亀山早苗の恋愛コラム

40代、「ありのまま」の夫にモヤモヤ。思い描いた夫婦関係とは“違う現実”に思うこと

40代、自分自身の「老い」が気になる女性は多いだろう。そして同時に、夫の「老い」に対してもこれまでとは違う感情を抱く時期でもあるのかもしれない。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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40代、そろそろ「老い」が気になる女性は多いかもしれない。一方で、夫に対しても見方が変わる時期なのではないだろうか。
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43歳になった夫の「まん丸なお腹」を見て

結婚して12年、夫は少なくとも15キロは増えたはずと、サエコさん(40歳)は顔をしかめる。10歳と7歳の子がおり、彼女はパートで働いている。

「ふと気づいたら、43歳になった夫のお腹はまん丸。暴飲暴食のなれの果てでしょうね。私は出産後も半年足らずでもとの体重に戻したし、それなりに努力してきましたよ。だけど夫はまったく努力しない。それでいて先日もしみじみと私の顔を見て、『しわが多すぎない?』って笑うんです。ものすごく腹が立ったので、それから3日ほど口をききませんでした。太らないようにしようと気をつけていたら、確かに顔にしわが多くなったのは事実。でもそれを笑うなんてひどすぎる」

憤懣やるかたなしというほど口調が激しい。夫は帰宅してもほとんど家事をせず、時間があればソファに座ってだらだらしている。たまには子どもの宿題くらい見てやってと言っても「もうオレにはお手上げだよ」と言うだけ。教育にはあまり関心がないようだ。

「それでいてゲームには熱心。長男相手に真剣に挑んで負けていますけど」

サエコさんにとって、決して「尊敬できる夫でも父親でもない」そうだ。そこがイライラする第一の原因かもしれない。

「夫の弟一家が同じ駅の向こう側に住んでいるんですが、この義弟が本当にすばらしい人なんです。いつも妻を気遣い、家事育児に積極的。一家でキャンプに行ったりすると、彼のサバイバルスキルに義妹が惚れ惚れするというくらい。頼りになるし、威張らないし、いつでも家族思いなんですって。しかもたぶんうちの夫の1.5倍くらいは稼いでいるはず。私が結婚するとき、義弟はすでに結婚していました。義弟夫婦、高校の同級生で初恋を実らせて結婚したんですって。そういうエピソードもいいですよね」

義弟はきちんと体を鍛え、20歳のときの服も着られるほど体型に変化がない。多忙な仕事に従事しているのにストレスに負けず、心身ともにきちんとコントロールしているのはすごいとサエコさんは絶賛する。
 

夫はだらしないだけ

弟を褒めると、夫はいつも不機嫌になる。そして「節制してなにが楽しいんだろう。オレはありのままの自分でいたい。あいつ、よそに女でもいるんじゃないか」と言い出す。

「情けないですよね。すべて弟のほうが上回っているからコンプレックスがあるんだと思います。最近、夫の白髪が増えたので、少し染めたらとアドバイスしたんですが、やっぱりありのままでいい、と。ありのままって結局、努力を拒否する言葉だよねと言ったら、また不機嫌になっていましたが」

老化を実感するにはまだ早いが、サエコさんはすでにいろいろな目標をたてているという。ジムに通うくらいなら子どもの学費や塾代に使いたい。だから彼女自身はジムには通わず、家で動画を観ながらストレッチやヨガをしている。買い物に行くときは早足で歩き、なるべく遠くのスーパーまで足を伸ばす。朝は早く起き、子どもたちと一緒に飼い始めた保護犬の散歩をする。

「とにかく動き回るのがいちばん。夫にも犬の散歩をしてみたらと言っても『オレは5分でも多く寝ていたい』と。結局、夫はだらしないだけなんじゃないかと最近、思うようになりました」

常に向上心をもち、努力を続けることが重要だとサエコさんは信じている。今も通信教育で資格取得に向けて勉強を欠かさない。そんなサエコさんに、夫はときどき「きみを見ていると息がつまる」と言うそうだ。

「私はだらしないあなたを見ていると、老いていくのが怖くてたまらないと言いました。近所の50代の男性よりうちの夫のほうが老けて見えるんです。それでいいと思っている神経が理解できない」

言いたい放題のサエコさんだが、夫になんとか奮起してもらいたいと思っているという。仕事にも家庭生活にも、もっと前向きに自分から取り組んでほしいのだと。

「仕事はそれなりにやっているのかもしれませんが、同期の中でも出世は遅い。私たち、社内結婚なので、当時の同期がまだ社にいるんです。ときどき夫の社内での立場を教えてもらうんですが、あんまり評価はされていないみたい。若いときは出世しそうな勢いがあったんですけどね。同期にそう愚痴ったら『幸せそうだからいいんじゃない?』って。まあ、おっとりしているところが長所だと他人は思うんでしょうね」

なんだか思い描いていた夫婦関係や家庭ではなくなってしまった、それが悔しいんですよねとサエコさんは言った。

夫とはいえ、「他人」である。夫の生き方を変えようと思ってもむずかしい。人にはそれぞれ向き不向きがあるのだから。みんなが同じスピードで生きているわけではないのだろう。

「それでもなんとか夫のお尻を叩いて生きていくしかないんでしょうね」

サエコさんは苦笑しながら大きなため息をついた。
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