亀山早苗の恋愛コラム

吐き気をもよおすほどの嫌悪感だった…婚約者の「ほんの一言」で別れを決めた私は心の狭い女?

信頼を築くのには時間がかかるが、失うのは一瞬。それが恋愛や結婚と絡むと「こんなに長くつきあってきたのに」「単に私の勘違いかもしれない」と自分の“心の声”を消そうとしがちだ。「あのとき別れたのは正しかったのか」と何年も引きずっていた女性が、つい最近むかえた新たな展開について語ってくれた。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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信頼を築くのには時間がかかるが、失うのは一瞬。それが恋愛や結婚と絡むと「こんなに長くつきあってきたのに」「単に私の勘違いかもしれない」と自分の“心の声”を消そうとしがちだ。
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「あのとき別れたのは正しかったのか」と何年も引きずっていた女性が、つい最近むかえた新たな展開について語ってくれた。
 

3年もつきあっていたのに

2年前、3年間つきあっていた彼と別れ、つい最近までそのことをひきずっていたと話すのはリサさん(34歳)だ。

「29歳のとき、仕事関係のパーティーで知り合ったのが2歳年上の彼。名刺交換をして、ふたりともそれぞれ上司のお供で来ていたことがわかり、なんとなく世間話をしたら楽しい人だなと。彼からは翌日、『今度はふたりで食事でも』とメールが来ました。3日後くらいにデートしたのが始まりでしたね」

同じ大学を卒業していることもわかった。彼は2歳年上だったが浪人していたので、学生時代は同じキャンパスにいたと思うと親近感がわいたという。

自然とつきあうようになり、半年後の彼女の誕生日には「あなたがこの世にいることが本当にうれしい」と言われた。

「結構そういう詩的な表現というか、言い方が大げさというか、そういうところがある人なんですが、そのときはうれしかったですね。誕生日は親に感謝する日でもあると思うなんて、まじめな顔で言われて、思わず親に電話しちゃいましたよ。産んでくれてありがとうって。私とは視点が違うけど、こういう人と家庭をもつのもいいなとだんだん結婚を意識するようになりました」

ふたりとも仕事が忙しいこともあり、なかなか会えない時期もあった。彼が1カ月にわたって海外出張をしたことも。それでも連絡だけは密に取り合っていた。

「つきあって1年たったころ、私の友人との飲み会に彼を連れて行ったんです。みんなから『聞き上手で楽しい人だね』と言われました。女性たちに囲まれてあれこれ言われても、にこやかに聞いて答える彼は好感度が高かったみたいです」

つきあいが2年に及んだころ、彼からプロポーズされた。
 

愛情表現にしては「気持ちが悪かった」

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もちろん、リサさんはプロポーズに即OKを出した。お互いの親にも挨拶に行き、結婚式はリサさんがよく行くレストランを借り切って手作りパーティーをしようと話がまとまった。

「私は彼を信頼していたし、この人となら楽しい家庭を作ることができると思っていました。だけど結婚パーティーの1カ月ほど前、彼の部屋で一緒に過ごしているときに『リサ、大好きだよ』と彼が言ったんです。そういうことはよく言ってくれる人だから『私も大好き』と返したら、『リサはオレだけのものだよね』と。『え?』と思って返事を躊躇したんですよ。そうしたら彼、『本当はリサを檻に入れてどこにも行かせたくない』『リサが魔法で小さくなってくれれば、ポケットに入れてどこにでも連れていけるのに』と。それを聞いたとき、私、猛烈に吐き気をもよおしたんです」

聞いているこちらも同様だった。こんな言葉を喜ぶ女性もいるのかもしれないが、多くの女性は「キモい」と思うだろう。

「ちょっと待ってと立ち上がってキッチンに水を飲みに行きました。そのあと深呼吸して気持ちを落ち着けて戻ると、彼は再び『大好きだよモード』に。好きということは囲い込むことなのか、本気で私を自分だけの“モノ”と思っているのかなど聞きたいことはたくさんあったんですが、その日はちょっと話を続けることができなかった」

気分がよくないから今日は帰るとリサさんは告げ、あっけにとられている彼の部屋から逃げ出した。帰宅してもまだ恐怖感と嫌悪感が強く、彼からのメッセージさえ見ることができなかった。

「どう考えても、たとえであっても、檻に入れてという言い方も気持ちが悪すぎる。彼は同僚から『粘り強く仕事に取り組む』と言われていたけど、それは単に執念深いということではないかとあれこれ思いを巡らせてしまって……。一睡もできないまま仕事に行きました。帰りに学生時代からの親友3人に会って話したら、2人はキモいと一刀両断、1人は『単にそういう表現しかできない人なんじゃないの?』と。いずれにしても真意をたださないと結婚できないよねという話になりました」

何かを察したらしい彼からは、矢のように電話やメッセージが入ってくる。親友たちと一緒の場で、彼女は彼からの電話を受けた。

「彼は何も考えていなかったようで、『ああ、リサ。大丈夫? 具合が悪い?』と。そこで思い切って前日、彼がどういうつもりでああいうことを言ったのか尋ねたんです。すると彼は『オレがリサのことを大好きだってわかってもらいたくて』と。なんだかわからないけど、これは違うと思いました。言葉で説明できないんだけど、結婚しないほうがいいと頭の中で警告が鳴っていた」

そしてリサさんは婚約を破棄。気が変わったのかと彼は激怒したが、ひたすら謝り、彼の先輩にも間に入ってもらって納得してもらった。準備にかかった費用は、すべてリサさんが支払った。

「彼はけっこうあっさり引き下がったんです。私の思い過ごしだったのかもしれない。必要以上に嫌悪感を抱いただけなのかもしれない。もしかしたら結婚して幸せな生活を送れていたかもしれない。2年間、ずっとそうやって引きずっていたんですよ」

ところが最近、風の便りで彼が3カ月前に電撃結婚、そしてたった1カ月で妻が出ていったという話を聞いた。

「彼、結婚したばかりの妻の自由をいっさい認めなかったみたい。仕事を辞めるのは彼女も納得していたようですが、1時間に1回は連絡をよこせとか実家には帰るなとか妻の行動を制限していたらしい。完全にDVですよね。彼女も早く逃げ出せてよかった。彼、つきあっているときはそういう顔を見せないんですよ」

婚約破棄をした当時は、「心の狭い女」「気にしすぎ」と周りから言われて落ち込んだこともある。だが、「自分のカンは大事にしたほうがいい。やっと後悔しないですむ日々が来ました」とリサさんは笑顔を見せた。
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