亀山早苗の恋愛コラム

引っ越し先で受けた“ありえない”被害。ダンボール箱を抱えてやってきたご近所ママの狙いは…

夫の転勤やマイホーム購入など、年度が改まるこの時期は引っ越しも多くなる。新たな土地、新たな人間関係に悩んだり迷ったりすることもあるだろう。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

恋愛ガイド

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夫の転勤やマイホーム購入など、年度が改まるこの時期は引っ越しも多くなる。新たな土地、新たな人間関係に悩んだり迷ったりすることもあるだろう。
 

大きなダンボールを抱えて突然やってきたママ友

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昨年、マンションを購入して同じ市内の隣町に引っ越したサエコさん(38歳)。結婚して8年、同い年の夫と7歳、4歳の子がいる。彼女自身はパートで働いていたがコロナ禍で仕事がなくなり、越してから新たなパート先を見つけた。

「今は少し落ち着きましたが、昨春、越してきたころはマンション内の人間関係がわからず、いろいろなことがありました」

苦笑しながらそう話す。隣人は、すでに子どもたちが独立した共働き夫婦。顔を合わせれば穏やかに挨拶を交わす仲だが、特につきあいはない。過干渉なお隣さんだと困るから、そこは救われたとサエコさんは言う。

「子どもたちが入った保育園で知り合ったママのヒロコさんが、同じマンションにいるとわかりました。マンションのことなどいろいろ教えてくれて、親切な人だなと思っていたら、ある日突然、彼女がうちにやってきたんです。大きなダンボールを抱えて」

ヒロコさんには3人の子がいる。上ひとりが女の子で下ふたりは男の子。そのため長女の洋服やおもちゃなどが余っている。もう役に立たないのでひきとってもらえないかということだった。

「うちはふたりとも女の子だから、てっきりもらえるんだと思ってお礼を言ったら、ダンボールを下におろして、じゃあこれ『5000円でいいわ』って。は?と、思わず聞き返してしまいました。『中身は何万円も出して買ったものよ』と言ってじっと私を見つめてくるんです。その気迫に負けて思わず5000円を払ってしまいました」

ところが箱を開けてみると、裾がほつれたスカート、薄汚れたTシャツなど、いくらなんでも娘たちには着せたくないようなものばかり。ぬいぐるみも人形も使い古した感じで、娘には持たせなくない。

「帰宅した夫にぼやいたら、『そういう人がいるのか。気をつけたほうがいいな』って。それ以来、なんとなく彼女のことを避けていたんですよ。ちなみにダンボールに入っていたものは全部ゴミに出しました。彼女に見られたら困るとは思ったけど、とっておくのも嫌だったし。文字通り、お金をドブに捨てたことになって悔しかった」

確認もせずにお金を渡してしまった自分にも腹が立ったとサエコさんは言う。
 

保育園に悪口を言いふらされて

ところがサエコさんの危惧は的中してしまったようだ。分別して出したゴミの中に、ヒロコさんから買ったものが入っていたのを見られたらしい。

「『今度越してきたサエコは、人の好意を無にする』とあちこちで言いふらしていたようです。当時、新たにそのマンションに入った人も多いし、保育園も新入園がうちも含めてけっこういたのですが、なんとなく避けられていると感じることがありました。子どもたちに悪影響があったら困ると思っていたんです」

郵便受けに「あなたって失礼な人ね」というヒロコさんからの手紙が入っていたこともある。それでもヒロコさんに不気味な感じを抱いていたサエコさんは、周りに言い訳や反論をすることもなく、淡々と暮らしていた。

「そんなとき、スーパーで買い物をしていたら顔見知りのマンション住人が近づいてきました。『あなた、ヒロコさんから売りつけられたんでしょ』って。実はそうなんですと言ったら、『あなただけじゃないの。何人か被害者がいるのよ』と言われました。ヒロコさんはコロナ禍で仕事を失ったそうです。夫も非正規で働いてるために収入が不安定で、ときおり親しくもない人たちに家の中の不要品を売りつけるようになったんだとか」

多額でもなく、しょっちゅうというわけではないので、みんな黙っているものの、マンション内にも数人の被害者がいる。もっとひどくなったらみんなで話をつけようということになっていると聞かされた。

「なんだか自分だけがターゲットにされたわけではないと聞いてホッとする気持ちと、収入が途絶えるとそういうことは誰にでもあるだろうという気持ちと両方わいてきて、なんだか複雑でしたね」

その後、ヒロコさん一家は越していった。彼女の実家で一家5人、再スタートを切ると親しい人には言い残していったという。

「今のご時世、生きていくだけで大変ですよね。だからせめていい人たちとつながりたい。今年もこれからマンションに入ってくる人たちもいると思うけど、できるだけ仲良くしていきたいと思っています」

サエコさんは「希望はいつでも持っていたいですよね」と明るい笑顔を見せた。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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