亀山早苗の恋愛コラム

「あのことだけが、ひっかかる…」。彼との“相性”が不安で結婚を迷い続けた35歳の決断

結婚するにあたって「性的な相性」を重視する人は、それほど多くないのかもしれない。だが、何を重視するかは人による。そこがネックになり、「愛せなくなるかもしれない」と不安になる女性もいるのだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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結婚するにあたって「性的な相性」を重視する人は、それほど多くないのかもしれない。結婚生活を続けていけば、「どうせしなくなるもの」だし、いずれは性欲だってなくなっていくだろうと思うのだろう。だが、何を重視するかは人による。
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そこがネックになり、「愛せなくなるかもしれない」と不安になる女性もいるのだ。
 

友だちは「たいしたことじゃない」と言うけれど

ふたりの間では結婚の約束をしているというサヤさん(35歳)。2歳年上の彼とはつきあって1年、子どももほしいしできれば早く結婚したいと思う一方で、彼との性の相性に関して深く悩んでいるという。

「どうして人は結婚と性の相性をちゃんと考えないのか。そこが不思議なんです。友だちに悩みを話しても、『エッチできるなら子ども産めるし、相性なんてあってないようなもんよ』と片づけられてしまう。彼もあんまり重きを置いてないみたい。つきあって1年の間、片手で間に合うくらいしかしてないんですよ」

そもそも彼の性へのエネルギーが足りない、なおかつ愛撫が下手、さらに時間が短いなど、サヤさんにとっては不満だらけ。

「彼は『ふたりで何でも話し合おう』というタイプの人なんですよ。それなのに性のことを話そうとすると、『サヤにとっては大事なこと、僕にとってはたいして大事なことじゃないんだと思う』と言い切って、具体的な話にはならない」

双方の親にも合わせているし、彼の友人にも会った。自分の友だちにも会わせた。誰もが「いい彼だね」と言う。特にエリートというわけではない。ごく普通のサラリーマンだが、自分の仕事には責任をもって取り組み、粘り強く仕事を着実にこなしていくタイプ。

「あんたみたいにせっかちで早とちりする人には、ああいうどっしりした人がいいのよと母親にも言われました。確かに生活していくにはいいと思う。穏やかだし、家事も得意だし。だけどやっぱりひっかかるんですよ、あのことだけが」

サヤさんは迷いに迷っている。
 

それ以外のことが充実していればいいのか

夫婦にとって何が大事か。生活していく上で、お互いに話し合いを重視することだとサヤさんは言う。

「うちは当然、共働きだし、子どもが生まれてもそうだと思う。彼もそのことは了承済みだし、『育休もとりたい』と言っているくらい。彼の部署は女性が多いので、けっこう男性の育休への理解もあるようです。最近は、『式場での結婚式なんてしなくていいから、とりあえず婚姻届を出して子どものことを考えよう』と言うんです。わかっているけど、そうしたほうがいいのかもしれないけど、どうしても納得がいかない」

そこでサヤさんは、どうしてもひっかかることがあると彼に言った。彼はきちんと話そうと週末、時間をとってくれた。

「性のことだと言ったら、またそのこと?と言いながらも話は聞いてくれました。とはいえ、彼が下手だなんて言えないから、もっと楽しい時間にしたいというようなことを言ったら、『僕はサヤと話をしているほうが楽しいんだよね』と。私がそんなに性的なことを重視しているなんて思っていなかったと言われました。いや、前にも言ったよねと言ったけど、伝わってなかったんですね」

彼が努力してみると言ってくれたものの、その後、試したらやはりサヤさんには不完全燃焼感が残ってしまった。

「それは時間をかけて解決したらどうかと友人にも言われました。子どもができたら、あなた自身もそれどころじゃなくなるかもしれないしって。そうかもしれませんが、私、自分が浮気してしまうかもしれないとも思うんですよね。そういう不安もあるんです」

どんなに家庭が大事でも、一時の快楽を求めてしまう可能性を、すでにサヤさんは感じているのだ。それでも結婚してしまえばいいとは思えないのだろう。

きちんと悩むと決めたサヤさん、それから数か月後に連絡があった。彼との相性についてはモヤモヤしたままだが、その前に妊娠し、婚姻届を出したのだという。

「妊娠してみたら、やたらとしたがる男よりはしたがらない夫のほうがいいかなと(笑)。ただ産後のことはわかりませんけど。人間はみんな不完全だからと、今は自分で自分を納得させています。3年後、この決断はやっぱり違っていたというかもしれないけど、それまで待っていたら子どもをもてなくなるかもしれない。どこかで決断せざるを得ないんですよね」

夫は彼女を非常に気遣ってくれるそうだ。今のところは「彼を選んでよかった」という方向に針が振れています、と彼女は笑った。誰にも正解がわからない問題を抱えたまま、人は人生を歩き続けていくのかもしれない。
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