混迷した時代にも挑戦をあきらめないこと
ピンチをチャンスに変えることができるか?
世の中が混迷してくると、たいていの人は保守的になり、リスクを冒してまで挑戦しようとしなくなります。ですが、成功している経営者たちは、多くの人たちが守りに入る混乱やピンチの時こそ、チャンスととらえリスクを冒して挑戦することが多いのです。
ここ2年、混乱と停滞の時代の中で、どんな人にお金や人が集まるかが、明確に見えてきました。それはピンチの時代に自分を守ろうと身をかがめて守りに入っている人ではありません。
こういう時代だからこそ、これが流行るとか、人が求めているものはこれだというように、前向きなチャンスとしてとらえ、新しいものを生み出していこうとするクリエイティブな発想とチャレンジ精神に満ちている人です。
実際、新型コロナウイルスの影響で外食産業は軒並み大ダメージを受けましたが、Uber Eatsに代表される宅配ビジネスの需要が一気に高まりました。
「『朝4時起き』で、すべてがうまく回りだす!」「朝活手帳」の著者で有名な池田千恵さんは、新型コロナが広まった時、不安に陥る女性に寄り添うコンテンツ「朝キャリ」をFacebook上で展開し、それが非常に支持され一つのプラットフォームに成長させることに成功しました。いまでは主婦からOLまで、幅広い女性層に支持される人気コンテンツとなっています。
じつはいまの時代、国も地方自治体も新たにチャレンジする人に対して積極的に保護し育成しようと、補助金や助成金などさまざまな制度を作っています。コロナ禍になって、とにかく産業を守るべく、政府も銀行も積極的に融資を行っています。そういう意味でも、一見チャレンジしにくい時代ですが、じつは新しいことを考える人にとって、大変有利な時代でもあるのです。
新型コロナが流行る直前にYouTube配信を始める
私自身も、いま力を入れているのがYouTubeでの配信です。「税理士BLPチャンネル」という番組で、税理士キャリア30年以上の「ウッシー」とナビゲーターの「キッシー」の掛け合いで、経営の裏話を気軽に楽しめる内容です。私は出演していませんが、パートナーと共に、動画制作に参加しています。じつはこのYou Tube配信を決めたのが2019年の夏くらいで、配信はその年の11月くらい。ですからまさに新型コロナが流行る直前ということでしょうか。そして、新型コロナが最初に中国武漢で発生した時、私はこれはとんでもない時代が来ると確信しました。
その後ほどなくして日本でも新型コロナが蔓延し始め、世の中が一気に自粛、停滞モードに包まれた時、私たちはこの配信だけはどんなことがあっても絶対に続けようと決心しました。
行動が制約される中、一本の動画を仕上げることは大変な作業です。ただ、この事業を継続してきたおかげでパートナーとの結束や方向性、そしてビジョンが固まったと思います。
面白いもので、こういう時期に新しい試みに挑戦することで、協力者が増えていきます。誰もが閉塞したいまの時代と社会を突き破りたいと考えているからこそ、そんな可能性を見せてくれる人や組織、会社に注目し集まってきてくれます。そしてその人たちの輪の中からエネルギーが生まれ、新しい可能性が生まれてくるのです。
ZOOMはもはや時代遅れ!? VR会議を導入!
ちなみに、いまの事務所は新型コロナが流行る10年ほど前からZOOMなどのリモートを活用した在宅勤務を取り入れていました。そして今後はZOOMを飛びこえ、VR会議を行おうと予定しています。VR空間でスタッフそれぞれがアバターとして存在し、会議や打ち合わせができるという代物です。リモート会議は二次元ですが、VR空間は三次元になるので、会議がよりリアリティが増すというメリットがあります。あくまでも実験ですが、新しい仕事の可能性を探っていきたいと考えています。仕事の仕方からアウトプットまで、いまや、やろうと思えばいろんな工夫ができ、面白さを追求できる時代だと思います。苦しい時代だからこそ、その面白さが際立つし、人が寄ってくる。人が集まればそこにはビジネスも生まれ、お金も生まれるのです。
そのためには、危機の時代だからと身を小さくして、自分と自分の持っているものだけを守ろうとするのではダメです。
困難な時代だからこそオープンマインドで、自分の持っているものを開示し、苦しみも楽しみも人と共有することが、成功への道だと考えます。
★第7回『危機時代には「銭洗い」や「おまじない一人旅」でお金持ち体質に?』に続きます
【亀田さんのインタビューはコチラ】
亀田潤一郎さんが語るお金持ちと貧乏な人の財布の違い
教えてくれたのは……
亀田潤一郎さん
亀田潤一郎税理士事務所。税理士。学生時代、中小企業の経営者だった父親の会社が倒産。その悲劇を目のあたりにする。一時はホームレス状態でうつ病になるが「中小企業の経営者をお金の苦労から守りたい」という使命感から、苦節10年を経て税理士になる。数字に苦手な経営者に向けて預金通帳を活用した資金繰りをよくするためのコントロール術などを指導する。ほとんどの顧問先から高評価を得る。数々の経営者と付き合う中で、持続的に成長している企業の経営者の財布の使い方に共通点があることを発見。それを実践したところ年収が飛躍的に伸びた。その経験をまとめた『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』(サンマーク出版)がベストセラーに。そのほか『通帳は4つに分けなさい』(経済界)、などがある。
取材・文/本間大樹