厳しい時代だからこそ、お金に好かれる人になる方法
急激に変化する世の中で、お金に対する意識や向き合い方も大きく変わりつつあります。しかし、持続的な成功を遂げて、お金にいつも恵まれている人ほど、お金に対する態度は時代を超えて変わらない!? 税理士の亀田潤一郎さんが、ベストセラー『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』から12年、いまの混乱と混迷の時代、お金に好かれる人を徹底解説します。厳しい時代に、お金に好かれる人になるためには?
スマート&スリム時代に、お金に好かれる人になるには
私が『稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか?』という単行本を出したのが2010年12月でした。あれから12年、世の中はものすごいスピードで変化してきました。東日本大震災や数々の自然災害、新型コロナウイルスの世界的なパンデミック、大きな厄災、戦争によって人々の生活も意識も大きく変わりました。
同時にテクノロジーの進展も著しい。SNSの広がりでより多くの情報が瞬時に世界に拡散するようになりました。IT化の進展やAIの登場で、さまざまなものが自動化、デジタル化されました。
12年でこれだけ変わるとは……。ため息が出るほどですが、生活習慣や意識、お金に対する向き合い方も当然、大きく変わってきました。
最大の特徴は、「守りの姿勢」が顕著になったことでしょう。「生活保守主義」という言葉があります。もともとは年配の人が変化を求めず生活の安定を求める保守的な姿勢を指していました。
しかし、いまや老若男女、ともすれば若い人ほど保守主義が強いようです。先の見えにくいいまの時代、お金をたくさん稼ごうとか、大きく増やそうとしない。無駄遣いや支出を抑え、限られたお金の中でやりくりする。
いまの時代を表す「スマート」「ミニマム」「サブスク」
私たちの生活やお金に関していうならば、いまの時代を表す言葉としてスマート、ミニマム、サブスクリプションの3つが挙げられると考えます。スマート化とは、本来は家電などに高度な情報処理能力を付加することで、情報端末の機能が加えられるものです。ここでは広義に、スマートフォンなどの端末での決済機能などさまざまな自動化を指します。いまやカードは当たり前、さらにスマートフォン一つで支払いを済ませる時代。電子マネーなども登場して、現金を使う機会がどんどん少なくなっています。
一時期「断捨離」という言葉が流行りましたが、いまは若い人を中心に、できるだけ身の回りに無駄なモノを置かず、必要最小限の所有で済まそうというミニマム化の動きが自然に生まれています。
それは同時に共同で使えるもの、シェアできるものは極力シェアするという考え方につながります。さらに定額で自由にコンテンツにアクセスできるサブスクリプション(サブスク)という形態が台頭しています。
このようなスマート、ミニマム、サブスクの時代、いまさら長財布だの、お札はそろえて財布に入れるだの、12年前に注目を浴びた私のやり方は、アナログすぎてとても当てはまらないように思えます。いま若い女性の間では、三つ折りのコンパクト財布が流行っているそうです。中には財布さえ持ち歩かない人も。まして長財布なんてかさ張るだけと思っている人も多いのでは?
スマート化の陰に潜む落とし穴とは?
ただし、スマート化には大きな落とし穴があると考えています。電子マネーや端末決済、カード決済などの便利でスマートな支払いによって、私たちは肝心のお金を使うことのリアリティを失いがちです。電子マネーにおけるお金はすでにお金ではなく、ポイントであり、もっというならば「数字」です。
そこには1円玉から1万円札までの、硬貨やお札の存在感、触った時の感触や重み、自分の財布から出して、支払いで渡す時の思いや感覚という、一連の「リアリティ」が、ごっそりと抜け落ちてしまっているのです。
そのリアリティの欠如の結果、ついつい浪費をしてしまう。お金を喪失する実感=お金を使う手応えがないので、欲望だけが自由に幅を利かせることになるのです。
ですから、一見スマートな電子決済に見えますが、その結果として浪費と散財を引き起こすメタボ消費になっている。スマートとは裏腹の、皮肉な結果になっているのでは?というのが私の見立てです。
流行りの電子マネーやプリペイドカードも、先払いとしてだけの使用ならまだしも、クレジットカードと連動した後払い機能を使ってしまうと、お金を使った手応えのないまま、出費が膨れ上がる可能性があります。
一見スマートに見えるやり方が、じつは大きな落とし穴になっている。お金に好かれたいならば、あえて時代に逆行することも必要だと私は考えています。
以降は、より具体的な危機時代にお金に好かれる人になるための考え方&実践ノウハウをお話ししていきたいと思います。
★第2回『デジタル時代に、100円玉、50円玉、10円玉を持ち歩くとお金持ち体質に』に続きます
教えてくれたのは……
亀田潤一郎さん
取材・文/本間大樹