婚活にいそしむアラフォー女性。彼女に持ち込まれた話は、15歳年上の男性とのデートだった。会うだけ会ってみようと出かけたのはよかったけれど……。
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シャイな男性だった

「コロナ禍になって精神的にひどく不安定になりました。今までひとりで生きていて、恋愛したり旅行したり、ちっとも寂しくなかったのに、家でひとりで仕事をし、ひとりで食事をしているうちに気持ちがどんどん落ちていった」

カエデさん(39歳)はそう言った。このまま年老いて、ひとりで死んでいくのかと思うとたまらない気持ちになったという。

「結婚して家族がほしい。痛切にそう思ったんです。それからは友人知人に声をかけまくって、誰か紹介してと頼みました。知り合いからの紹介のほうが安心だと思ったし」

そんななか、一昨年暮れに紹介されたのが15歳年上の男性だった。

「年上すぎるから断ってもかまわないと知人は言いました。ただ、彼は有名企業に勤める管理職で、ものすごく頭がいいし収入も高い。性格もいいと紹介してくれた男性は言うんです。会うだけ会ってみれば、と言われてその気になりました」

第一印象はとても53歳(当時)には見えなかった。精悍な顔つき、ほどよく引き締まったタイプで身長も高い。高校時代からサッカーが好きで、今も自分でもやっていること、フルマラソンに出たこともあると彼は話した。

「記録は最悪でしたけどって明るく笑っていました。仕事のことを話すときもまったく自慢話はしないし、とっても感じのいい人でした」

気づくと2時間も話していた。カエデさんはこのまま食事でもしたいと思ったが、彼はコロナ禍だし、いきなり食事に誘うのも失礼だから、また改めて会えればうれしいと言った。

「慎重な人なんだなと思いました。しばらくテレビ電話などで話しませんかと言われて、それもそうだなと。当時は第三波と言われていたころだったので。そのあと年末年始に感染者数が増えましたよね。あのときも実家にも帰れずひとりで寂しかったけど、彼は毎日連絡をくれて、いろいろな話をしました」

信頼できる人だと彼女は、だんだん彼への気持ちが高まっていくのを感じていた。
 

食事デートで「違和感」を覚えた

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その後、ふたりはときどき会ってお茶をした。

「ただ、長い時間は避けたほうがいいと彼が言うし、私もそうは思いました。顔を見て話せればそれでいい、と。春先、少し波がおさまったころ、彼に食事に誘われたんです。やっとゆっくり会えると思ってうれしかった」

彼が指定してきたのは和食の店だった。だが、そこでふっとカエデさんは違和感を覚えた。

「初めての食事デートですよ。なのに私に何を食べたいか聞かないのはどうしてなんだろう、と。ただ、彼がよほど気に入っている店で、最初のデートはそこでと決めていたのかもしれないと考え直したんです」

店は確かにおいしかったが、どこか気ぜわしい雰囲気でデートにはあまり向いていないようにも思えた。

「だから彼に聞いたんです。この店にはよく来るのかと。そうしたら『ネットで調べただけです』って。だったら私のほうが店を知ってるのになと思いました。だから『じゃあ、次は私がお店を見つけますね』と言ったら、なんとなく気まずい感じになって。この店がよくないと言っているように受け取られたのかと思って、『ここはとてもおいしかったです』と付け加えたんですが。でもその後、すぐに彼は『そろそろ出ましょうか』って。その日はそのまま解散でした」

気を悪くしたのかと心配したが、帰宅後、彼から「無事に帰れましたか」と連絡がきた。次の日も、その次の日もいつも通り連絡はしてくれる。そういうときは気が合うし話も合うと思えた。

「しばらくしてまた会って食事でもということになり、今度は私がお店を見つけますと言うと、彼は素直にお願いしますって。嫌いなものはありませんかと聞いたら大丈夫だと。だから友人とよく行ったイタリアンを予約したんです。情報を送って店で待ち合わせということにしました。私は早めに着いたので、顔見知りのスタッフさんたちと話していた。すると彼が汗だくでやってきました。地図がわからなくて探すのに苦労したって。わかりやすい場所にあるんですけどね。そして私がくつろいで先にカクテルを飲んでいるのを見て、『え、もうお酒飲んでいるんですか』って驚いたんです。ちょっと責めるような口調で」

その後、彼もビールを頼んで乾杯し、メニューを相談しようとすると彼は「まかせます」と言った。いや、こういう店は相談しながら決めていくのが楽しいのにとカエデさんが言うと「僕はわからないから」と頑なに拒む。彼女は店のスタッフと相談しながら決めていった。

「人間なんて、何を食べても一緒ですよね。腹がふくれればいいんだしと彼が言い出した。店の人がいるところでそんなことを言うのは失礼でしょ。ここで言わなくてもいいんじゃないですか、ここは私が好きなお店なんですと思わず言ったら、急に『ごめんなさい、ごめんなさい』と謝りはじめた。『電話と会ったときと、なんか雰囲気違いますよね』とつい言葉が出ちゃいました。すると彼が逃げ出したんです。もう、目が点になりました」

何が彼を傷つけたのかわからないまま、彼女は追う気にもなれず、ひとりでイタリアンをたいらげたという。

「帰宅してから彼を紹介してくれた知人に連絡してみたんです。そうしたら彼は女性慣れしていないかもしれないけどとモゴモゴ言ってる。もしかしたら女性とつきあったことがないんじゃないのと聞くと、いや、学生時代にはあるはずだ、と。社会人になって何十年もたっているのに学生時代のことを言われてもね」

翌日、彼から連絡がきたとき、彼女は率直に言ってほしいと交際歴を尋ねた。

「彼はそんなことを話す義務はないって怒っちゃって。やっぱりつきあったことがないんだなとよくわかりました。もしあったとしても、デートのたびに不愉快な思いをしたくない。知人に連絡をして、『この話はなかったことにして』と頼みました」

それにしても、いったい彼との時間は何だったのだろうとカエデさんは言う。女性とつきあったことがないなら、素直にそう言ってくれればよかったのだ。電話やテレビ電話で話しているときはいつも楽しかった。デートだと緊張する、慣れてないからと言ってさえくれれば、対処のしかたはあったはずだ。

「でもそういう人ではないから、今までひとりだったんでしょうね。心のどこかが固くなってしまっているというか。私も柄にもなく婚活なんてしようとしたからいけなかったのかなあ。そう思って、今は結婚を視野にいれず、友だちの友だちなどと会っています。まだ合コンや大人数での飲み会はできないけど、せめて恋愛相手くらいはほしいですから」

恋愛経験の極端に少ない40代・50代の男性も少なくないだろう。そういう男性が初めて恋愛する気になったときは、見栄を捨てて正直になったほうがうまくいくのかもしれない。

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