お金の悩みを解決!マネープランクリニック/貯蓄ができない、赤字家計に悩むファミリー世帯

35歳、貯金20万円。親の借金返済のためにカード払い。心を入れ替えて家計管理をしたいのです

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、亡くなったお父様の借金返済のために家計が苦しく、ついついカード払いを続けてしまったという35歳のパート女性。子どもの教育費もかかる時期になり、心機一転しっかりと家計管理をしていきたいけれど、どうしていいのかわからない……。迷える女性の味方、ファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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亡き父親の借金返済で家計が苦しく、子どものための貯蓄ができません

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、亡くなったお父様の借金返済のために家計が苦しく、ついついカード払いを続けてしまったという35歳のパート女性。子どもの教育費もかかる時期になり、心機一転しっかりと家計管理をしていきたいけれど、どうしていいのかわからない……。迷える女性の味方、ファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんがアドバイスします。
父親の借金返済で家計が圧迫されました

父親の借金返済で家計が圧迫されました


■相談者
カオリさん
女性/パート・アルバイト/35歳
北陸/持ち家(一戸建て)
 
■家族構成
夫(43歳)、長男(12歳)、次男(5歳)
 
■相談内容
今まで家計管理を考えずお金を使って暮らし、さらに父(今は他界)の借金返済で家計が苦しく、そのために使ってしまった積もったカード支払いの残りがあと約50万円あります。しかし半年後にはすべて返済すると心に決めています。過去6年ほど、毎月のカード支払いがあり、そのたびに支払いで消えていくお金を見て心底自分にあきれています。

父の借金の返済は終わったのですが、上の子が中学に上がる今になって初めて自分で家計に向き合い、カード払いを続けていた今までの行動を本当に恥じております。カードをもう使わないよう、母に理由を話して預けて、完済後破棄すると約束しました。両家とも父が亡くなり、金銭的援助や子どもの面倒を見てもらうなどができません。このままではこれ以上に大変なことになると、本当に気持ちを改めたく思い、なんとか今後のアドバイスをいただけないかと、相談したくご連絡いたしました。恥ずかしながら、どのように子どもたちのために貯金をしたり、お給料の配分や生活をしていけばよいかの道筋すら開けていません。何卒よろしくお願いいたします。
 
■家計収支データ
相談者「カオリ」さんの家計収支データ

相談者「カオリ」さんの家計収支データ

 
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
直近の例では、夫に5万円。クリスマスと年末年始に3万円、NHK受信料年払い約1万3000円、住宅ローンのボーナス払い、医療費、カードの支払い、相談者の奨学金と父の借金の返済、家族の被服費など。
 
(2)児童手当の使い道について
子どもの服や学用品、修学旅行代。生活費にも回していた。これとは別に、中学の進学費用として20万円は確保している(貯蓄データには含まれない)。
 
(3)カード払いについて
カードローンの返済が月々4万5000円。過去多い月は20万円の時もあった。その中にはリボ払い分もあったが、月々の支払いとボーナスですでに完済することができた。
 
(4)住居ローンについて
・購入年/2019年
・購入価格/3090万円
・ローン借入額/3090万円
・借入金利/0.5%(変動金利)
・返済期間/35年
・ローン残債/2925万円
・ボーナス返済あり(月々の返済額プラス12万円)
 
固定資産税は年末調整で戻ってきた分で支払った。火災保険は22万9090円(10年分をボーナスで支払った)。
 
(5)車両費について
普通車と軽自動車のガソリン代。車は生活に必須なため1台にはできない。2台ともローンはない。160万円の中古普通車と、140万円の新しい軽自動車を父の借金発覚前に購入してしまった。買い替えの予定はなし。
 
(6)支出の内容について
趣味娯楽費……はっきりとした金額はわからない。
教育費……小学校の給食費などの支払い1万円(卒業積立含む)、保育園の給食費4500円と習い事5500円。中学校入学後に習い事はやめる予定。

(7)加入保険について
●夫
・医療保険=毎月の保険料2500円
・変額保険(有期型・世界株式100%、基本保険金額100万円、満期保険金額は満了時の積立金額、死亡、高度障害の保険金額500万円、その他特約あり)=毎月の保険料1万3000円

●相談者
・医療保険(終身。入院給付金5000円、先進医療特約、特定疾病診断給付金などの特約あり)=毎月の保険料2500円
・変額保険(有期型・世界株式100%、基本保険金額100万円、満期保険金額は満了時の積立金額88歳まで。死亡、高度障害の保険金額500万円などの特約あり)=毎月の保険料6200円
 
●貯蓄用の保険
【1】変額保険(有期型・世界株式100%、基本保険金額130万円、満期保険金額は満了時の積立金額・保険期間10年)=毎月の保険料1万1000円
→長男の教育費用
 
【2】変額保険(有期型・世界株式100%、基本保険金額200万円、満期保険金額は満了時の積立金額・保険期間15年)=毎月の保険料1万1000円
→次男の教育費用
 
【3】変額保険(有期型・債券型50%、世界株式50%、基本保険金額200万円は終身。保険期間10年)=毎月の保険料1万4000円
→老後資金用
 
●子どもの保険
・共済(子ども2人)=毎月の保険料3400円
・学資保険(次男)100万円(18歳満期)=毎月の保険料5000円

(8)子どもの進路について
本人の希望に応じて大学まで。高校は公立を希望、大学や短大は本人の学力状況次第。
 
(9)働き方について
夫は定年60歳、再雇用65歳まで。65歳以降は未定。退職金は確定拠出年金で最低でも850万円の予定。相談者は現在8時間勤務。実家に頼れないので、正社員での働き方はできない。転職は考えていない。
 
(10)公的年金について
「ねんきん定期便」によると夫は95万2240円、相談者は34万1000円。

■FP豊田眞弓からの3つのアドバイス
アドバイス1 実は保険でかなりリスクを取っている
アドバイス2 現金の予備費=預貯金を最低100万円は貯めておこう
アドバイス3 趣味娯楽費などを削減できれば教育資金や老後資金を増やせる
 

アドバイス1 実は保険でかなりリスクを取っている

亡くなったお父様の借金をカオリさんが返済していたため、家計が厳しいとのこと。しかし、本来ならば親子でも代わりに借金を返済する必要はありません。亡くなった時に相続放棄などの手続きをとることで、負の遺産を引き継がずに済むのです。今後、読者の方に同様のケースが起きた場合に知っておいてほしいと思い、あえて言わせていただきますね。カオリさんの場合は、すでにお父様の借金は完済され、あとはご自身で作られたカードローンの残債が50万円とのこと。ご苦労されたと思います。
 
さて、家計についてですが、カオリさんが思っているほど悪くはありません。すでに変額保険(有期型)と学資保険で、お2人のお子さんのためにそれぞれ200万円前後(支払う保険料の累計額で合計400万円超。変額保険は運用次第で受取額が増減します)の教育資金の準備を進めています。
 
驚くべきことに、5本の変額保険(有期型)に加入されていて、毎月6万8000円の保険料のうち、大半は変額保険。預貯金がわずかなため資産が少なく見えていますが、実は「保険で運用」をしていたためです。決して貯められない家計というわけではありません。

むしろ問題は、有期型の変額保険に大量に入っていること。商品性やリスクを理解したうえで加入されているのかが気になります。投資性の商品はインフレリスクに備えることができますが、バランスが大事。教育資金は必要な時期が決まっていることもあり、投資性の商品で運用するのは3割以内に抑え、安全度の高い商品と組み合わせて準備すべきです。しかし、現在の解約は大きな損ですので、他の資産でできるだけ預貯金を貯めるようにしましょう。変額保険(有期型)は投資と同じです。運用の状況を常にチェックすることを忘れないでください。
 
カードローンの返済が終われば、半年後からは毎月の貯蓄額を5万5000円(後述する節約1万円分も含む)に増やせるでしょう。問題はカード払いです。お母様にカードを預け、もう使わないという決意は大変立派です。しかし、急な出費が発生した時に払えるお金がないと、またカード払いに頼ってしまうリスクが高くなります。次にお話しする「予備費」をきちんと確保していきましょう。
 

アドバイス2 現金の予備費=預貯金を最低100万円は貯めておこう

現在の資産内容を拝見すると、変額保険を含めた投資商品の割合が非常に高くなっているのが心配です。いざという時のために、3カ月分の支出として、預貯金で最低でも100万円は貯めておきましょう。変額保険により投資のウエートが高すぎる問題もあるので、まずは何よりも預貯金を増やすことです。
 
先ほど申し上げたように毎月5万5000円を貯めボーナスの一部を貯金できれば、1年後には今の貯蓄と合わせて約100万円になります。まずは100万円達成を目標にしましょう。これは常に予備費としておいておくお金です。貯まった後は、毎月の家計と一緒にして使ってしまわないよう、別口座に貯めるか、定期預金などにしておきましょう。
 
予備費の100万円が貯まったら、その後は教育資金を補うお金として貯蓄を続けていきましょう。お子さんが大きくなって習い事や塾など教育費がかかるようになると、このペースで貯め続けるのは難しくなるかもしれません。多少の減額はあったとしても、貯め続ける習慣を守ることが大切です。月に3万円の貯蓄ペースを守り、6年貯めれば216万円になります。すでに変額保険で教育資金のベースを準備されていますから、これも加えてお子さんの大学進学までに、1人あたり300万円前後の教育資金が貯められれば非常に心強いです。
 
ご主人が50代になったら、次は貯蓄の目的を教育資金から老後資金に切り替えて貯めていきましょう。長男の教育資金用として加入している変額保険の払込みも終わるはずですから、教育費がピークでも、何とか貯蓄できるようにしましょう。
 
カオリさんの場合はすでに投資商品(変額保険)の割合が多いので、やはり金利が高めの定期預金や、勤務先が制度を導入していれば職場の財形貯蓄などで預貯金の割合を高めていく方がよいです。
 
繰り返しになりますが、整理すると、1年目は予備費の100万円、その後6年間は2人の教育資金、夫が50代になったら老後資金を目的に、がんばって積立を続けていきましょう。
 

アドバイス3 趣味娯楽費などを削減できれば教育資金や老後資金を増やせる

支出データを見ると、趣味娯楽費の毎月3万円が高いです。なんとか減らせないでしょうか。1万円削減できれば、今続けている積立貯蓄をそのまま続けながらでも、完済予定の半年後以降はカード払いの分と足して5万5000円が貯められます。
 
電気代や通信費など、他にも見直せそうな項目はいくつかあります。少しずつでも削減できれば、その分、教育資金や老後資金が増えていきます。将来を見据えて、本気で家計管理に取り組もうと決めたカオリさんの決意をぜひ継続させていきましょう。
 

相談者「カオリ」さんから寄せられた感想

このたびはアドバイス誠にありがとうございました。思っているほど悪くない、という言葉に救われました。変額保険について、主人と一緒に、保険担当者さんに改めて詳しく聞きます。まずは生活防衛費100万円を貯め、カードローン返済に向けて頑張ります。ありがとうございました!

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教えてくれたのは……
豊田 眞弓さん
 
 

 


All About教育費・奨学金ガイド。FPラウンジ代表、大学・短大で非常勤講師を務める。子どもマネー総合研究会代表。1994年より、FPとして家計や保険、住宅ローン等の相談業務に従事しながら、講演や企業研修、記事の監修、コラム執筆などで活動。『親の入院・介護が必要になるとき いちばん最初に読む本』『赤ちゃんができたら知っておきたい 教育資金の本』『他人には聞けない 夫が亡くなったときに読む本』など、著書多数


取材・文/長島美樹


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