単身者の貯蓄額は平均値が1062万円、中央値が100万円
一人暮らしの人は、他のみんながどれくらい貯めているか、ひそかに気になりませんか?金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査【単身世帯調査】」(2021年)の最新データによると、単身者(一人暮らし)の人の平均貯蓄額は1062万円、中央値は100万円(ちなみに昨年は平均貯蓄額が653万円、中央値が50万円、一昨年は、平均貯蓄額が645万円、中央値が45万円)という結果が出ていました。
※正しくは「金融資産保有額」ですが、当記事ではまとめて「貯蓄」と表記します。また、例えば翌月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。
「平均値の1062万円にはおよばないけれど、中央値の100万円の貯蓄だったらあるなあ。でも、平均値と中央値って何が違うの?」と感じた人もいるかもしれません。 そこで、まず「平均値」と「中央値」の違いについて確認していきましょう。
一人暮らしの友人が10人いたとします。そのうちの9人が10万円、1人が1億円の貯蓄を持っていれば、「みんなだいたい10万円を貯めているよね」という感覚になりますよね。ところが、実際に計算して平均値を取ると、(10万円×9人+1億円×1人=1億90万円)÷10人=1009万円になります。
ほとんどの人が10万円の貯蓄にもかかわらず、たった1人、1億円を持っているだけでその数字に引っ張られ、平均値は1000万円を超えてしまったのです。
つまり「平均値」とは、極端に高い数字(または低い数字)があると、それに引っ張られてしまい、「真ん中」からズレが生じてしまいます。
そこで注目したいのが「中央値」です。中央値とは、高いほうと低いほうから順番に数えていき、ちょうど真ん中にある数値のこと。この友人10人なら、「10万円」になりますね。「みんな10万円くらい貯めているよね」というのが実感値に近いのではないでしょうか。つまり「真ん中」を知りたい場合は、平均値よりも「中央値」を見るほうがよいケースも多いわけです。
さらに、先ほどお伝えした、一人暮らしの貯蓄額の平均値(1062万円)と中央値(100万円)は、20代~70代までの数値です。
では、自分の年代に近い人の数値はどれくらいでしょうか。最新データから、20代、30代、40代の単身者(一人暮らし)の貯蓄額の「平均値」と「中央値」を、年収別に見ていきましょう(いずれも「収入はない」と答えた人は除外しています)。
20代の単身者の平均貯蓄額は? 中央値は?
- 年収300万円未満……平均値72万円/中央値8万円
- 年収300万~500万円未満……平均値230万円/中央値100万円
- 年収500万~750万円未満……平均値554万円/中央値100万円
- 年収750万~1000万円未満……(回答者1人のため除外)
- 年収1000万~1200万円未満……(回答者1人のため除外)
- 年収1200万円以上……(回答者2人のため除外)
30代の単身者の平均貯蓄額は? 中央値は?
- 年収300万円未満……平均値256万円/中央値15万円
- 年収300万~500万円未満……平均値450万円/中央値140万円
- 年収500万~750万円未満……平均値851万円/中央値365万円
- 年収750万~1000万円未満……(回答者9人のため除外)
- 年収1000万~1200万円未満……(回答者なし)
- 年収1200万円以上……(回答者2人のため除外)
40代の単身者の平均貯蓄額は? 中央値は?
- 年収300万円未満……平均値223万円/中央値2万円
- 年収300万~500万円未満……平均値772万円/中央値215万円
- 年収500万~750万円未満……平均値1384万円/中央値522万円
- 年収750万~1000万円未満……平均値3576万円/中央値3275万円
- 年収1000万~1200万円未満……(回答者3人のため除外)
- 年収1200万円以上……(回答者4人のため除外)
基本的に「平均値」はやや高め、「中央値」はやや低めのケースが多かったのではないでしょうか。
どのような人生を歩みたいかは一人ひとり異なりますので、必要貯蓄額も異なります。でも、どれくらい貯めたらいいかがわからない場合、一案ですが、まずは「中央値」を目指し、それをクリアしたら「平均値」を目指す、という目安にしてもいいかもしれません(※平均値のほうが中央値より高かった場合)。
もちろん、こちらはあくまでも一般的なデータです。この数字だけにとらわれず、自分の目標や夢を考えたうえで、必要なお金がいくらかを調べ、実現に向けて貯めていきたいですね。
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