亀山早苗の恋愛コラム

悪意がなくても「今それ言う?」とモヤモヤ…周囲の神経を逆撫でする人たちの場違い発言

自分では悪意などなかったのに悪く受け取られることはある。政治家なら「誤解させたことを謝罪します」というところだろうが、一般人の人間関係ではそうはいかない。「誤解じゃない、あなたの言い方がいけなかった」となるのは目に見えているからだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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自分では悪意などなかったのに悪く受け取られることはある。政治家なら「誤解させたことを謝罪します」というところだろうが、一般人の人間関係ではそうはいかない。「誤解じゃない、あなたの言い方がいけなかった」となるのは目に見えているからだ。
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「話を広げただけ」なのに……

社内に、人の神経を逆なでするタイプの後輩女性がいると言うのは、ナナさん(37歳)。

「ユミカは新卒3年目でうちの部署に来ました。うちはチームで仕事をすることが多く、必然的にプライベートなことも雑談として話すんですよね。だからお互いに気心が知れて、よりチームワークがよくなる。あるとき先輩が、最近おいしいと評判の店のイチゴ大福を買ってきてくれたんですよ。午後、みんなでわいわい言いながら食べているとき、ユミカが『イチゴ大福といえば、○○という店のがおいしいんですよ』と言い出した。いや、なぜ今、それを言う? みんながそう思っているとき、買ってきた先輩がニヤニヤしながら、『ごめんね、ユミカちゃん。そのお店のじゃなくて』と言ったんです」

ハッと気づくだろうとナナさんが思っていると、ユミカさんは余裕の笑みでこう言った。

「いや、これもまあまあですけどね」

周りにはしらっとした空気が流れたが、ユミカさんは自分がイチオシの店のイチゴ大福がどのくらいおいしいか語り出した。

「別の先輩が途中でさえぎって、『ねえ、せっかく買ってきてくれた大福にケチをつけるのはやめたほうがいいよ』と言ったんです。そうしたらユミカは、意味がわからなかったようでぽかんとしてました」

同じ商品を話の種にして、別の店のものを延々と褒めるのは、今、目の前にあるこの大福を貶めていることになるでしょと先輩がくどくどと言い聞かせた。

「そうしたらユミカが、『私は話題を広げようとしただけなのに。この大福はこれでおいしいですよ、ケチなんてつけていません。だけど私の知ってる店のは……』とさらに言いかけたんです。先輩は、わかった、あとで話そうと言っていました」

話題を広げるのは、コミュニケーションを深めるために大切なことだ。だが、実際、目の前にある、人が買ってきたものと同じ商品についてさらにもっとおいしいところがあるという広げ方は間違っていると、あとから先輩は話したそう。

「でもユミカにちゃんと伝わったかどうかはわかりません」

彼女には悪気がなければ、何を言っても許されると思い込んでいる節があるかららしい。悪意がないからこそ、他人を傷つける可能性があることをわかってほしいとナナさんは言った。
 

悪意はないけど「場」を読まない

普段はいい人なのに、いざというとき場を読まずに踏み込んでしまう人もいる。

「大学時代からの友だちユキノはそういうタイプ。何かあるとすぐにテキパキ動いてくれるし、本当にいい人なんだけど……」

というのはヨウコさん(34歳)だ。友だち思いのユキノさんだが、先日、共通の友人と3人で久しぶりに会ってランチをしたときのことだった。

「友人は既婚なんですが、数日前に義母が倒れて病院に運ばれ、大変だったのよという話をしたんです。するとユキノ、前のめりになって『なんかあったら言って。私、葬儀屋さんに知り合いがいる。見積もりもすぐ出せるから』って。さすがに友人も苦笑しながら、『私は別に義母が死んでくれればいいなんて思ってないから』と言ったんです。するとユキノは、『いざというとき当事者はパニックになって何もできないのよ。すぐに連絡してね』と言い続ける。『死ぬの前提にする話はやめない?』と私が言うと、ユキノは『だっていずれみんな死ぬのよ』って。それはそうだけど、今そんなこと言わなくてもいいでしょということですよね」

このユキノさん、以前にも別の友人と「場違い発言」で、もめごとを起こしているのだという。

「30歳のころに別の友人が子宮がんになったんです。するとユキノ、『私の叔母が子宮がんで亡くなってるの』と目を潤ませた。ただでさえ検査結果にショックを受けている彼女の前で、どうして亡くなったという発言ができるんだろうと、そのときは私も怒ったんですよ。そうしたらユキノは『だから早く見つかってよかったということよ』と言ったけど、その友人が早期発見だったかどうかわからない。彼女はユキノと絶縁宣言をしていました。それでも『悪気はなかったのに』とユキノはつぶやいていました。その後、いい病院を紹介したいと言っていたけど、もう誰もユキノと彼女をつなごうとはしなかった」

今、ここでこれを言っていいかどうか。相手を傷つけるかもしれないという判断が大事なのだ。悪意があるかどうかは関係ない。

「今回もユキノには、最低限の想像力をもってと言いました。彼女の場合、このままだとせっかくの親切心が人を怒らせるだけになる。そのことにまず彼女自身が気づいてほしい。そう思います」

ヨウコさんは実際、知人の結婚式や葬式で裏方としてこまごまと働くユキノさんを見ている。以前、ヨウコさんがつきあっている彼の浮気で悩んでいたときは、彼を呼び出してつかみかからんばかりに激怒したこともある。心根の優しい人だからこそ、何か言うときに数秒だけ考えてほしいと願っているそうだ。
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