのかもしれません。しかし小麦アレルギーでない場合、「グルテンフリーダイエット」がさほど健康に寄与するとは考えにくいです。
強力粉と薄力粉の使い分け・美味しい料理の作り方
強力粉は主にパン、餃子の皮、ピザの生地などに使います。強力粉を使う料理の場合、最初に強力粉をしっかりこね、強いグルテンを作ることがおいしく作るコツです。特にパンは発酵中に発生するガスを生地が抱き込むことでふんわり膨らみます。グルテンがガスを抱き込むために大切なんですね。薄力粉はケーキ、お菓子、たこ焼き、お好み焼き、フライやてんぷらの衣などに使う小麦粉です。薄力粉は家庭料理でよく作る料理に使われるので、ほとんどの家庭に常備してあるのではないでしょうか。
中力粉は、日本古来の品種からできたものです。「うどん」の麺を作るのに最適です。
強力粉・薄力粉・中力粉がない時、別の小麦粉で代用可能?
上述のように、強力粉、中力粉、薄力粉のそれぞれで美味しくできる料理は異なります。しかし、自宅で料理をしているときに、「パンを作ったときに残った強力粉しかないけど、今日はてんぷらを作りたい」といったこともあるかもしれません。同じ小麦粉なら代用はできないかと考えてしまうでしょう。
この質問は非常に答えるのが難しく、一概にできるともできないとも言えません。
例えば、フライやてんぷらの衣は薄力粉がベストと言われていますが、強力粉で代用しても美味しく作ることができます。しかし薄力粉で作るべきふわふわのケーキを強力粉で作ったら、硬く食べにくいケーキになってしまいます。逆に、強力粉で作るべきパンを薄力粉で作ったとすれば、ふわふわしたケーキのような食感のパンになります(もっとも、このふわふわした食感のものをパンと言っていいのかも難しいところではありますが……)。
代用できなくはありませんが、本来の味や食感を求めるのであれば、やはり適切に使い分けるのがベストでしょう。
小麦粉には強力粉、薄力粉をはじめとしてさまざまな種類があります。それぞれの特徴を活かして美味しくいただきたいですね。
■参考
- 小麦粉百科(日清製粉グループ)
- 食について学ぼう たべもの事典(グリコ栄養食品株式会社)
- 小麦粉徹底比較(富澤商店)