LINEグループで浮いてしまった
「下の子が小学校に入るタイミングで引っ越したんです。その地域の幼稚園出身者で同じ小学校に上がる子をもつママたちのLINEグループに、同じマンションに住むママの紹介で入りました。だけどママたちのほとんどが専業主婦。午前中からひっきりなしに通知が来る。話は『体操着ってどこで買うの?』『明日は何を持って行くんだっけ』みたいな内容ばかり。無視することはできないので、夜になってから必死に返信投稿をしまくっていました。これはかなりのストレスでしたね」ユキエさん(43歳)は、3年前当時のことをそう振り返る。
あるときそのグループを紹介してくれたママにばったり会ったとき、「新入学は大変だよね」とため息交じりに言われたそう。
「大変だけど、学校からのプリントに書いてあるものだけ準備すればいいんじゃない? 書いてないものはあとからでいいんだと思うと答えたら、『さすがに働くママは違うね』と。あとから考えたら、働くママは雑だよね、という意味だったのかもしれないと思いました。あるんですよ、そういう思い込みが。ワーママは雑、気遣いしない、専業主婦はことこまかに子どものために尽くしている、というような……」
彼女は苦笑いする。そうやっていつしか働くママと専業主婦ママは分断されていくのだろうか。
子どもに“かまいすぎ”なのでは?
働く主婦が7割近い今、彼女たちは「子どものことはもちろん大事だけど、些細なことにいちいち親が口を出すのはどうなんだろう」という思いがあるという。マリさん(40歳)も、仲良くしている子どもの友だちのママから呼び出されたことがある。
「うちの子が最近、やたらと歯ぎしりをする。医者につれていったらストレスが原因だと。お宅の子と遊ぶようになってからなのよねと言われました(笑)。正直言うと、そんなのしらんがなという感じでしたね。けんかしているわけでもなく、仲良く遊んでいるだけなのに何がストレスなのか、むしろ母親がストレスなのではないかとさえ思いました。けんかを売るわけにもいかないので、『えーっと、私はそれに対して何をすればいいんでしょう』と言ったら、『働いている女性ってすぐそうやって対処しようとするでしょ。そうじゃないの、一応、知っておいてもらおうと思っただけ』って。それを時間の無駄というんだよと思いましたけどね(笑)」
一方で、専業主婦ママの側には「保育園ママはちょっとがさつだなと感じることがありますね」という声もある。どこが“がさつ”なのかと聞けば、
「何か話していても、すぐ結論を出そうとする。うちも他の子との感情のもつれがあったみたいだったので、その母親と話をしたんですよ。そうしたら、『時間がないので、結論から先に言ってもらえますか』って。会話ってプロセスが大事なんじゃないかしらと思いましたね。忙しいといえばすむと思っているのかと。子どもとも綿密に意思疎通を図っていないんじゃないかしらと心配になります」
それこそが“余計なお世話”なのかもしれないが、専業主婦ママには「子どものつきあいへの理想」があるのだろう。実際、ワーママには時間がなく、些細なことにこだわっていられないのも事実だと前出のマリさんは言う。
「話し合ってもわかりあえないこともあるし、そもそも小学校の今のクラスだけのつきあいですからね。自分が選択した友人関係ではないから、摩擦や軋轢さえなければいいと思うんです。意見の分断なんかしないで、ここは事なかれ主義でいきましょうよと私などは思ってしまうのですが、それがまた一部の人には怒られる原因となっているみたい(笑)」
必要以上に気にしないこと、トラブルになりかけたらすぐ他の人に相談すること。結局、わかりあえないことを前提に、オープンに話し合っていくしかないのかもしれないとマリさんはつぶやいた。